テクノロジー TECHNOLOGY

通信×センサ×ベッド。3つの技術の出会いが睡眠を劇的に変える!

HERO X 編集部

パフォーマンス向上に欠かせない良質な睡眠。ついに、この分野に画期的なコラボレーションが生まれた。睡眠アプリ「Real Sleep」を開発、提供している株式会社ニューロスペースとKDDI株式会社は、テクノロジーで睡眠課題を解決する睡眠サービスの提供を共同ではじめることを発表した。また、他業者との協業ができる環境を整えていくとし、第一弾としてフランスベッド株式会社とのコラボレーションを公表。睡眠のモニタリングを行ない、ここから得たデータを基に睡眠改善のアドバイスをするサービスが開始される。

「寝だめ」という言葉を耳にするが、実のところ、寝だめで寝不足を回復することはできない。寝不足は体に蓄積されるのみで、週末に多く寝たからといって体への負担軽減が解消されるわけではないのだ。このため、睡眠不足が蓄積することを「睡眠負債」と呼ぶ。ニューロスペースが20代~50代の男女800人を対象に行った「睡眠負債」に関する実態調査では、半数以上となる約58%が自身の眠りに何らかの不満を抱えていることが分かった。自身の睡眠改善については約9割が意欲的であるものの、その半数が行動に移せていないという。これらの背景を基に、同社は睡眠改善のためのサービス提供をKDDIと協働で開発することにした。

計測に使われるのはイスラエルのヘルスケアIoT機器ベンチャー EarlySense が開発した高精度睡眠計測デバイス。本体をマットレスや布団の下に置くだけで睡眠中の心拍数や呼吸数、身体の動きをリアルタイムで計測してくれる。腕時計のように体に取り付けるタイプと違い、就寝時の違和感を抑えることができるようだ。計測されたデータはニューロスペースが開発した睡眠アプリと連動しており、パーソナライズされたアドバイスを受け取ることができる。この装置のコラボ第1弾として加わったフランスベッドは、予めこの睡眠センサーが内蔵されたベッドを売り出す。睡眠の計測だけでなく、KDDI の「with HOME」アプリと接続することで寝室やマットレス内の温度や湿度、照度までをセンシングしてくれ、将来的には、自身の睡眠に適した寝室環境等の制御が行える機能追加を予定しているという。テクノロジーの力により「睡眠負債」をためこまない日常はもう、すぐそこまでやってきているようだ。

(text: HERO X 編集部)

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テクノロジー TECHNOLOGY

人工眼で失われた視力を取り戻す!?人生を変えるテクノロジー「バイオニック・アイ」

岸 由利子 | Yuriko Kishi

「網膜色素変性症(もうまくしきそへんせいしょう)」って、聞いたことがありますか?これは、網膜の視細胞が、数年から数十年かけて、ゆっくりと退行変性していく遺伝性の眼の病気。米・メリーランド州の「ナショナル・アイ・インスティチュート」(The National Eye Institute)によると、世界の約4000人に1人が発症すると推測されています。

暗いところでものが見えにくい「夜盲」や視野が狭くなる「視野狭窄」、「視力低下」などの症状が見られますが、進行度も重症度も、個人差が大きいことが特徴です。生涯良好な視力を保つ人がいる一方、中途失明の三大原因のひとつでもあり、視力を失う人も少なくありません。

(引用:curechm.org)

網膜色素変性症により中途失明した人にとって、希望の光となり得るのが、米セカンド・サイト社の開発した「アーガスⅡ・バイオニック・アイ」と呼ばれる人工眼。システムが少し複雑なので、ステップ・バイ・ステップで説明したいと思います。

まず、患者の眼球内に光受容体が搭載された「人工網膜」を移植します。網膜のインプラントとも言い換えることができますが、この移植だけで、裸眼による視力が回復するわけではありません。

(引用:futurism.com

「アーガスⅡ」は、「VPU(ヴィデオ・プロセッシング・ユニット)」という外部デバイスと、ビデオカメラを搭載した専用サングラスを通して、人工網膜に映像を転送することで、視覚情報を再現できるシステム。網膜色素変性症の患者にとって、初の実用的治療だと言われています。

ここで注目したいのは、イギリスの国民保健サービス「NHS(ナショナル・ヘルス・サービス)」の取り組み。網膜色素変性症により視力を失った10人の患者を対象に、アーガスⅡの効果を測るための臨床研究を実施するのです。

「この極めて革新的な取り組みは、患者に真の約束を示すもの。人生を変えることも可能でしょう」とNHSのジョナサン・フィールデン博士。

対象者は2つのグループに分けられ、2017年中に、マンチェスター・ロイヤル・アイ・ホスピタルと、ムーアフィールド・アイ・ホスピタルで治療を受ける予定で、術後は、1年をかけて、じっくり経過観察を行い、有用な治療法であることを証明していく方針です。

イギリスのガーディアン紙によると、現在、同国内で網膜色素変性症を患う人は、約16,000人。そのうち、アーガスⅡの治療を受けるに相応しいのは、160~320人と推測されています。より多くの人が光を取り戻せるよう、まずは臨床研究の成功を祈るばかりです。

[引用元]curechm.org / futurism.com

(text: 岸 由利子 | Yuriko Kishi)

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