プロダクト PRODUCT

A’ DESIGN AWARD&COMPETITION 世界が認めたプロダクトはこれだ!

毎年イタリアで開催される世界最高峰の国際デザインコンペティション「A’ Design Award & Competition 2020-2021」の結果が発表された。株式会社RDSは『Gait Analysis Robot Medical Health Measurement System」がメディカルデバイス・医療機器デザイン部門でゴールドを受賞したほか、エントリーした全てのプロダクトが入賞を果たした。世界に認められたデザインプロダクトはどのようなものがあったのか。世界各国から寄せられた気になるプロダクトをピックアップしてみよう。

A’ Vehicle, Mobility and Transportation Design Award
fuROが最高賞のプラチナ受賞

まずは、HERO Xでも度々登場する山中俊治氏と未来ロボティクス技術センター(fuRO)が開発した移動ロボット『CanguRo(カングーロ)』。こちらはチョイノリ移動のモビリティにもなるロボットで、普段は主人に寄り添うパートナーロボとして、人間をサポートする。例えば、買い物時には荷物を載せて人間の後ろを自動でついてきてくれる。この自立した走行を可能にしたのが、人間の目にあたるSLAM技術。fuROには独自に開発したSLAM技術、scanSLAMがある。これはレーザーやカメラなどのセンサの情報を解析し、自己の位置を推定しつつ周囲の地図を構築するというもので、この技術により、寄り添う走行も可能になった。これに加えて指定の場所まで完全に自動できてくれるという離れ業もできるという。

主人が移動したいときにはこれまた自動でライドモードの形状に変形、パーソナルモビリティとしての役割も果たしてくれる。古来から人間の良きパートナーとして移動の担い手となってきた馬をイメージしてつくられたというボディのデザイン。今回のコンペティションでは未来のパートナーロボを具現化した点に評価が集まったようだ。

そして現在、なんと海外のショッピングサイトでは、CanguRoが売り出されているかのようなニセ情報が出回るほどの人気ぶりになっている。この状況にfuROは同プロダクトの一般向けの販売を一切していないとホームページ上で説明している。私たちの日常にCanguRoがやってくる日を待ち望んでやまない。

A’ Medical Devices and Medical Equipment Design Award
消毒と絆創膏が一体化

RDSがゴールドを受賞したメディカルデバイス・医療機器デザイン部門からは同じくゴールドを受賞した消毒と絆創膏が一つのパッケージに収まった『Sterilized Band-aids』を紹介しよう。

擦り傷や切り傷といったちょっとしたケガの時に役立つ絆創膏。しかし、絆創膏自体に傷を早く治す機能はなく、大抵の場合、消毒してから絆創膏を貼るというのが我々の知っている使い方。つまり、消毒と絆創膏の二つを用意して利用する必要があるのだが、これが手間と言えば手間。消毒のタスクを飛ばし、傷口を洗浄後、そのまま絆創膏を貼る人が多くいる。そこに目を付けたのがこの殺菌バンドエイドの開発者Yong Zhang 氏と Shuchang Cui 氏。一つのパッケージで両方をカバーできるプロダクトを実現した。使い方はいたってシンプル。OPENの表示部分からパッケージを開くと、消毒が出てくる。塗り終わって全てのパッケージを開くと絆創膏が取り出せるというもの。いつ発生するか分からないのがケガ。携帯性も備えたこのプロダクトなら、一般化も進みそうだ。ちなみに、このプロダクト、ドイツで行われた「IF Design Talent Award(2020)」でも入賞を果たしている。このプロダクトの受賞はごくごく些細な日常にほど、開発の予知が潜んでいるというよき例でもあるだろう。

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“人を際立たせる” 車いすが登場! F1カーのカーボン素材を使ったスタイリッシュな車いす

HERO X 編集部

車いすというと、どうしても機能面に目が行きがちだ。確かに機能は重要な要素だが、車いすユーザーにも好みやニーズがあり、個人としての主張もある。そんな希望を叶えるのがカーボンブラックシステムが提供する車いす。ユーザーがより人間らしく、いきいきと生活できる新しい車いすだ。F1のエンジニアも参加して製作された同商品は、フルカーボンファイバー製で軽量性にも優れる。ホイールをユニオンジャック柄にするといった、大胆なカスタマイズも可能だ。

軽量ながら段差に強い
コンパクトで高機能な
カーボンファイバー製

英国・エディンバラに本社を置くカーボンブラックシステム社が提供する「カーボンブラック」は、ユーザーのニーズに応じてカスタマイズしてくれる車いす。軽くて強いカーボンファイバーを使い、快適さと安全性を両立させることに成功した。クッション部分を除いた重量はわずか3.5kg。タイヤ内部のサスペションが衝撃を吸収し、段差のある場所でもバランスを崩さずに移動できる。

開発者のアンドリュー・スローランス氏は、自身が車いすユーザーだ。14歳で脊髄に損傷をきたし、以来、車いす生活を送ってきた。20年間テレビ局に勤めたあと、このプロダクトに取り組むために起業。クラウドファンディングで資金を集め、子どもの頃から夢だった「高度な車いす」の開発に成功した。

この車いすに乗っている時、人は車いすや障がいには気づかず、車いすユーザーを「人」として見てくれると、愛用者は語る。ゴツゴツしたハンドルやひじ掛けを持たない「カーボンブラック」は確かに彼らのファッションやキャラクターにフィットし、溶け込んでいるように見える。

人間工学に基づいて設計されたデザインは、ユーザーの身体に快適さを提供する。パーツに丸みを帯びたデザインを採用し、衣服などにもひっかからないよう工夫した。超軽量素材のカーボンファイバーはF1で使用されているもの。F1のエンジニアも協力し、この革新的な技術が車いすに応用された。価格は3995ポンド+カスタマイズの料金となっている。

「カーボンブラック」で、世界中の車いすユーザーの認識を変えたい、と同社は主張する。ユーザーを身体障がい者と定義するのではなく、ユーザーを引き立たせる椅子、ビジュアル的に美しい椅子をデザインしたかったのだと、スローランス氏は語っている。まるで個性の一部のように見える車いすは、確かに私たちの認識を変えてくれる。リビングの椅子に座っているような感覚で利用できる車いすは、ユーザーの利便性を高め、行動範囲を広げてくれるだろう。

(トップ画像:http://www.carbonblacksystem.com/

(text: HERO X 編集部)

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