テクノロジー TECHNOLOGY

MONTHLY PICK UP:センシング技術の可能性

HERO X 編集部

医療機器のウェアラブル化やリハビリ・トレーニング効果の数値化など、今や医療、福祉、スポーツといった分野にも欠かすことができなくなってきたセンシング技術。3月のMONTHLY PICK UPでは、センシング技術によって進化した最新のプロダクトを特集します。

胃酸で発電!?
飲込みセンサの実用化を
加速させる東北大学の発明とは

飲み込んで使うカプセル内視鏡が実用化されて久しいですが、こちらは身体の深部体温を正確に測ることができる「飲込みセンサ」です。すでに、アメリカやヨーロッパでは実用化されている技術ですが、東北大学の発明の凄いところは胃酸で発電ができるところ。電池を使わないことで、一体どのような使い方が可能になるのか、吉田慎哉特任准教授にお話しをうかがいました。

爪の変化で健康状態を管理!
IBMが開発する爪装着型センサー

日々、ヘルスケアデバイスの小型化・軽量化が進むなか、IBMが新たに目を付けたのは、なんと人の「爪」。指先に装着する超小型のウェアラブルデバイスで、どのようなことがわかるのか。昨年12月に発表されたばかりの最新テクノロジーをご紹介します。

髪の毛一本より薄い!?
皮膚貼り付け型心電計測デバイス

貼り付け型の計測機器は、ここ日本でも研究が進められています。理化学研究所と東京大学の研究チームが共同で2018年9月に発表したのが、「皮膚貼り付け型心電計側デバイス」。より気軽で手軽に、心電図を計測できるようになるかもしれないと期待されている技術をご覧ください。

スキーや四輪レースの
滑走・走行データを可視化!
Cerevo発のセンサモジュール

スポーツの世界でも活用されるようになってきたセンシング技術。株式会社Cerevo(セレボ)が2019年に合わせて発表したのが、スキー板に取り付けるセンサモジュール「XON SKI-1」と、四輪レース用のデータ表示・配信機器「XON ZECH-1」です。スポーツのダイナミズムを可視化するという試みに、多方面から大きな注目が集まっています。

センシング技術のプロが、
「帝人フロンティア」とタッグを組んだ理由
【the innovator】

大手商社兼メーカーであり、近年はスポーツやヘルスケアにおけるウェアラブル製品の研究・開発に注力してきた「帝人フロンティア」が、「株式会社スポーツセンシング」とタッグを組み、「帝人フロンティアセンシング」という新しい会社が誕生しました。その狙いはどこにあるのか。新会社が描く未来のビジョンに迫ります。

(text: HERO X 編集部)

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テクノロジー TECHNOLOGY

人工眼で失われた視力を取り戻す!?人生を変えるテクノロジー「バイオニック・アイ」

岸 由利子 | Yuriko Kishi

「網膜色素変性症(もうまくしきそへんせいしょう)」って、聞いたことがありますか?これは、網膜の視細胞が、数年から数十年かけて、ゆっくりと退行変性していく遺伝性の眼の病気。米・メリーランド州の「ナショナル・アイ・インスティチュート」(The National Eye Institute)によると、世界の約4000人に1人が発症すると推測されています。

暗いところでものが見えにくい「夜盲」や視野が狭くなる「視野狭窄」、「視力低下」などの症状が見られますが、進行度も重症度も、個人差が大きいことが特徴です。生涯良好な視力を保つ人がいる一方、中途失明の三大原因のひとつでもあり、視力を失う人も少なくありません。

(引用:curechm.org)

網膜色素変性症により中途失明した人にとって、希望の光となり得るのが、米セカンド・サイト社の開発した「アーガスⅡ・バイオニック・アイ」と呼ばれる人工眼。システムが少し複雑なので、ステップ・バイ・ステップで説明したいと思います。

まず、患者の眼球内に光受容体が搭載された「人工網膜」を移植します。網膜のインプラントとも言い換えることができますが、この移植だけで、裸眼による視力が回復するわけではありません。

(引用:futurism.com

「アーガスⅡ」は、「VPU(ヴィデオ・プロセッシング・ユニット)」という外部デバイスと、ビデオカメラを搭載した専用サングラスを通して、人工網膜に映像を転送することで、視覚情報を再現できるシステム。網膜色素変性症の患者にとって、初の実用的治療だと言われています。

ここで注目したいのは、イギリスの国民保健サービス「NHS(ナショナル・ヘルス・サービス)」の取り組み。網膜色素変性症により視力を失った10人の患者を対象に、アーガスⅡの効果を測るための臨床研究を実施するのです。

「この極めて革新的な取り組みは、患者に真の約束を示すもの。人生を変えることも可能でしょう」とNHSのジョナサン・フィールデン博士。

対象者は2つのグループに分けられ、2017年中に、マンチェスター・ロイヤル・アイ・ホスピタルと、ムーアフィールド・アイ・ホスピタルで治療を受ける予定で、術後は、1年をかけて、じっくり経過観察を行い、有用な治療法であることを証明していく方針です。

イギリスのガーディアン紙によると、現在、同国内で網膜色素変性症を患う人は、約16,000人。そのうち、アーガスⅡの治療を受けるに相応しいのは、160~320人と推測されています。より多くの人が光を取り戻せるよう、まずは臨床研究の成功を祈るばかりです。

[引用元]curechm.org / futurism.com

(text: 岸 由利子 | Yuriko Kishi)

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