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自動車依存のなか急がれる新たなモビリティの活用。車庫証明も車検も必要なし!イタリア生まれの電動モビリティ「BIRO」【Mobility Watchers】

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、ここから新しい競争の時代が始まることになりそうだ。一方で、「三密」を避けるため、また、飲食店のデリバリーサービスや移動販売などの需要増加に伴い、パーソナルモビリティの普及には追い風が吹いていると言えるかもしれない。 今回【Mobility Watchers】で紹介するイタリア生まれの「BIRO」は、4輪タイプの超小型電動モビリティで、ドイツやスイス、オランダでも販売中。2017年から日本でも販売がスタートしており、カラフルで可愛らしい見た目とユーザビリティの高さで今後、一層ファンを増やしていくこと間違いなしだ。

今、パーソナルモビリティや電動モビリティが注目されるのは、以前の記事(http://hero-x.jp/movie/9339/)で挙げた高齢化社会を迎える私たちの適切な移動手段というばかりではない。自動車に依存し成り立つ街では、交通渋滞や生活拠点となる市街地の回遊性を悪化させ、もちろんCO2排出量も増やすため環境にも悪影響を及ぼす。パーソナルモビリティのほか、先日国土交通省から企画提案公募が行われたグリーンスローモビリティの活用についてなど、社会問題を解決するモビリティの普及が急がれている。

今回パーソナルモビリティの一例として挙げた「BIRO」は、道路交通法上、ミニカー扱いとなるため、普通自動車免許で運転が可能(AT限定も可)、かつ車庫証明や車検が不要で、維持費も原付バイク程度と数あるモビリティの中でもお手軽さが魅力。
全長174cm、幅103cmとコンパクトながらも一般道の法定速度は最大60km/hで走行可能というからスピードは十分だ。フレームとボンネットを99色のカラーオプションから選んでカスタマイズできる遊び心は、もはやガジェット感覚に近い。

また、電気自動車といえば充電のタイミングが気になるところだが、固定式バッテリーのほかに、取り外し可能なリチウムイオンバッテリーがセットされているため、外出時や旅先でも自在に充電できる。これなら充電スタンドを探し回ったり、専用の設備を準備する必要もなく、日常使いにも困らない。
さらに、公式のカーシェアリングサービスも展開しているので、まずは一度お試しで乗車してみて気に入ったら1日レンタル、マンスリーレンタルと慣らしていくのもよいかもしれない。

唯一のウィークポイントは、本国イタリアでは2人乗りできるのに対し、現在の日本では道路運送車両法の関係で1人乗りの利用のみとなること。ただし、この点においては一部の自治体においては観光など特定の用途において2人乗りを認めるなど、今後制度が変更される可能性もあり得そう。
2人乗りが可能になれば、自転車では心もとない、とはいえ車を出すほどでもない、たとえば高齢者の外出の付き添いや、子どもの登校や登園の送迎などにも適用できるはず。
ストレスフリーな移動手段が決して特別なものではなく、誰にでも手に取れる身近な存在となっていくことを応援したい。

【Mobility Watchers】前回記事はこちら:http://hero-x.jp/movie/9451/

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韓国発、下半身不随や高齢者が歩くためのウェアラブルロボット

岸 由利子 | Yuriko Kishi

2018年3月9日のピョンチャンパラリンピック開会式に向けて、韓国の各地で行われた聖火リレー。そのトップバッターを務めたのは、「WALK ON」という名のウェアラブルロボットを着た下半身不随の聖火ランナー。この世界初のランナーの登場は、韓国のロボット先端技術の凄さを全世界に伝える千載一遇の好機となった。WALK ONの開発を手がけるのは、歩行困難にある人たちのためのロボット開発を目的に、韓国で立ち上がった「SG ROBOTICS」。その画期的なイノベーションの数々をご紹介しよう。

下半身不随の人が歩くための
画期的ウェアラブルロボット「WALK ON」

SG ROBOTICSを率いるのは、韓国・西江大学 機械工学科のKyoungchul Kong教授(以下、洪教授)。2011年、若干29歳にして同大学の准教授に就任した洪教授のもとに、フランスのあるカレッジから、「試験目的で、ウェアラブルロボットを製作して欲しい」という依頼があった。その製作を機に、洪教授は、本格的なロボット開発に乗り出し、やがて、the Severance Chiropractic and Rehabilitation Centerの参画のもと、リハビリテーションを目的としたロボットの開発に着手することになる。

そうして生まれたのが、下半身不随の人が歩くためのウェアラブルロボット、WALK ON。2016年10月8日、スイス・チューリッヒで行われた「サイバスロン」(http://hero-x.jp/article/538/)の外骨格ウェアラブルロボット部門で銅メダルを受賞し、早くも国際的な評価を得た。

最先端テクノロジーが凝縮された
テーラーメイド型ロボット

引用元:SG ROBOTICS
http://sg-robotics.com/en/

引用元:SG ROBOTICS
http://sg-robotics.com/en/

WALK ONのすべての歩行動作は、2本の専用スティックに搭載されたコントロールボタンの操作によって、安全に制御することができる。例えば、平坦な地面を歩く時は、ボタンを押すと前進し、また押すと次の一歩を進む。階段やスロープの上り下り、踏み石などの障がい物をまたぐ時などは、WALK ONがそれらをセンサーで検知し、スマートグラスを通じて、適切な歩行モードの提案を知らせてくれる。

重量は、バッテリーを含めて約30kg。フル充電で、5時間連続使用可能で、既存のウェラブルロボットの中では最高の250Nm(ニュートンメートル)の駆動力と、最大45rpm(回転/分)のスピードを誇る。

WALK ONの最たる特徴は、人それぞれに異なる歩行動作の範囲や関節の回転速度を、医学的データとして分析し、一人ひとりに合った仕様でデザインされていること。人間の足の生理機能を的確にとらえ、その歩行動作を優れたエネルギー効率性と共に再現した、いわばオーダーメイド型ウェアラブルロボットだ。

高齢者、部分的な障がいを持つ人のための
ウェアラブルロボット「ANGELEGS」

引用元:SG ROBOTICS
http://sg-robotics.com/en/

サイバスロンで快挙を成し遂げた翌2017年に発表されたのが、高齢者や部分的な障がいを持つ人のための新たなウェアラブルロボット「ANGELEGS」。個人差はもちろんあるが、筋力が低下している人も、部分的な障がいがある人も、自分の意思で足を動かすことができるため、ANGELEGSでは、人間の生体分子を識別するバイオセンサー(化学センサー)は使わず、必要な時に、ユーザーの歩行動作を認識し、その動きを助長するために、メカニカルセンサーのみを採用。バッテリーを含めて約12kgと軽量で、計12ヶ所に組み込まれた関節部分が、心地よい装着感を実現している。

昨今、世界各地でウェアラブルロボットの開発が進められているが、筋力が低下した人に特化したウェアラブルロボットの分野で、ANGELEGSの右に出る者はまだいない。2017年、ドバイで開催された「UAE Robotics for Good Awards」では、アジア発のイノベーションとして、唯一ファイナルまで勝ち進み、その実力を大いに見せた。SG ROBOTICSによると、2019年の前半には、ANGELEGSを商業化する予定だ。

引用元:SG ROBOTICS
http://sg-robotics.com/en/

2018年2月に、米国ロサンゼルスで開催された「SOLIDWORKS WORLD 2018」では、子ども向けのウェアラブルロボットのプロジェクトに着手し始めたことを明かした洪教授。まだ構想の段階ではあるが、ANGELEGSの小型化を想定しているとほのめかしている。

ロボットは、人々に驚くべきテクノロジーを示すだけでなく、日常の必要を満たすものであるべき。だからこそ、開発者の視点からではなく、ユーザーの視点でロボットを作っていく――SG ROBOTICSの強い信念が、人間とロボットの共生する日常を実現することは、想像にかたくないだろう。

SG ROBOTICS
http://sg-robotics.com/en/

[TOP動画引用元:https://youtu.be/Ahict2CI7oQ

(text: 岸 由利子 | Yuriko Kishi)

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