テクノロジー TECHNOLOGY

ASIMOの歩行理論を使って、人間の“歩く”をサポート「Honda歩行アシスト」

高橋亜矢子-TPDL

BMW製の競技用車いすのように、自動車メーカーがパラリンピック関連用具や福祉機器を手がけることも多い昨今、Hondaは病気や怪我、老齢化によって脚力が低下した人に向けた歩行訓練機器「Honda歩行アシスト」を開発。現在リハビリテーション病院や介護老人保健施設などに導入され、“自力で歩く喜び”を多くの人たちに提供しています。

ASIMOで培った歩行理論「倒立振子モデル」をベースにした本製品は、左右のモーターに内蔵された角度センサーで歩行時の股関節の動きを検知し、制御コンピューターがモーターを駆動させる仕組み。股関節の屈曲による下肢の振り出しの誘導と伸展による下肢の蹴り出しの誘導を行うことで、効率的な歩行をサポートします。


最大の特長は、約2.7kgという軽さと着脱の容易さ。独自の薄型モーターや制御システム、扱いやすい機構によって使用者の負担を軽減することに成功しています。また連続歩行だけでなく、ステップ訓練にも適応した3つのモードを搭載。付属のタブレット端末で、モードの設定やサポート強度の設定も簡単に行えます。


歩行時の左右対称性、可動範囲、歩行速度などをリアルタイムに解析する機能も付いているので、歩行訓練のモチベーションアップにも。今後の展開も多いに期待されている革新的なプロダクトです。

Honda歩行アシスト
http://www.honda.co.jp/robotics/rhythm/

(text: 高橋亜矢子-TPDL)

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人工筋肉ベンチャー「s-muscle(エスマスル)」に、世界が注目する理由

岸 由利子 | Yuriko Kishi

ついに、人間の筋肉を超える!? 細く、軽く、しなやかな人工筋肉の誕生 「大学発のベンチャー企業が、新たな人工筋肉を開発した」ーそんなニュースが話題になったのは、ちょうど1年ほど前のこと。s-muscle(エスマスル)とは、2016年4月1日に誕生した東京工業大学と岡山大学の両大学発のベンチャー企業で、その動向に国内外から注目が集まっています。同社の代表である東京工業大学工学院ロボティクス研究分野の鈴森康一教授によると、同社が開発している人工筋肉は、“マッキベン型”と呼ばれるものだそう。今回は、この人工筋肉の特徴と共に、s-muscleの活動についてご紹介します。

s-muscleが開発しているマッキベン型人工筋肉の大きな特徴のひとつは、その細さ。従来の人工筋肉の外径が約10~40mmであるのに対し、わずか2~5mmほど。ゴムチューブの外周にメッシュを編んだ構造で、ゴムチューブ内部に空気を送ることで軸方向に収縮します。

マッキベン型人工筋肉の原理は、1960年頃にアメリカで開発されたもので、現在、複数のメーカーが製造しています.そのほかにも高分子材料や静電気力を使ったものなど、さまざまな人工筋肉の研究が行われていますが、現段階では唯一、実用レベルの収縮率や力の大きさを持つのが、マッキベン型人工筋肉。同教授によると、「収縮率(収縮した長さを元の長さで割った値)が25%程度で、人間の筋肉に比べて3~5倍の力がある」とのこと。どれほどしなやかな人工筋肉であるかーなんとなく想像できたでしょうか?

新型ロボット、福祉介護パワースーツのブレイクスルーに

こちらは、鈴森・遠藤研究室がマッキベン型人工筋肉を使って開発した「人間型筋骨格ロボット」の紹介映像。ご覧になると、しなやかさをはじめとする機能の素晴らしさが、より腑に落ちるかと思います。太りながら収縮を繰り返す様は、人間の筋肉の動きをしのぐ精緻さ!

従来にない、細さ、しなやかさ、軽さ。さらに、力強さも兼ね備えたマッキベン型筋肉は、人間と同じようななめらかな動きを行う人型ロボットや超軽量ロボットなど、新しいロボットへの応用をはじめ、軽く、柔らかく、着心地の良い福祉介護パワースーツやコルセットの開発など、さまざまな用途が期待できます。

2017年春ごろには、顧客メーカーや研究機関と協力して、ロボットや福祉用具などのプロダクトの普及に努めていく予定だそうです。さらに、一般の小口ユーザーにもネット販売を開始する予定とのこと。マッキベン型人工筋肉が、私たちの社会の未来を変える日は、そう遠くないかもしれません。

(text: 岸 由利子 | Yuriko Kishi)

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