医療 MEDICAL

スマホひとつで医師の診察が受けられる!5Gで進化する疾患管理システム「YaDoc」

HERO X 編集部

以前から注目されてきたオンライン診療。今までは対面での診療に代わる役割を果たすまでには至らなかった。しかし、通信5G化の時代を迎え、オンライン診療は急速に進化している。疾患管理システム・YaDoc(ヤードック)は、問診はもちろん、対面での医師の診察もスマートフォン上で可能。医療の常識は大きく変わりそうだ。

YaDocは、患者が手持ちのスマートフォンやタブレットで利用できるオンライン医療アプリ。自宅や遠隔地からも、このアプリを経由して主治医とつながることができる。利用できる機能は大きく3つ。治療に必要な体重、血圧、食事などの記録を患者が自分で入力する「モニタリング」。疾患ごとに設定された問いに患者が答えることによって、主訴を医師に伝えることができる「オンライン問診」。そして、ビデオ通話によって医師の診察を受けられる「オンライン診察」だ。

この中で最も注目されているのが、オンライン診察だろう。オンライン診察に関しては、従来から高齢者を中心に大きなニーズがあった。しかし、通信速度やハード面での制約があり、本格的な導入は難しかったが、スマートフォンでも5G対応の機種が次々発売されるようになり、患者は手持ちのタブレットやスマートフォンでビデオ通話をストレスなく利用できるようになったのだ。

YaDocはすでに、複数の医療機関に採用されているそうだ。オンライン診察は予約制なので、医師が余裕をもって患者を診ることができる。また、遠隔地に住む患者や、難病を抱える高齢者にとっては、通院による待ち時間を気にしなくていいのが最大のメリットである。さらに、自宅での受診が可能なため、通院を敬遠しがちな働き盛り世代の“治療ドロップアウト”をも防ぐことができる。特別なシステムを導入するのでなく、アプリをインストールするだけという点も利用者に評価されているとのことだ。

5Gインフラを活用することで、受診の敷居はグッと下がったといえよう。同じように5Gを利用したものとして、現在、スウォンジー大学が研究を進めているのが、以前もご紹介した「スマート包帯」。

http://hero-x.jp/article/4947/

患者が患部に巻いたスマート包帯から送られてくるデータを、遠隔地にいる医師が瞬時にモニターできる。

通院が難しい患者の治療に、今後はオンライン診療がどんどん活用されていくだろう。誰もが等しく、適切な治療をタイムリーに受けられる時代に。通信技術の進化で、その夢も叶えられそうだ。

 [TOP動画引用元:https://youtu.be/Q23oAs6X95Q

(text: HERO X 編集部)

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医療 MEDICAL

メンテナンス手術が不要に。3Dプリンター技術による新たな乳房再建方法

HERO X 編集部

女性のがんの中で罹患率が最も高いとされる乳がん。乳がんによりなくした乳房を再建する手術を受ける女性も多い。しかし、一般的に行われているシリコン・インプラントを使った再建では、数年ごとにインプラントを入れ替える必要があったのだが、近い将来3Dプリンター技術を使った乳房再建方法が生まれるようだ。

開発を手がけているのは3Dプリンターを独自開発するドイツのBellaseno社。ポリマー材を3Dプリンターで精巧に印刷したインプラントを製造し、インプラントを患者自身の体脂肪で組織形成する技術の開発により、長期的な投薬や度重なる手術によるリスクを回避することが可能だという。この特殊な3Dプリンティングを可能にしたのが日本の技術だった。精密さを要する治工具などを手掛ける企業のテクダイヤ株式会社は、インプラントの材料となるポリマーを巧みに積み上げていくためのディスペンサーノズルを開発、3Dプリンターの開発を成功に導いた。インプラントの材料となるのはポリマー(ポリカプロラクトン)と呼ばれる素材だが、形成にはディスペンサーノズルからこのポリマーを早いスピードで正確に吐出し積み上げていく必要があった。人の体に入れるもののため、その構造は非常に精密で複雑。小径のノズルかつ高精度な塗布ができるノズルが求められていた。 同社は先端わずか150μmのディスペンサーノズルの先端端面を液状の研磨材を使って研磨する「ラップ研磨」によりさらに加工、流動性を高めるためにシリンジとノズルを同口径化することでBellaseno社が手がける3Dプリンターに必要な部品を作り上げた。

これまで乳房再建に使われてきたのは主に2つ。「シリコン・インプラント」と呼ばれるものを乳房を切除したところから入れ込む方法と、お腹や背中の組織を使い再建する「皮弁(ひべん)法」という方法だが、シリコン・インプラントは10年ごとにインプラントの入れ替えが必要となり、「皮弁法」では乳房切除部分以外にも傷が残るなどのネックがあった。

また、今年に入り、乳がんによる乳房再建手術などでも使われる人口乳房が原因で血液ガンになった症例が国内でも発見され、乳がんの再建手術についてはより安全な方法を求める声が高まっている。 Bellaseno社が開発中の3Dプリンターを用いた乳房再建技術は現在、前臨床段階で来年には順次病院へと展開される予定だ。この技術が導入されれば、メンテナンスのための再手術の必要もなく、患者の体の負担も減る。新たな技術の力でまたひとつ、最新医療が日本でも生まれようとしている。

[TOP画像引用元:BellaSeno

(text: HERO X 編集部)

(photo: テクトダイヤ株式会社)

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