プロダクト PRODUCT

スマート化したハイテクベッド「Sleep Number 360」が 現代人の悩みを解消!?

長谷川茂雄

あらゆるプロダクトの加速度的な IoT化、スマート化は、現代人のライフスタイルを日々変化させている。どうやらその流れは、便利さの追求以外にも波及しているようだ。昨今、世界的にも見直されている睡眠の質。それを向上させることにも、新たなテクノロジーが活かされ始めている。毎年ラスベガスで開催される電子機器の大規模な見本市、CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)にて、2017年度の “ベスト・オブ・イノベーションズ” にも選出されたスマートベッド「Sleep Number 360」は、スマホやタブレットと連動しながら良質な睡眠をプロデュースするという。その画期的な機能とは?

睡眠を可視化して質を上げれば、
ライフスタイルが変わる

人生の充実度、幸福度を決める指標は、人それぞれかもしれないが、誰にとっても必要な睡眠の質を上げることは、ライフスタイルに好影響を与えることは間違いない。

一流のアスリートを目指すなら、良質な睡眠を得ることに努力すべきだと言われるが、もはやそれは全ての現代人に当てはまる命題なのかもしれない。

とはいえ、あらゆるタスクに忙殺され、思うような睡眠が取れないのも現代人の宿命。ならば、最先端の技術を駆使して、限られた時間で得られる睡眠のパフォーマンスを上げるべき。「Sleep Number 360」は、そんな思いを具現化したスマートベッドだといえそうだ。

「Sleep Number 360」のマット内には、あらゆるセンサーが内蔵されている。例えば、マットレスの硬さは自分の好みにアジャストできることはもちろん、実際に寝ている間の姿勢に合わせて、空気圧を細かく調整。最適な密着度をキープしてくれるのだ。寝返りをどれだけ打っても、朝まで快適な寝心地が保てれば、睡眠の質は飛躍的に上がる。

そればかりか、いびきを自動検知して、枕側のマットレスを少しだけ持ち上げることで、いびきを軽減したり、冬は、入眠前に足元を温めておいてくれたりと、睡眠の質向上に繋がる機能がいくつも備わっている。

これらの設定は、スマホやタブレットに専用アプリをインストールするだけで簡単に行えるし、心拍数や呼吸数、寝返りを打ったタイミングやベッドに入ってから実際に眠りにつくまでの時間などは数値化され、毎日チェックできる。

しかもこれらのデータをもとに、睡眠の質を上げるためのアドバイスもしてくれるから、日々睡眠の状態を確認しながら、睡眠の質を上げる細やかなプランが立てられるというわけだ。

ライフスタイルを充実させるために気を使うべきは、起きて活動している時間のみならず。意識のない睡眠時間を有意義にすることは、人生そのものを豊かにしてくれる。

「Sleep Number 360」を活用して睡眠を可視化すれば、ライフスタイルそのものの質を上げる道標も見えてくるに違いない。

[TOP動画引用元:https://www.youtube.com/watch?v=9sE4Zxgmdyw

(text: 長谷川茂雄)

  • Facebookでシェアする
  • LINEで送る

RECOMMEND あなたへのおすすめ

プロダクト PRODUCT

アスリートの100%に100%で応えたい。義肢装具士・沖野敦郎 【the innovator】前編

岸 由利子 | Yuriko Kishi

トラックを颯爽と駆け抜けるパラアスリートの身体と義肢の見事な融合は、義肢装具の製作や調整を行うプロフェッショナルである義肢装具士の存在なしに実現しない。日本の義足陸上競技選手初のパラリンピック・メダリスト山本篤選手や、リオパラリンピック4×100mリレー(T44)で銅メダルを獲得した佐藤圭太選手など、名だたるトップアスリートの義肢装具を手掛ける義肢装具士の沖野敦郎さんは、「選手が、100%の力を発揮できる義肢装具を作りたい」と話す。なぜ、ジャスト100%にこだわるのか。東京都台東区・蔵前の一角にあるオキノスポーツ義肢装具(以下、オスポ)の製作所で沖野さんに話を伺った。

専業制を選んだ理由は、人にあり

山梨大学機械システム工学科在学中の2000年、シドニーパラリンピックのTV中継で、義足で走るアスリートの姿を初めて見て衝撃を受けた沖野さん。大学卒業後、専門学校で義肢装具製作を学んだのち、義肢装具サポートセンターに入社した。以来、たゆまぬ努力を重ね、義肢装具士としてのキャリアを積み上げていき、2016年10月1日、満を持して独立。自身の名であるオキノと、スポーツを掛け合わせた「オスポ」をその名に冠する義肢装具製作所を設立するに至った。

一般的に、義肢装具製作所は「分業制」と「専業制」に分かれているが、オスポは、完全専業制。断端の採型(型採り)から義足の組み立て、納品に至るまで、すべて沖野さんが一人で行っている。一方、10名以上のスタッフがいる作業所では、分業制を取るケースが多く、型を採る人、削る人、組み立てる人、納品する人と作業別の担当に分かれ、流れ作業で作り上げていく。

「分業制だと、確かに作業の質は上がるのですが、例えば、削ることを専門としている義肢装具士の場合、自分が削った商品がどのように納品されるのか、あるいは、調整が必要になった時、どこに不具合があるのかということが書類上でしか分からず、“人”が見えなくなるのではないかと思いました。実際に、義肢装具を付ける人のことですね。私が専業制を選んだ理由の一つは、その人たちと直に接したかったからです。要望をしっかりと捉え、本当に満足していただける義肢装具を作るためには不可欠なことでした」


完全オーダーメードのソケットは、義足の要

沖野さんが左手を携えるパーツが、ソケット

義足に関して、義肢装具士が主に製作するのは、断端(切断面)を収納し、義足と接続する「ソケット」と呼ばれる部分だ。

「その人の足の太さや長さ、筋肉の付き具合などを見極めて、石膏で断端部分の型採りを行い、完全オーダーメードで作ります。F1に例えるなら、義足はレーシングカー、ソケットは車のシートに当たる部分。どんなに優れたタイヤやエンジンを積んでいても、シートの出来が悪ければ、レーサーは長時間乗るに耐えられません。それと同じで、ソケットは、義足の履き心地に関わる重要な部分。その人の断端の形状や動きにぴったり合わせられてこそ、意味を成します」

新たなものが生まれては、消え、また生まれる。日進月歩で進化を続けるソケットの製作技術だが、「真に価値ある技術を見定めることが大事」と沖野さんは話す。その上で新たに製作したソケットを、アスリートをはじめとした義肢装具ユーザーに使用してもらい、生の感想を次の製作にフィードバックすることで、オスポ独自の技術にさらなる磨きをかけていく。

優れた義肢装具は残らない

日常用の義足(左)と競技用義足(右)。中央は、スパイクソールの付いた競技用義足の板バネ

日常用の義足と競技用義足とでは、使用目的が異なるように、構造も大きく違う。だが、ジョイント部品や「板バネ」と呼ばれる炭素繊維強化プラスチック製の部分など、ソケット以外のパーツについては、基本的には、アスリートや義肢装具ユーザーの要望をもとに、メーカーが開発した既製品を組み合わせていくという点では共通している。

「板バネは、主にJ型とC型がありますが、メーカーによっても特性はさまざまです。陸上競技はJ型、幅跳びはC型、あるいは、その逆の組み合わせというように、種目によって板バネを変える選手もいますし、求める動きや好みによって皆、違います。オスポでは、ユーザーの数だけ存在する多種多様な要望を満たすために、さまざまな技術を駆使していますが、既製品で対応できない場合は、埼玉県にある(株)名取製作所と共同で、オリジナル部品を製作しています」

国境や時代を超えて、誰もが絶賛する絵画は、美しい額縁で飾られ、極めて優れたコンディションで保存されて残っていく。だが、沖野さんによると、義肢装具の場合は、その逆だ。もし、キレイな状態で残っていたとしたら、それはすなわち、使われていないことを意味する。

「(身体に)合わない義肢装具は、使わないからキレイに残っているんですね。乗りやすい車をとことん乗り倒すのと同じで、ぴったりフィットした義肢装具なら、壊れるまで使うので、残らないんです。だからこそ、メンテナンスが大事。 “どんなオリジナル部品を作っているんですか?”とよく聞かれるのですが、その選手のためだけに作ったものなので、本人に来てもらわないかぎり、お見せすることができないのが残念なところなのですけれど」

後編につづく

沖野敦郎(Atsuo Okino)
1978年生まれ、兵庫県出身。オキノスポーツ義肢装具(オスポ)代表、義肢装具士。山梨大学機械システム工学科在学中の2000年、シドニーパラリンピックのTV中継で、義足で走るアスリートの姿を見て衝撃を受ける。大学卒業後、専門学校で義肢装具製作を学んだのち、2005年義肢装具サポートセンター入社。2016年10月1日オキノスポーツ義肢装具(オスポ)を設立。日本の義足陸上競技選手初のパラリンピック・メダリスト山本篤選手リオパラリンピック4×100mリレー(T44)で銅メダルを獲得した佐藤圭太選手の競技用義足、リオパラリンピック男子4×100mリレー(T42-47)で銅メダルを獲得した多川知希選手の競技用義手や芦田創選手の上肢装具など、トップアスリートの義肢製作を手掛けるほか、一般向けの義肢装具の製作も行う。

オスポ オキノスポーツ義肢装具
http://ospo.jp/

(text: 岸 由利子 | Yuriko Kishi)

(photo: 河村香奈子)

  • Facebookでシェアする
  • LINEで送る

PICK UP 注目記事

CATEGORY カテゴリー