コラボ COLLABORATION

「音」を感じる新たなスタイル!【HERO X RADIO vol.23】

HERO X 編集部

ウェブマガジンの枠を超え、リアルに会い、リアルに繋がり、リアルに広がるしかけを作り出すメディア「HERO X」のラジオ番組『HERO X RADIO』。前回第22回のアーカイブ動画を公開、また次回の公開収録は1月24日(金)となっている。

リアルと繋がる場としてスタートしたラジオ番組『HERO X RADIO』は、Shibuya Cross-FM(http://shibuyacrossfm.jp/)にて、毎週第2・第4金曜 13:00-13:50 にオンエア中。渋谷のシダックススタジオから生放送でお届け、ネットからのリアルタイム視聴もできる。

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第23回 HERO X RADIO 放送内容:You Tube
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第23回目の放送のゲストに迎えたのはOntenna開発者の本多達也さん。

本多達也(ほんだ・たつや)
1990年 香川県生まれ。大学時代は手話通訳のボランティアや手話サークルの立ち上げ、NPOの設立などを経験。人間の身体や感覚の拡張をテーマに、ろう者と協働して新しい音知覚装置の研究を行う。2014年度未踏スーパークリエータ。第21回AMD Award 新人賞。2016年度グッドデザイン賞特別賞。Forbes 30 Under 30 Asia 2017。Design Intelligence Award 2017 Excellcence賞。現在は、富士通株式会社にてOntennaプロジェクトリーダーを務めている。

2020年の1回目にふさわしいゲストだと紹介された本多さんを迎え、昨年末のかなりプライベートな話をしながら「ついに2020年が来た!!」とテンション高めに始まった第23回。本多さんが手がけたOntennaは、音のリズムやパターン、強弱をリアルタイムに振動と光に変えるプロダクト。構想したきっかけや発売に至るまでの経緯を聞きながら実際にOntennaを手にした佐藤と杉原は、そのコンパクトな見た目と使いやすさに驚き、何度も当ツールのマイクに向け興味津々に「あー、あー」と声を出し感心していた。

後半は、Ontennaを新たなコミュニケーションツールとして利用するためには?と白熱した議論が展開された。「耳が聞こえない人とそうでない人が臨場感を共有できるようになれば嬉しい」と語る本多さんに、杉原は「耳が聞こえない人の為だけのツールではないところが好き」と共感を示す。教育現場やスポーツ観戦だけにとどまらず子育てや防災、感情表現、さらにはオレオレ詐欺防止まで…!? 大きな可能性を秘めたOntennaの未来にワクワクが止まらない3人。また身体、感覚の拡張を目指すRDSと親和性が高く、一緒にいろんなことができそう!と期待を高まらせた。

目標としていた2020年が始まったばかり。すでに杉原は半年後に訪れる東京2020の終わりを想像し、寂しくなりそうだ…と漏らしたが、この夏大きなことが起きるんだ!と聴いているこちらも期待せざるを得ない。

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過去の放送はこちらYouTube
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次回第24回となるオンエアは、1月24日(金)13時~。
ゲストは音楽プロデューサー Jeff Miyaharaさん。いよいよ始まった2020年。猛スピードで駆け抜けるHERO Xについてこられるか!?

株式会社J-POP 代表取締役 音楽プロデューサー Jeff Miyahara (ジェフ ミヤハラ)
数々のNo.1ヒットと4,000万以上のCD&デジタルセールスの実績を誇り、JUJU with JAY’ED「明日がくるなら」で2009年の日本レコード大賞・作曲賞を受賞。 (その他少女時代、EXO, 安室奈美恵、西野カナ、三代目J SOUL BROTHERSなどに楽曲提供やプロデュース) 2013年に自ら発掘した、クリス・ハートのトータル・プロデュース行い、その年に“輝く!日本レコード大賞”企画賞を受賞。世界でいま最も注目されている作曲家兼音楽プロデューサー。

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HERO X RADIO
毎週第2・第4金曜 13:00-13:50 ONAIR
http://shibuyacrossfm.jp/

(text: HERO X 編集部)

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フィーリングとデータは、分かり合えるのか?伊藤智也×RDS社【究極のレースマシン開発】Vol.4

岸 由利子 | Yuriko Kishi

車いす陸上スプリンターの伊藤智也選手とタッグを組み、エクストリーム・スポーツのプロダクト開発に精通したエンジニアやデザイナーらと共に、「チーム伊藤」を結成したRDS社。今秋より、同社がスタートした伊藤選手のオーダーメード・マシン開発の軌跡を追う本連載も、今回ではや4回目。パラリンピックの北京大会で金メダル獲得、ロンドン大会で銀メダル獲得という栄光の記録を新たに塗り替えるべく、伊藤選手の復帰の舞台となる「東京2020」に向けて加速するマシン開発の裏側を紹介する。

“感覚の数値化”から生まれた、
試作の数々

前回のミーティングでは、伊藤選手の既存のマシンを基に、“しなり”を含むマシンの動きや、走行中の伊藤選手のフォーム、力の分散バランスなどの力学的なデータを、3Dスキャナーやモーションキャプチャ、フォースプレートなどの機器を使って計測した。それから1ヶ月、RDS社の先行開発部は、それらのモーションデータを元に、「感覚を数値化」するべく、多角的な解析作業を行い、3パターンのハンドリム(駆動輪)と、2種類のグローブの試作を開発した。

ハンドリムとグローブは、いわば、車いす陸上用マシンの要。グローブでハンドリムを力強く“蹴る”ことで、マシンは走行し、加速していく。第3回目となる研究開発ミーティングでは、グローブがハンドリムに接地する角度や位置、接地面積など、緻密な調整を凝らした試作の実装実験が行われた。

感覚の数値化を伊藤選手や開発チームのメンバーと共有するために、RDS社先行開発部の岡部卓磨氏から、データ解析とハンドリムの試作の経緯についての説明が行われた。

「先月のテストで得られたデータをCAD上に落とし込み、二次元で可視化していきました。グローブがハンドリムに接触を開始する時と、リリースする手前とで、伊藤選手の親指の角度に変位が見られたので、ハンドリムの断面形状をその2箇所と中間点から抽出し、パターン1~3の試作開発に活かしてみました」

ハンドリムの試作は、中央が山なりになったもの、内側、あるいは外側にやや傾斜したもの、と異なる形状に仕上がっている。実装実験では、これらの違いと、グローブとの関係性が、駆動力にどのような変化を与えるのかを検証していく。

20年のアスリート人生の結晶と、
最先端テクノロジーの確かな融合

試作の一つを試すと、「このグローブ、相当エエんとちゃうかな。(ハンドリムに当てながら)、キャッチングの良さが全然違う」と伊藤選手。これまで伊藤選手は、自作のプラスチック樹脂製のグローブを使っていた。使えば使うほど、傷みも生じる消耗品ゆえ、新しいグローブが必要となれば、その都度、高温の樹脂を手にかけて型をとるという荒削りな方法で作ってきた。だが、自分の体のことを誰よりもよく知っている本人が作ったものだけに、グリップ部分は、吸い付くように伊藤選手の手によく馴染んでいる。開発チームは、この形状を活かそうと、既存のグローブを3Dスキャンにかけ、「親指を入れるパーツの上部面を5度上げたい」という伊藤選手からの要望を取り入れた試作を開発した。

手前がハネナイト。奥がハーネス。

さらに、ゴム素材にもこだわった。耐久性に優れ、かつ馴染みの良いゴムとして、伊藤選手が愛用してきたハーネス(Harness)の間に、衝撃吸収性の高い“ハネナイト”という名のゴムをクッションとして挟んだ。ハーネスのゴムシートの上で、ソケットレンチを垂直に落とすと、ポーンと軽く跳ね上がる一方、「ドスッ!」と音を立てて沈むほど、ハネナイトには、強力な衝撃吸収力がある。

「エキスパートとのマシンの開発って、本当に面白いですね。このグローブ一つにしても、僕の20余年の結晶と今の最先端テクノロジーが確実に融合しているので。本当に、ジャストフィットです」と満足げな様子の伊藤選手。

「フィーリングは、
めちゃくちゃエエ感じ」

「僕たちのミッションは、伊藤選手のこぎ方に合ったものを極限まで最適化していくことです。なので、伊藤選手、いつも通りにこいでください。それでは、始めましょう」と話すのは、開発の指揮を執る同社クリエイティブ・ディレクターで、HERO X編集長を務める杉原行里(すぎはら・あんり)

今回も、伊藤選手の感覚を数値化するために、モーションキャプチャでデータを計測しながら、実装実験は進められた。

「(こいでいる時の)フィーリングは、めちゃくちゃエエ感じです。“入り”と“抜け”の感覚が異常に良い。ただ、右が滑ります。左はそんなに滑ってないかな。おそらく材質の問題だと思います。それ以外は、めちゃくちゃこぎやすいです」

伊藤選手の言う入りとは、グローブがハンドリムに接触し始める時で、抜けとは、グローブをハンドリムからリリースする時のこと。インターバルを挟みながら、繰り返しこいでみたが、やはり滑るようだ。

「ペーパーで削って、バーナーで炙ると良くなるかもしれません」と、ハンドリムを自ら調整し始めた伊藤選手。今回の試作に使われているのは、自転車タイヤのゴム。炙ると、新しいゴム特有のぬめっと滑る感触は改善された。

その後も、実装実験は続けられた。グローブには、親指を入れる面と、人差し指と中指を入れる面の二つがあるが、後者でハンドリムを回そうとすると、滑ってしまい、全力でこぐことができないという状況が続いた。ハンドリムに使用したゴム素材とグローブ形状の相性が思わしくなかったことが原因である。

スローモーションの映像で、ハンドリムとグローブの接地具合を確認中の岡部氏(左)。

「断面が山型になっているパターン1のハンドリムに関しては、グローブインパクト時(グローブがハンドリムに接触する瞬間)、スムーズにこぐ動作へ移行できるという良いフィーリングを伊藤選手に感じてもらうことができました。ハンドリムという回転するパーツをさらに加速回転させるためには、いかに抵抗なく、減速させずに力を入れていくか。これが、キモになってきます。本来の目標であるハンドリムの駆動力向上データの取得は叶いませんでしたが、その一方、新たな試作を作る上で大切な要素の確証を得られたことは、大きな収穫です」と先行開発部の岡部氏は、実装実験の結果について話す。

この日、テスト終了後に行った3Dスキャンデータを基に、開発チームは、パターン1のハンドリムの本仕様の設計と、グローブに使うゴムを含める素材について再検討を進めている。果たして、心置きなく全力疾走できるマシンが、次回はお目見えするか?引き続き、「伊藤モデル」の開発過程を追っていく。

vol.1  獲るぞ金メダル!東京2020で戦うための究極のマシン開発に密着

vol.2  選手と開発者をつなぐ“感覚の数値化”

vol.3  100分の1秒を左右する“陸上選手のためのグローブ”とは?

伊藤智也(Tomoya ITO)
1963年、三重県鈴鹿市生まれ。若干19歳で、人材派遣会社を設立。従業員200名を抱える経営者として活躍していたが、1998年に多発性硬化症を発症。翌年より、車いす陸上競技をはじめ、2005年プロの車いすランナーに転向。北京パラリンピックで金メダル、ロンドンパラリンピックで銀メダルを獲得し、車いす陸上選手として、不動の地位を確立。ロンドンパラリンピックで引退を表明するも、2017年8月、スポーツメディア「HERO X」上で、東京2020で復帰することを初めて発表した。

(text: 岸 由利子 | Yuriko Kishi)

(photo: 増元幸司)

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