テクノロジー TECHNOLOGY

人間の感覚を拡張する!?超人的な反射神経を実現するウェアラブルデバイス

Yuka Shingai

近年、エクササイズ機器として活用されることが増えたEMS(=Electrical Muscle Stimulation、筋電気刺激)。運動神経を通じて、筋肉に「動け」と指令する脳の動きにかわって、筋肉に直接電気を流すことで収縮・弛緩させる仕組みだ。ソニーとシカゴ大学の共同研究チームは、この仕組みを利用して、人間の反射神経が向上したかのように感じさせるウェアラブルデバイスを現在開発中だ。

人間の平均的な反射反応時間は約250ミリ秒(4分の1秒)と言われているが、このデバイスを装着することによって反応を200ミリ秒前後にまで縮められると同チームはコメントしている。

つまり、脳が筋肉を動かすように指令を出し、伝達されるまでに約50ミリ秒かかっているということ。実際は脳の指令によって筋肉を動かしているはずなのに、さも自分の意志で身体をコントロールしているかのように錯覚してしまうのは、「意図」と「行動」の間に存在するこの約50ミリ秒の仕業ではないかというのが彼らの持論でもある。

ちなみに、通常の反応時間よりも80ミリ秒短縮しても、「自分自身のコントロールで身体を動かした」と認識するとの研究結果も出ているそうだ。

現在、ウェアラブルEMSの一般化には至っていないが、超人的な反射神経を実現し得るのだとすれば、この技術の発展に期待しないわけにはいかない。

プラスアルファの能力を備えようとすると、現段階ではパワードスーツやロボットアームなど、アイテムを「装着」する感覚がつきものだが、これからは、あるがままの姿に寄り添うような形での身体拡張が身近になっていくのかもしれない。

[TOP動画引用元:https://youtu.be/1BT8REEJibM

(text: Yuka Shingai)

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テクノロジー TECHNOLOGY

世界初の空飛ぶバイク「LMV496」 約6100万円!

富山英三郎

公道を軽やかに走るバイクが、トランスフォームして空を飛ぶ。そんなアニメのような世界がついに実現した。手がけたのはフランスのカスタムメーカー、LAZARETH(ラザレス)社。空を自由に飛び回るほどではないが、世界初の試みを映し出したティザーに世界が震撼。今年の10月には予約注文が開始される。

乗り物好きには知られた、
フランスのぶっ飛び系メーカー

1998年の創業以来、2輪、3輪、4輪にこだわらず、さまざまな乗り物をカスタムしてきたフランスの LAZARETH(ラザレス)社。その独創的な発想と実行力に、世界中のビハイクルファンが毎回度肝を抜かれてきた。同社は映画『TAXI』シリーズや広告向けのカスタムカーを作成するなど、そのデザイン性に対する評価も高い。

そんなラザレス社が、2019年3月に世界初となる空飛ぶバイク『LMV 496』のティザー映像を公開した。

引用元:https://www.lazareth.fr/

仕組みとしては、通常は走行距離100kmの電動バイクだが、飛行時は4つのホイールがそのまま90度開いてドローンのようなカタチに変身。それぞれのホイールにはガスタービンが搭載されており、1分間に9万6000回転する仕組みとなっている。なお、動画では、地面からおよそ1m離れたところで約1分間ホバリングしているのを確認することができる。

49万6000ユーロ(約6100万円)

こちらは、2019年10月にドバイで開催される世界最⼤規模の情報通信技術(ICT)展⽰会『GITEX』に出展。そこで4台限定で予約注文をスタートするとか。価格は49万6000ユーロ、日本円にして約6100万円。世界初のモデルであるので、歴史的な価値は大きい。日本の道交法で許可が下りるのかは不明だが、通常の電動バイクとして公道を走っている姿だけでもかっこいいので、余裕のある方はぜひ。

ちなみに、この空飛ぶバイク『LMV 496』は、2016年に発表した『LM 847』がベースとなって設計されている。『LM 847』は、前後に2本ずつ計4本のタイヤを装着した全長2560mmのボディに、マセラッティ製の4.7LV8エンジンを搭載したモデル。その奇想天外な見た目と、470馬力という驚異のパワーは当時さまざまなメディアで取り上げられたほど。それが3年後に空を飛ぶというのだから、まだまだ世の中捨てたものじゃない。


空飛ぶバイクのベースとなった『LM 847』 引用元:https://www.lazareth.fr/

[TOP画像引用元:https://www.lazareth.fr/

(text: 富山英三郎)

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