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手の動きを解放するスケボー感覚の車いす「The Reagiro」とは?

長谷川茂雄

地球上でもっとも簡素でもっともクールな乗り物と言えば、スケートボードだろう。動力源はガソリンでも電気でもなく、人力と地球の引力のみ。無駄を削ぎ落とした極めてシンプルな乗り物だからこそ、それを意のままに操ることは、エキサイティングで楽しい。そんなスケボーさながらに、上半身を左右に揺らすだけで推進力を得る画期的な車いすが開発されていることをご存知だろうか。スイスでデザインを学んだReto Togni氏が発案した“The Reagiro”のことだ。まるでスケボーの初歩的なトリック、“チックタック”のように、背もたれと繋がった前輪を左右に動かすことで、軽やかに前進する。

体の動きでコントロールするという新たな発想

車いすは、通常両手で車輪を回して前進する。この常識をこれまでになかった構造とデザインで変えようとしているのが、スイスでデザインを学んだReto Togni氏だ。

同氏が開発した“The Reagiro”は、背もたれと前輪が連動する画期的な車いす。体を左側に傾けると右側の前輪が前に、左側に傾けると右側の前輪が前にスムーズに動く。すなわち、体を左右に動かせば、2つの前輪が交互に動くため、車いすは前進する。

その動きは、まるでノーズ(先端)をダイナミックに左右に動かすことで前進するスケボーのトリック、“チックタック”のようだ。

この人力で動く機能が備わったことで、“The Reagiro”に乗るときは、車輪を常に漕ぐ必要がない。それゆえ、従来の車いすとは違い、手を自由に使うことができる。傘をさしたり、スマホをいじったり、コーヒーを飲むことだって可能だ。

加えて、ひとたび車いすが動き出せば、体を傾けるだけで極端に減速することなく左右にターンができる。多少コツは必要だが、体の動きでこれだけ自在にコントロールできる車いすは、ユーザーのライフスタイルを大きく変える可能性を秘めている。

無駄がなく極めてシンプルで、洗練されたデザインも注目されている“The Reagiro”。自転車からインスピレーションを得たというフレームは、一部が3Dプリンターを使用して作られているという。最先端の技術を適度に取り入れた柔軟なモノづくりの視点は、ユニークなだけでなく、さらなる進化も期待させる。

現在、特許を申請中で、医学的な検証を待っている状態ではあるが、製品化が実現する日もそう遠くはないだろう。

TOP動画転載元:https://vimeo.com/241137824

(text: 長谷川茂雄)

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あのBMWが本気になった!車いす陸上、最速マシンに注目せよ

岸 由利子 | Yuriko Kishi

BMWが、エンジンを搭載しない最速マシンを開発した。通称・レーサーと呼ばれる車いす陸上競技用のマシンだ。設計を手掛けたのは、南カリフォルニアに拠点を置くBMW Designworks社。6人の米国選手のために開発されたマシンは、リオパラリンピックでお目見えし、金メダル3個、銀メダル3個、銅メダル1個を獲得するという好成績を残し、タチアナ・マクファデン選手が女子T54クラス5000mレースで、11分54.07秒のパラリンピック記録を樹立するなど、目覚ましい活躍ぶりを見せた。

「これまで選手たちは皆、異なるブランドが開発する同じマシンに乗っていました。でも、私たちは、彼らのパフォーマンス力を極限化するための力になることに目を向けています」と話すのは、BMW Designworks社の副責任者、ブラッド・クラチオーラ氏。

車体のベースは、「シャーシ」と呼ばれるフレーム。いわば骨組みにあたるこの部分には、従来のアルミニウムの代わりに、剛性と振動吸収性に優れたカーボンファイバーを採用し、軽さはもちろん比強度の面でもアップグレードした。

開発の初段階では、各選手の3Dスキャンを作成。それらを基に、ソフトウェアを使って、空力抵抗を最も受ける箇所を探っていった。そこで明らかになったのは、空力抵抗の約50%はマシンからではなく、アスリート自身の体によって生じていたということ。

この結果から、同社は、空力抵抗を減少させるための細かな工夫を随所に施し、エアロダイナミクス(人間工学)を考慮したオーダーメイドマシンを開発した。シートの形状からレース時に両手に装着するグローブまで、走行時に不可欠なあらゆるものが、選手によって異なる姿勢や体型、ポジションといった多面的な角度から収集した緻密なデータに基づいて設計されている。

同社によると、これらの創意工夫によって、レース中の選出の姿勢による空力抵抗が約10~15パーセント減少したという。

「選手たちにとって、“革命”である必要はありません。でも、私たちは、彼らに少しでも優位に立って欲しいのです」とクラチオーラ氏は言う。

2020東京まであと3年。世界トップレベルのアスリートが集結するパラリンピックの舞台裏は、最高峰の技術を誇るメーカー同士の技術競争の場でもある。BMWがどんな進化を見せてくれるのか。レースファンにとって、楽しみがまた一つ増えた。

[TOP動画 引用元]United News International(http://unitednews.international/

(text: 岸 由利子 | Yuriko Kishi)

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