医療 MEDICAL

検査はわずか30分。その場で結果が受け取れる「長寿外来」

HERO X 編集部

世界から、長寿大国と言われるわが国、日本。だが、実情はなかなか厳しいものもある。平均寿命と健康寿命の差は男性で8.84歳、女性で12.35歳。生きてはいるものの自立した生活ができる人となると、その割合はかなり渋い。不健康寿命が伸びれば家族の負担や国の医療負担も増えることになるため、厚生労働省では健康寿命の延伸について検討する有識者研究会を開いており、「健康寿命延伸プラン」なるものを今夏にも発表する予定だ。健康寿命に対する関心が高まるなか、ここに焦点を絞った検診ができる「長寿外来」をはじめたクリニックがある。

アンチエイジングや美容皮膚科を展開する医療法人社団シーズ・メディカルグループ シロノクリニックでは健康に長寿を目指すことに焦点を当て「予防医療」に特化した外来を開設した。健康寿命を妨げている糖尿病やがん、アルツハイマーなどの原因とされる物質について蓄積量などを検査、推定寿命や推定健康寿命の目安を導き出すとともにこれらを伸ばすためのアドバイスを行なっている。

検査と聞くと長時間の拘束を思い浮かべてしまいがちだが、「長寿外来」の検査時間はわずか30分。結果もすぐに教えてくれる。それを支えているのが最新の検査機器。例えば、食品などから体内に入る「糖」と結合変化して、身体の中に蓄積してしまう「AGEs」。蓄積量が増えれば糖尿病や腎疾患を引き起こすとされる物質のため、蓄積量を知ることはこれらの疾患を防ぐのに役立つとされている。検査は測定器に腕を乗せるだけ。わずか12秒で皮膚・皮下の血管壁に溜まった「AGEs」を測定し、糖化年齢を教えてくれる。

手のひらに特殊な光をあててスキャンすることで有害金属やミネラルについて測定解析してくれる検査機器

がん、糖尿病、アルツハイマー病といった疾患を引き起こしたり、老化を早めると言われる “酸化” についてもわずか10分で測定が可能。活性酸素によって受けているダメージとその活性酵素による体内のサビつきを防いでくれる抗酸化力も検出が可能という。

また、身体にとって不可欠なミネラルや酵素の働きを阻害、酸化ストレスや様々な障害を引き起こす原因の水銀、アルミニウム、ヒ素、鉛、カドミウムなど有害金属を測定してくれる検査機器も完備。検査結果に合わせてオリジナルサプリの処方や点滴療法なども受けることができる。検査費用は5万円。将来、寝たきり期間を短くするためには、まずは自分の身体を知ることから。アンチエイジングを専門にしてきた病院がしかける「長寿外来」に期待は高まる。

(text: HERO X 編集部)

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増える関節症。3倍に増えた手術を助けるロボット「NAVIO」に注目

HERO X 編集部

高齢化の影響もあり、近年、患者数が増加している膝などの関節症。関節症の総患者数は125万人に上ると言われている。当然、人工関節手術の件数も増加しているのだが、医師の数は限られている。そんななか、一貫性の高い正確な手術を達成することを目指した術者を支援するロボットの導入が日本でも始まっている。

関節系の置換術 5年間で約3倍に

動画で骨を削る仕組みなどが紹介されているのは、近畿大学医学部整形外科学教室に入った人工膝関節置換術の手術支援ロボットと同じ『NAVIO』。今年に入りこのロボットを使った手術が行われ始めているという。

日本人工関節学会が公表している2017年度の報告書によれば、関節の動きを補うために人工関節を入れる手術の件数は、人工膝関節置換術で2万5892件、人工股関節置換術の初回と再手術を合わせたものが2万2935件。これら2つの手術だけで約5万件となっており、5年前から約3倍に膨れ上がっていることが分かった。増える患者に対応するべく、導入が進んできたのが手術を正確に行なうための補助となる支援ロボット。すでに海外では導入されていた人工膝関節手術に特化したロボット支援システムを近畿大学医学部整形外科学教室が導入をはじめたのだ。

この支援ロボットを開発したのは1856年創業のイギリスのヘルスケア製品メーカー、スミス・アンド・ネフュー株式会社。同社は人体を構成するさまざまな組織、特に皮膚、骨、関節、軟部組織の治療と保護に焦点を絞り、最新技術を駆使して革新的な製品の開発を続けてきた。その成果として発表されたのが人工関節手術のロボット支援システム。人工関節置換術を行なう場合、金属を埋め込む部分の骨の一部を切除しなければならないのだが、ここにはどうしても医師の腕による出来上がりの違いが生まれていた。しかし、支援ロボットを使えば切除する部分をガイドしてくれるため、一貫性の高い手術が可能だという。また、手術時間の短縮も期待できる。多くの患者が手術を待つ状態の今、執刀医によるバラつきのない手術が受けられるのはありがたい。このロボット支援技術の導入が日本でも進んでいけば、痛みを抱えたまま手術の順番を待ち、長期間不自由な日常を送る日々は減りそうだ。

[TOP動画引用元:スミス・アンド・ネフュー

(text: HERO X 編集部)

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