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技術もビジュアルも常に進化し続ける、車いすレーサー

Yuka Shingai

最先端技術の結集とも言える車いすレーサーはパラスポーツフリーク、カーマニアからテック好き、更にはSFファンにとっても刺激的でわくわくする存在かもしれない。 国内企業が開発に挑んだ車いすレーサーの舞台裏に迫る記事を2本続けてお送りしよう。

翼のようなフレームでフィールドを駆け抜ける!
ホンダの新型車いすレーサー「翔」が誕生

【元記事URL】:http://hero-x.jp/article/6996/

軽量かつ高剛性のカーボンモノコックフレーム構造を世界で初めて採用したことで、パラスポーツ界に新しい風を巻き起こした車いすレーサー「極(きわみ)」のアップグレード版、その名も『翔(かける)』。

乗り心地や走行の安定性を向上、ステアリング周辺パーツがフレーム内部に埋め込まれるなど、レーサー本体のバージョンアップはもちろんのこと、車いすレーサーを漕ぐ力の見える化で、アスリートへのフィードバックを提供したり、非破壊検査をレース現場で実施したりと、ホンダが多角的なアプローチで車いす陸上競技に注力していることがうかがい知れる。

車いすアスリートのレジェンドが惚れ込んだ、
最速マシン開発チーム【八千代工業:未来創造メーカー】

「極(きわみ)」2018年取材当時のモデル

【元記事URL】:http://hero-x.jp/article/3046/

ホンダ太陽株式会社、株式会社本田技術研究所とともに車いすレーサーを開発する八千代工業。

「極(きわみ)」の超軽量カーボンホイールを実現するにあたって、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)という素材に目をつけた狙いや開発の過程を具体的に追う。

車いすマラソン女子の第一人者でもある土田和歌子選手が成し遂げた偉業に始まり、米国やスイス、南アフリカなど、“最速” を求める海外選手からの支持も熱い。

部品事業では海外を中心とした事業拡大の推進に尽力するかたわら、ものづくりへのこだわりには矜持が感じられる。

次世代モデルは一体どのような変化、進化を遂げるのだろうか? まだまだ目が離せない存在だ。

(text: Yuka Shingai)

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あのBMWが本気になった!車いす陸上、最速マシンに注目せよ

岸 由利子 | Yuriko Kishi

BMWが、エンジンを搭載しない最速マシンを開発した。通称・レーサーと呼ばれる車いす陸上競技用のマシンだ。設計を手掛けたのは、南カリフォルニアに拠点を置くBMW Designworks社。6人の米国選手のために開発されたマシンは、リオパラリンピックでお目見えし、金メダル3個、銀メダル3個、銅メダル1個を獲得するという好成績を残し、タチアナ・マクファデン選手が女子T54クラス5000mレースで、11分54.07秒のパラリンピック記録を樹立するなど、目覚ましい活躍ぶりを見せた。

「これまで選手たちは皆、異なるブランドが開発する同じマシンに乗っていました。でも、私たちは、彼らのパフォーマンス力を極限化するための力になることに目を向けています」と話すのは、BMW Designworks社の副責任者、ブラッド・クラチオーラ氏。

車体のベースは、「シャーシ」と呼ばれるフレーム。いわば骨組みにあたるこの部分には、従来のアルミニウムの代わりに、剛性と振動吸収性に優れたカーボンファイバーを採用し、軽さはもちろん比強度の面でもアップグレードした。

開発の初段階では、各選手の3Dスキャンを作成。それらを基に、ソフトウェアを使って、空力抵抗を最も受ける箇所を探っていった。そこで明らかになったのは、空力抵抗の約50%はマシンからではなく、アスリート自身の体によって生じていたということ。

この結果から、同社は、空力抵抗を減少させるための細かな工夫を随所に施し、エアロダイナミクス(人間工学)を考慮したオーダーメイドマシンを開発した。シートの形状からレース時に両手に装着するグローブまで、走行時に不可欠なあらゆるものが、選手によって異なる姿勢や体型、ポジションといった多面的な角度から収集した緻密なデータに基づいて設計されている。

同社によると、これらの創意工夫によって、レース中の選出の姿勢による空力抵抗が約10~15パーセント減少したという。

「選手たちにとって、“革命”である必要はありません。でも、私たちは、彼らに少しでも優位に立って欲しいのです」とクラチオーラ氏は言う。

2020東京まであと3年。世界トップレベルのアスリートが集結するパラリンピックの舞台裏は、最高峰の技術を誇るメーカー同士の技術競争の場でもある。BMWがどんな進化を見せてくれるのか。レースファンにとって、楽しみがまた一つ増えた。

[TOP動画 引用元]United News International(http://unitednews.international/

(text: 岸 由利子 | Yuriko Kishi)

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