対談 CONVERSATION

【HERO X × JETRO】CESで話題沸騰! 針を刺さずに血糖値測定「クォンタムオペレーション」

富山英三郎

JETROが出展支援する、世界最大のテクノロジー見本市「CES」に参加した注目企業に本誌編集長・杉原行里が訪問。 テック系メディア「Engadget」(米国)によるアワードでファイナリストにも選ばれた、株式会社クォンタムオペレーション。同社は医療やヘルスケア領域でのIoTスタートアップであり、CESでは糖尿病患者の負担を軽減する「非侵襲血糖センサー」を発表。世界中から熱いメッセージが届いたという。代表取締役社長 加藤和麿氏に話を訊いた。

世界中の糖尿病患者から届いた切実な叫び

杉原:今年はオンライン開催となりましたが、CESに初出展されていかがでしたか?

加藤:おかげさまで多方面から反響をいただきまして、出展して本当に良かったです。さまざまな企業さんと出会えましたし、それ以上に糖尿病患者さんからの反響がすごくて。世界中の患者さんから、「今まさに針を刺しています」「自分は45年くらい針を刺しています」「とにかくなんとかしたいんだ」という声をいただきました。

杉原:インスリン注射ということですか。

加藤:インスリンもそうですし、血糖値測定の際にも針を刺す必要があるんです。それを40何年やっていると。

杉原:あれもまた痛いんですよね。

加藤:痛いです。子どもたち含め、皆さん毎日やっていらっしゃる。一型糖尿病の方などは、Google翻訳を使って頑張って日本語でメールをくださります。その声というのも、「すぐにでも貸して欲しい」「売って欲しい」というものでした。世界中から200通くらいいただきました。

杉原:それはすごい。改めてCESで発表された製品の説明をお願いできますか。

光センサーを使って血液中の
わずかなグルコースを測定

加藤:はい。リストバンド型の「非侵襲血糖センサー」になります。非侵襲というのは“身体に傷をつけない”という意味です。この機器には光センサーが搭載されていて、「グルコース(血糖値を見るための物質)」が吸光する特別な光を出しています。色というのは、物質が光を吸うことでその色として見えてくる。その原理を利用しているわけです。簡単に説明しますと、10個の光を出して8個返ってきたら、2個吸光されていることがわかる。つまり、グルコースが2あるということです。

難しいのは、グルコースは血液中に0.2%しかない。そのわずかなものが「吸光したか」をいかに突き止めるか。しかも、グルコースの波長は水やタンパク質、コレステロールと似ている。そのノイズを取り払うのがとても難しく、弊社独自のノウハウとなっているわけです。

杉原:御社の強みは光センサーとその解析でいらして、CESで出展されたものは「血糖測定」に特化した製品というわけですよね。それ以外にも光センサーを使えば、「心拍」やパルスオキシメーターのような「血中酸素飽和度」も測定できる。

加藤:そうです。さまざまに応用可能です。

杉原:このビジネスのスタートは、中学時代に「先天性腎動脈狭窄症」を患われたことがきっかけだとか。

加藤:はい。私は「血糖」ではなく、中学時代に1日3回「血圧」を測定していました。現在は完治していますが、当時は原因不明の病気でもあり本当に辛かったんです。

杉原:でも、そういった自身の体験が起点になっているからこそ、事業に対する視点がクリティカルですよね。

加藤:それはそうですね。糖尿病の方は毎日針を刺すわけですからもっと大変です。解決への使命感というのは、お金とか技術の問題ではないんです。次の世代のために、大人としてなんとかしないといけない。

杉原:10年、20年先の当たり前を作るのは、今しかないですからね。

加藤:そうなんです。

社会的使命としてIoTを
使った予防医療を志す

杉原:そもそも血糖測定が出発点だったのですか?

加藤:はい。もっといえば、ビジネスの根幹はIoTです。私は北海道夕張市の出身で、コロナ以前から医療崩壊が叫ばれていた地域です。夕張市が破綻したとき、すでに病院は171床から19床になっていました。しかも北海道なので隣町まで40分くらいかかるわけです。そうなると救急車では間に合わない。それならば、せめてIoTを使った予防医療ができないかと、それがきっかけです。

杉原:技術的な課題はどう解決したのでしょうか。

加藤:弊社のリードエンジニアである山岸が、ちょうど新事業を行うために新たな機会を探しているタイミングでした。IoTエンジニアだったこともあり、一緒にやりましょうという話になりまして。そんな中で糖尿病の患者さんに出会い、優先課題はここだよねという話になったんです。あとは、彼が立ち上げメンバーでもあった中国は深圳のXunlong Software社と業務提携できたのも大きい。そこは最先端です。

杉原:中国はとにかくスピードが違いますよね。

加藤:はい、さまざまな最新部材も揃いますし、バグもすべて取り出してくれる。試作機づくりも早いので、PCDAを高速で回すことで最先端に追いつけている状態です。でも、ようやくここまで来たという状況ではありますね。

杉原:すでに販売の目処はついているんですか?

加藤:まだです。これから提携している病院などと臨床に着手しようとしているところです。

杉原:実際にPoC(概念実証)が始まっていくと、トライ&エラーを重ねるわけですが、医療の世界は難しい側面がありますよね。かなり精度の高いデータを提供しない限りクレームが出やすい。その点に関しては、提携先とどういう話になっているのでしょうか。

加藤:現在、そこを詰めている状態です。考え方として2つあると思っていまして、まずは本格的な医療機器となると、非侵襲で血糖値を測定するセンサーは世界に1つもない。つまり、厚労省含め基準づくりから始めないといけないわけです。そうなると、非侵襲の場合はどのくらいの精度が必要なのか、という問題が出てきます。

針で血液を採取する際はISOで15%以内と決まっています。精度とは基準値との誤差で、どういう前提条件で、どういうことならば、どういう誤差まで許されるのか。また、それを証明するためにどういう臨床をすべきか、そこから決めていかなくてはいけない。

杉原:ISO規格を作る感じですね。

加藤:そうです。そこが大きなミッションとしてあるんです。一方で、医療機器ではなくヘルスケア製品としてアプローチすることもできる。現在、ヘルスケアの分野は雑品だらけでなんでもありなんです。

杉原:よくわかります。

高性能なヘルスケア製品という選択肢も

加藤:健康な人を対象とするヘルスケア製品であれば、だいたいの精度でいい。糖尿病患者さんからすれば、誤差が20あると深刻です。でも、健康な人が運動をコントロールしたり、体調管理の指標として見るなら、絶対値の誤差が20以上あっても問題はない。その点に関する法律がないんです。だから詐欺品に近いものまで紛れ込んでしまう。

杉原:ほんとその通りですよね。

加藤:医療機器としてはグレードが低いけれど、ヘルスケア製品としては高性能。そこもひとつのミッションとしてやっています。

杉原:そのジレンマは多くの人にわかって欲しいですよね。正しい廉価版というか。

加藤:そうですね。その通りだと思います。

杉原:現時点で、どのくらいの販売価格になると想定されていますか?

加藤:いろいろな課題はありますが、アップルウォッチくらいにはしたいと思っています。

杉原:安いっ!

加藤:そうでないと使ってくれないですよ。

杉原:確かに、メールもLINEもできないのに高いと思う人もいるでしょうね。自分事化している人には安く感じますけど。

加藤:針を刺す苦痛から逃れられるので、極端なことを言えば、糖尿病患者さんなら高額でも欲しいはずなんです。そういう声もあります。とはいえ、一般ユーザーのことを考えれば、ウェアラブルウォッチ市場のアッパー価格に近いレンジでないと勝負できないと思っています。

企業をやるうえで一番大切なものは「理念」

杉原:御社がやられていることは、血糖値のみならずいろいろな病気に対応していけるわけですよね?

加藤:最終的には「血液検査」を非侵襲でやりたいと思っています。

杉原:うわぁ、最高ですね。

加藤:365日健診と言いますか、常時健康データをモニタリングされている状況を作ることが第一だと考えています。今後は日本も、自分で自分の健康を守ることに意識的になるべきだと思っています。

心電波形や血圧、心拍のみならず、血中酸素飽和度なども測定できるウェアラブルウォッチ

杉原:冒頭でもお話されましたが、引き続き御社はIoTを通じて健康にまつわる諸問題を解決されていくわけですよね。そのための成長戦略はどうお考えですか? IPOをしていくなど。

加藤:そういう意味では、世の中にイグジットは2つしかなくて。M&AかIPOかという話だと思います。両方ともあくまでイグジットというものの手段であり、その手段に対し、こだわりを考える必要はないと思っています。大事にしているのは、せっかく作った健康に寄与するセンサーを広く使って欲しいということ。既存のウェアラブルウォッチに搭載されて広まるという観点で、ご縁があればM&Aがあってもよいと思いますし、IPOすることで認知度が上がって広まるならばそうします。先ほど言った通りあくまでも手段なので。

杉原:素晴らしいですね。M&AもIPOも本来はスタートのはず。

加藤:そうなんです。最近はゴールのように語られますが、あくまでもスタートだと考えています。企業をやるうえで一番大切なものは「理念」だと思うんです。お金儲けをしたいならば、今流行りの投資案件等をやったほうが手早く儲かりますよ(笑)。

杉原:おっしゃる通りです。ぜひ、今後も何かご一緒できたらと思います。今日はありがとうございました。

加藤和磨(かとう・かずま)
大阪大学医学系研究科卓越大学院プログラム招へい教員。株式会社インテックにて大手基幹システムPM従事。その後、一般財団法人日本政策学校にて共同代表。株式会社グリーン・シップにてCIOを歴任。NPO法人ゆうばり観光協会理事、夕張商工会議所2号議員も務める。

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(text: 富山英三郎)

(photo: 増元幸司)

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【HERO X×JETRO】都市=メトロに風況情報ソリューションを提供。メトロウェザーの「風を読む」テクノロジー

HERO X編集部

JETROが出展支援する、世界最大のテクノロジー見本市「CES」に参加した注目企業に本誌編集長・杉原行里が訪問。京都大学初のベンチャーとしてスタートし、高性能ドップラー・ライダーを開発したメトロウェザー株式会社。大気中にレーザーを照射することで、数キロ先の風向や風速を測定できるという装置で、装置自体は他社でも作られているが、今までにない距離と精度を提供するという。さらにゲリラ豪雨の予測や、ドローンの実証実験にも貢献している。ドローン技術はもちろん、都市防災にも並々ならぬ関心をもつ編集長が、同社代表取締役CEOの東邦明氏に「風を読む」技術の可能性を聞く!

ゲリラ豪雨や強風の
予測を「光」で行う

(画像元:https://www.metroweather.jp

杉原:僕がメトロウェザーさんに興味を持ったのは、もちろん技術的な面もありますが、御社のウェブサイトにも掲載されている「風を制し、空の安全を守る」という言葉がカッコいいなと思ったからです。そもそも、なぜ「風」に行き着いたのですか?

東:もともと学生の時はゲリラ豪雨の予測というか、線状降水帯の研究をずっとやっていて風とは無縁だったのですが、京大大学院のポスドクで古本(京都大学生存圏研究所助教授、メトロウェザー取締役)の元を訪れてから、風に着目するようになりました。よくよく考えてみると、ゲリラ豪雨は夏の入道雲みたいな雲が急にわいてきて雨が降る。今もそうですが、当時はレーダーで予測できるといっても、10分前が限界で、誰が見ても雲が来ているのが見える。雲が急速に集まってくる時というのは、風が集積されて上昇気流ができるから、その風をとらえるともっと早く予測できるのではないかと考えました。あとは、大学の時にもうひとつやっていた研究が、滋賀県の強風だったんです。琵琶湖の西側で山と湖が非常に接近しているところがあって、そこは貨物列車が転覆するくらいの強烈なおろし風が吹くんですね。

杉原:あの風にうまく乗れたら、鳥人間コンテストでも戻ってこられますもんね(笑)。

東:そうそう (笑)。そこで、JR西日本の湖西線の電車がしょっちゅう止まる。その風を解明してほしいということで、共同研究していく中で、「風をとらえる」ということを始めました。最初は風見鶏みたいなものを置いていたのですが、それでは全体像がわからないので、リモートセンシングで測る方法として、海外のドップラー・ライダーを取り寄せてみたんです。それまで大学ではレーダーで風をとらえていたのですが、電波の場合は、どうしても四方八方へ広がることがあって、情報がノイズだらけになってしまう。あとは電波法の規制もあって自由に出せない。ドップラー・ライダーというのは、レーダーではなく光で風をとらえる装置です。でも、琵琶湖側に海外製のドップラー・ライダーを置いてみたら、当時は1キロメートル先もとらえることができなくて。

杉原:1キロ以内といったら、体感のほうが早いですよね。

東:そうなんです。僕は全然ダメだと思っていたら、古本が「自分たちで作ればいい」と言い出したんですね。それが2014年くらいで、2015年の5月にメトロウェザーを立ち上げました。

杉原:従来のものとは全く違うドップラー・ライダーを自社で開発されたということですが、信号処理技術、解析技術などを独自で研究開発されたということでしょうか?

東:そうです。当初は開発に5年もかかるとは思っていませんでした。基本的な原理や構成はレーダーとほぼ同じですし、信号処理の技術も、京大の大型レーダーで培ってきた信号処理技術を応用すれば、さほどハードルは高くないだろうと思って作り始めたのですが、いざ作り始めると、この部品とこの部品の組み合わせはNGとか、この部品とこの部品は相性がいいとか。

杉原:それは材質的な部分ですか?

東:部品メーカー同士の相性などです。どの組み合わせがいいのかは、組み合わせてみなければ分からない部分もあり、そうこうするうちに5年かかってしまいました。幸い、駆け出しのころにNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の補助金をいただいたり、「そういうチャレンジングなことをするのなら投資しよう」という投資家さんが現れたので、なんとか乗り切ったという感じです。

風を読む技術を
ドローン社会のインフラに

杉原:ドップラー・ライダーは10キロ圏内であれば、円としてセンシングできるんですか?

東:半径10キロ、条件がよければ15キロくらいの範囲をスキャンできます。もちろん、鏡を使ってレーザーをいろいろな方向に向けて円形にスキャンすることもできますし、斜め上に照射して三次元でとったりすることもできます。

杉原:やはり高い所に設置したほうがいいのでしょうか?

東:はい。見通しがいいところがいいので、おのずと鉄塔の上などがベストになります。

杉原:今、京大の中で研究しているということですが、仮に京都全域をドップラー・ライダーでセンシングするとなると、およそ何台くらい必要ですか?

東:京都盆地の中だったら、4、5台あればいけると思います。ざっくりとですが。

杉原:え? すごい。想像以上に少なかったです。でも、高い建物というだけではなく、障害物というのがキーですよね。これ、機材の大きさはどのくらいですか?

東:去年の3月にローンチしたタイプでだいたい1立方メートルくらい、重量がかなりあって350キロくらいです。ただ、今年の春には一辺が65センチ四方で重さが130キロくらいのものができます。

杉原:すごい。急に開発スピードが上がっていますね。いったん完成した後のスピードは、「今までなんだったんだ?」と思うくらいですよね。僕も開発しているので、わかります。ドップラー・ライダーはどういう場所で活用することになりますか? 企業のビルに業務委託の形で置かせてもらうのか、それとも公共の場所と手を組むのか。

東:最終的には、ドローンがこれからたくさん飛んでいく世界になった時のインフラにしたいと思っています。例えば、電柱や携帯の基地局に置いていきたいのですが、いきなりそこにはいけないので、今は協力してくださるビルオーナーのもとで、ビルの屋上などに置いているケースと、業務提携契約を結んでいるNTTコミュニケーションズ社の遊休鉄塔などを使わせてもらっています。

杉原:このドップラー・ライダーにはセンシングやアルゴリズムなど御社独自の技術があると思うのですが、出口がとても豊かだなと思います。いま東さんがおっしゃられていたドローン社会の到来もそうだと思うのですが、「風を制す」というところの中で、わかりやすいものでは、日本で社会課題になっている都市防災がありますよね。例えば御社のテクロノジーを使ったら、僕らが今こうむっている災害を防げるということはありますか?

東:防災の観点では、やはりゲリラ豪雨の予測ですね。東京の都市には地下空間がいっぱいあります。よく地下鉄の入り口に止水板が置いてありますが、ああいうものを設置するのに10分前予報だと間に合いません。これが30分前だと、なんとか間に合います。そういう形でドップラー・ライダーを使って浸水を防ぐ、なんらかの対策がとれる、というケースはよくお伺いします。

杉原:ゲリラ豪雨の特徴をもった特殊な風の集積ができた時に、それを感知して「あと30分後にゲリラ豪雨が来る可能性は何%くらいです」みたいな予報になるのでしょうか?

東:たぶん、そうなると思います。

杉原:うわあ、すごい。めちゃくちゃ傘が売れそうですね。

都市部で必要になってくる風の情報

杉原:あとはドローンのための風予測ですよね。今は長崎の五島列島など、人のいない場所で実証実験をやっていますが、都市部で飛ばす場合は、風が一番重要な情報といっても過言ではないと思います。

東:おっしゃる通りで、ANAの五島列島での実証実験で弊社のドップラー・ライダーが使用されたのですが、海の上は比較的乱れが少ないんです。都市に入って来た瞬間に、ビルや建物の影響がすごく出てくるので、風の情報が非常に重要になってきます。

杉原:ドローンに関しては、リアルタイムで24時間データを供給しながら、「今、どのルートがいいよ」と提案していくイメージですか?

東:そうですね。建物の情報はそんなに変わるものではないですが、唯一風の情報だけが時々刻々と変わっていくので。24時間365日の観測情報をドローンのオペレーターに提供していく形になると思います。

杉原:ということは、完全にオートメーション化していかないと、遅延が発生してしまうと、情報が全く違うものになってしまうということですね。

東:ええ。我々も今はほぼリアルタイムで風の情報を提供できるようになっていますが、「今の風」をいかに届けるかというのがポイントです。

杉原:具体的にはどのくらいの時期に実用化をめざしていますか?

東:ドップラー・ライダー自体はお客さんのもとに届いている状況で、サービスは今年中にはスタートしたいと思っています。今はユーザーインターフェース部分の開発を急いでいます。

杉原:それはお客さんによってユーザーインターフェースを変えていくということですか?

東:変えていかないといけない。基盤のところは変わらないのですが、どちらかというとドップラー・ライダーを売るというよりは情報を売るイメージです。だんだんITベンチャーチックな感じになっていくと思います。

ポスドクから
ベンチャー起業の前例となりたい

創業メンバーの四人で力と知恵を持ち寄り次のステージを目指すメトロウェザー。(画像元:https://www.metroweather.jp

杉原:最後に今、日本はポスドク問題のようなものも言われていて、研究室で若手が席を確保するのは至難の技だとさえ言われます。その中で、ポスドクの期間終了時に研究職一本で行くのではなく、起業という選択もあるのではないかということを、御社の場合は示されているのかなと感じました。

東:おっしゃる通りで、ポスドクでよく言われるのが「次がない」ということですが、起業する道もあることを示したいというのは、初期のモチベーションとしてはありました。ディープテック系で成功した事例があまりないので、その成功事例の一つになれればいいなと思います。

杉原:僕もすごく興味があります。今日は貴重なお時間をありがとうございました。

東 邦昭(ひがし・くにあき)
メトロウェザー株式会社代表取締役CEO。2009年に京都大学のポスドクに着任後、大気レーダーを用いた乱気流検出・予測技術の開発・高分解能気象予測シミュレーションの開発を行う。民間気象予報会社において2年間の環境アセスメントの実務経験も持つ。2014年にポスドクを辞めた後、1年間の起業準備期間を経て、2015年に古本氏とともに京都大学発スタートアップとしてメトロウェザーを設立。代表取締役。神戸大学博士(理学)・気象予報士。

(トップ画像:https://www.metroweather.jp

(text: HERO X編集部)

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