医療 MEDICAL

爪の変化で健康状態を管理!IBMが開発する爪装着型センサー

Yuka Shingai

最先端技術により、小型化、軽量化がますます進むヘルスケア、ヘルスチェック製品。 HERO Xでもこれまでウェアラブルデバイスなどを数々ご紹介してきたがIBM Researchは2018年12月に健康状態をモニタリングできる爪装着型センサーのプロトタイプを発表した。

これまでも、パーキンソン病患者に対する治療薬の効果や、統合失調症患者の認知機能のレベルなど、ありとあらゆる健康問題を判断する指標として研究対象となっていたヒトの握力。当チームが注目したのは、そこからさらに細部である『爪』だった。

指でモノをつかむ、握る、曲げる、伸ばすなどの動作においても爪は一定のパターンで歪んだり、動いたりと変形している。そのほとんどが10ミクロンにも満たないほどの変形であり、裸眼では捉えられないレベルだが、複数のひずみゲージと、ひずみの値をサンプリングする小型コンピューターを爪に装着することで、握力を正確に予測できる十分なシグナルが得られることが実証されている。

また、鍵を回す、取っ手を回してドアを開ける、スクリュードライバーを使うなど日常的な繊細な指の動きも解析が可能。センサーを装着した指で書かれた数字を、94%という極めて高い精度で検出することにも成功している。

皮膚装着型のセンサーは高齢の患者が使用した場合、感染症を起こすリスクも考えられるが、爪装着型センサーであればその問題がクリアできる。

販売時期については未定だが、スマートウォッチと通信して、パーキンソン病の症状である運動緩慢、震え、運動障害の評価を行ったり、四肢麻痺患者のコミュニケーションに役立つことも期待される。指先の構造をモデルにした新たなデバイスへの着想も得られるなど、指先、爪先から広がるイノベーションに今後期待ができそうだ。

[TOP動画引用元:https://youtu.be/fYyPx8jw_3k

(text: Yuka Shingai)

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医療 MEDICAL

治りが早く、動きやすく、目立ちにくい。天然素材の3Dプリント包帯!

富山英三郎

ナノ単位の繊維で生まれた包帯が、部位に沿って3Dプリンタから肌に直接印刷される。しかも、素材には大豆たんぱく質が使われ、従来よりも傷の治りが早く、動きやすく、目立ちにくい。そんな未来の包帯が米国のテンプル大学で開発された。さらには、近い将来、家庭向けのハンディタイプが発売される日が来るという。

テンプル大学のバイオ・エンジニアリング教授・ジョナサン・ゲーステンハーバー氏と研究チームは、エレクトロスピニング法(電界紡糸)を使い、体の形状に合わせて包帯を直接印刷する3Dプリンタを開発した。

印刷される包帯の繊維はナノ単位の細さ

この包帯は止血効果があるだけでなく、傷を負った組織の再生をサポートすることも可能だという。その秘密は、コットンやポリウレタンといった従来の包帯よりも、組織の治癒が高まる大豆タンパク質を素材にしている点にある。

ジョナサン教授の新しい包帯は、大豆タンパク質を使い、ナノファイバーなどの製造で使われるエレクトロスピニング法(電界紡糸)で合成繊維を作成。その繊維ひとつひとつは、毛髪よりもはるかに細いナノ単位。それらは細胞の形状と似た構造であり、肌の一部のように密着することで治癒能力も高まるという。また、3Dプリンタを使えばそれぞれにパーソナルフィットし、肌に馴染むほど動きやすくなるというメリットも生まれる。さらに、水を使って塗布することで、本来は白い包帯がほぼ透明になるので見た目にはわからない。
これらの技術は、重度の傷や、広範囲に火傷を負った患者などにとってより有用だと考えられる。唯一の問題は、皮膚の患部を3Dスキャンする必要があり、その工程をいかにスピードアップさせるかという点にある。

ハンディタイプ(ハンドヘルド版)も開発中

そこで現在は、より素早く使えるようハンディタイプ(ハンドヘルド版)のプリンタも開発中。2018年3月25日には、フランクリン研究所でプロトタイプのデモンストレーションもおこなっており、こちらのほうが市場に出る日が近いといわれている。
ジョナサン教授は「将来、ハンディタイプの包帯プリンタがすべての家庭に置かれることを望んでいる。自身の体をより自然なカタチで、自らで治すことができれば最高のことだ」と語っている。

どのタイプのハードが市場に投入されるかは未知数だが、傷の上から肌を塗布する感覚で、包帯プリンタを使う将来は間違いなさそうだ。そのほうが傷が治りやすく、目立たず、動きやすいというのだからいいことづくめだ。

[出典元]
https://temple-news.com/professor-develops-individual-3d-printed-bandages/
https://all3dp.com/temple-university-professor-develops-electrospun-healing-3d-printed-bandages/

(text: 富山英三郎)

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