対談 CONVERSATION

防災感度ゼロから1を生み出す起業 オシャレ防災カタログが運ぶ安全

宮本さおり

東日本大震災でのボランティア活動がきっかけとなり、防災関連で起業をした若者たちがいる。防災と社会を繋ぐハブになろうと頑張る株式会社KOKUA。事業が軌道に乗り始めようとした矢先に彼らを襲ったコロナ禍だったが、自粛期間を経た今、防災グッズを「ギフト」として提供する新たな挑戦をはじめた。同社の代表取締役・泉勇作氏、共同代表・疋田裕二氏の両名に話を伺った。

東日本大震災が繋いだ縁

杉原:元々は皆さん、会社を立ち上げるというより、3.11のボランティア活動で出会ったと伺っています。

泉:そうなんです。

疋田:大学入学の年に東日本大震災が起きました。ちょうど高校の卒業直後で、大学の入学式直前という時期だったんです。

当時の様子を語る泉代表(右)と共同代表の疋田氏(左)。

杉原:その時は皆さんどちらにいらしたんですか?

泉:全員関西です。

杉原:東日本大震災が起きた時のことを思い出すと、ニュースを見れば確かに被災地の状況が映像として流れてはいたのですが、関東に暮らす人と関西に暮らす人との温度差を少し感じた記憶があるのですが、そのあたりはどんな風に思われますか?

疋田:そうですね。関西の場合、実際に帰宅難民になった人もいませんでしたし、地震で揺れることもなかった。計画停電もなかったので、確かにあまり実感はなかったかもしれません。

杉原:その中でみなさん大学に行かれるわけですよね。入学後すぐにボランティアに参加されたのですか?

泉:被災地へのボランティアの橋渡しをしているNPOがあり、僕と疋田は同じNPO経由で被災地に行きました。バス移動で11時間くらいかかったのですが、移動中のバスで出会いました。

杉原:みなさん大学生時代から防災関係の仕事をと考えていたのですか?

疋田:いいえ。卒業してからはみんな民間企業で自分のやりたいことをやっていました。それが、2018年からアクセラなどに参加するようになり、自分達の会社を立ち上げて事業としてやろうという流れになりました。

杉原:ボランティアに行こうという最初の一歩が難しいと思うんです。皆さんはどういう気持ちで一歩目を踏み出したんですか?

泉:僕は神戸出身で阪神淡路の時は3歳くらいでした。年上の姉弟や家族は被災の記憶が鮮明にあり、、震災の日が近づくと家族の中でトピックスとして出てくるというのがありました。その年もそんな話しをした矢先に、東日本大震災が起こったので、僕らも自然と一歩を踏み出した感じでした。特に(大学)1年生は動く人が多かったと思います。

疋田:大学に入って時間ができて、そこに大きな出来事があったので、若い自分がなにか貢献したいなという気持ちはありました。

良いアイデアが売れるとは限らない現実

杉原:そこは僕ら世代とは少し違うかもしれません。もしかすると、SDGsも僕ら世代とは違う感覚で見ているのかもしれませんね。アクセラや世界防災フォーラムなどいろいろなプログラムへ参加する中で、防災で起業しようと思った時のお話しを伺いたいのですが、元々この防災カタログをメインビジネスにという考えだったのですか?

疋田:僕はエンジニアなので、介護業界向けの災害時安否確認システムみたいなことを考えていました。

泉:介護の現場は被災したときにすぐに入所者のケアを考えなければならないのですが、当時はまだ紙ベースだったので、苦労されていました。そこを解消するシステムができないかということでスタートしたのが最初です。

杉原:いいアイデアだと思っても、それを事業化するのは意外と難しいですよね。自分たちが良いと思っても、ユーザー側が必要性を感じてくれないと導入されない。
ビジネスモデルを作る時って、ユーザーマターが重要じゃないですか。しかし、実際に不便を経験してみないと実感が沸かないというのが人間です。

ユーザー側が必要性を感じなければビジネスとして難しいと語る編集長杉原

そういう背景から考えると、病院だとか介護施設に特化したシステムやアプリというのはアイデアとしては良かった。しかし、なかなか受注にはいたらなかったということで、次はどこに目を向けられたのですか?

泉:いくつかありまして、一つはNPOへの支援です。NPOを支援することで防災支援に関わるという道を考えましたが、やっぱりこれも違うねとなって。その後、防災をメインに据えた研修を開発することを始めました。

杉原:企業向け研修ということですか。

泉:はい。しかし、災害はいつ起こるか分からないことですし、起らないかもしれない。しかも、売り上げに直接関わるものでもないため、予算を投下していただくのは難しいというところがありました。

杉原:また壁にぶつかったわけですね。

泉:そうです。そこで考えたのが研修プログラムで、社員研修と防災研修を組み合わせたものをリリースしました。

杉原:防災対策が大事なことはみんなわかってる。だけど訓練にしてもなかなか真剣に取り組む方は少ないですよね。どうやったらみんなが真剣に参加するかが課題かなと思うのですが、そのあたりは何か工夫されたのでしょうか。

泉:僕らが考えたのは災害救援を疑似体験できるプログラムで、オフィスでもし、災害がおこったらという想定で研修を行ないます。例えば「骨折、骨が飛び出ている」というような要救助者の役を設定して、救助をしてもらうというものです。疑似体験でしかありませんが、体験の質を高めれば高めるほど、意識は高くなるかなと思います。

杉原:大手企業に対する研修だったら、スコアなどをつけても面白いかもしれませんね。そのスコアが人事評価に繋がるとかなったら、みんな真剣にやるかもしれない(笑)。

ピンチが生んだ新たなビジョン

泉:確かにそうかもしれません。外資系企業で危機管理対策の一つとして導入くださるところが出てきたのですが、コロナ禍に突入してしまい、研修ができない状況になりました。研修は全て対面を想定していたので、発注いただいていたものも軒並みキャンセルになりました。

杉原:いよいよ「LIFEGIFT」にたどり着くわけですね。
研修などから比べると、「LIFEGIFT」は逆にコストがかかるようになるじゃないですか。こちらにスイッチするという発想は私の中ではあまり考えにくい発想なのですが、この英断をしたのはなぜですか。

泉:防災についてどうやって知ってもらうかということを考えた時に、2021年は3.11から10年というメモリアルの年だったので、防災に関するプロダクトを出せば、メディアからも注目されて、一般の方への認知も進むのではないかと考えていました。ただ、在庫を抱えるビジネスモデルだと負担も大きい。その点、カタログギフトだと、冊子の印刷代は必要ですが、それ以外のコストは注文が入るまではかからないんです。

「あなたの無事が一番大事」というキャッチコピーの元、販売が始まった防災ギフトカタログ。お祝い事にもふさわしいようにと装丁にもこだわった。カタログに掲載されているのはオシャレさも追求した防災グッズの数々。

杉原:いままで、防災グッズに特化したカタログギフトというのは他社さんでもあったのでしょうか?

泉:ないです。

杉原:なぜ皆さん手を出さなかったと思いますか?

泉:ギフトを渡すシチュエーションはお祝い事が多いと思うのですが、防災や災害はネガティブなイメージをさせるものなので、その場面にふさわしくないということもあったと思います。例えば、新築祝いで消火器を渡すというのは、大事な物ではあるけれども考えにくいですよね。

杉原:最近、ふるさと納税で防災グッズを買ったのですが、ソーラー発電機や、水、食事から、段ボール型のトイレなど各種揃えたところ、最終的に邪魔でしょうがない(笑)。防災のために買うというのが結構ストレスでもある。できれば、日常的に使っているものが災害の時にも役立つというデュアルプロダクトであるといいなと思うのですが。

疋田:そうかもしれません。

杉原:それから、何をどれくらい購入しておけばいいか分からないという部分もありますよね。グッズ〇点入ったバックですと言われても、実際そのバック一つで足りるの?みたいなところもある。

泉:おっしゃる通りです。「LIFEGIFT」は、全く興味を持っていなかった人が防災に目を向けるきっかけになるかなと思っていて、プレゼントとして受け取るので、ゼロからの一歩を強制的にできるものだと考えています。はじめて防災アイテムが家に来たという家庭もあると思うので、これをきっかけに、徐々に防災アイテムを揃えていただけるようになったらと思っています。新しいサービスも考えていて、例えば、家族構成を入力すると、どのくらいの備蓄が必要かが分かり、それに見合った商品をリコメンドするようなことを考えています。

杉原:それができたら面白くなりますね。今日はありがとうございました。

泉勇作 (いずみ・ゆうさく)
株式会社KOKUA代表。幼少期に神戸市にて阪神淡路大震災で被災。その時の記憶は断片的だが、周りの話などから強く災害を意識して人生を過ごす。 自分も何か役に立ちたいと学生時代は災害ボランティアを中心に活動。新卒で約3,000名の人材ベンチャーに入社し、入社2ヶ月目で過去の新卒月間売上ギネスを達成し表彰される。 その後、転職した会社で、広告の新規事業、ライブ配信サービスの法人向け企画、動画制作事業などを手がける。
2019年に一般社団法人防災ガールのアクセラレータープログラムに参画し、2020年、防災サービスの開発、販売を行うためKOKUAを立ち上げる。

疋田裕二 (ひきた・ゆうじ)
株式会社KOKUA共同代表。大震災のボランティア活動に従事。そのことがきっかけで、NPOの事業企画や運営に携わることになり、世界には様々な社会課題があることを知る。卒業後は「仕組みを変えることによって多くの人の生活を変えたい」と思い、新卒で大手IT企業に入社。PMやセールスエンジニアとして、大手マスメディアのデジタルトランスフォーメーションや新規AIサービスの立ち上げなどを経験。2019年に一般社団法人防災ガールのアクセラレータープログラムに参画し、社会事業を立ち上げることを決意。

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(text: 宮本さおり)

(photo: 増元幸司)

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対談 CONVERSATION

全国の公務員を繋げたら世の中が良くなった理由

富山英三郎

世の中を良くするため、人と人を繋げる。神奈川県理事の脇雅昭氏は、プライベートな時間を使ってそのことに専念してきた。全国の公務員をリアル・オンラインで繋ぎ、出会いの場所を創造していく。近年は民間とのマッチングもスタート。そんな脇氏と交流のある本誌編集長・杉原行里がその真意を紐解く。 ※対談は、ソーシャルディスタンスに配慮して実施。撮影時のみマスクを外しています

進化し続ける出会いの場

総務省から出向し、神奈川県庁で理事(未来戦略担当)を務める脇雅昭氏。同氏が各所で注目されているのは、人と人を繋げる活動を続けていることにある。

スタートは2010年、47都道府県の地方公務員と中央省庁の官僚の交流の場となる『よんなな会』を立ち上げたことだ。コロナ禍の前は年2〜5回のイベントを開催し、休日を利用して全国から集まる公務員たちに向け、講演会や懇親会を実施してきた。

その後、2020年には全国の公務員が東京出張時に気軽に立ち寄れ、さまざまな職業の人たちとリアルに出会える場所として『よんななハウス』を東京にオープン。さらに、全国の公務員によって運営される、公務員限定のオンラインプラットフォーム『オンライン市役所』もスタートさせている。

公務員とは世の中が良くなるために頑張る仕事

杉原:まず率直に、脇雅昭とは何者なんだろうという疑問があるんです。

脇:あははは、ひとことで言えば「公務員」です。公務員とは、世の中が良くなるために頑張る仕事。なので、自分が思いついた世の中にとって良いものは何でもやってみようとしています。

よんなな会発起人であり神奈川県理事の脇雅昭氏 ※撮影時のみマスクを外しています

杉原:本業である神奈川県での仕事では、さまざまな社会課題に取り組まれていると思います。現在はどのようなことをされているのでしょう。

脇:最近はワクチン接種に関することばかりです。本来は「未来戦略担当」で、未来と名のつくものすべてに関わっています。

簡単に言えば、社会課題をいかに解決するかを考える仕事。皆様から税金をいただいて、予算を作って、事業を作ってというのがこれまでの解決方法でした。しかし、社会課題のすべてに税金を投入するのは難しい。では、何か新しい解決方法はないか? そこを模索するのがチームの仕事です。

例えば、税金ではなく各種ポイントを寄付のように使っていただくとか。実際、クレディセゾンさんの永久不滅ポイントを活用している例があります。

杉原:プライベートな時間を使って『よんなな会』を始めたきっかけは何だったのでしょう。

恩返しの気持ちからスタートした『よんなな会』

脇:きっかけは、大分から総務省に赴任していた同僚です。赴任してから、働き過ぎてどんどん元気がなくなってしまった。私も熊本県へ赴任した経験があって、そのときは県庁や地元の方にたくさんお世話になったんです。でも、その逆ができていないと感じたので、いろいろな人を紹介する飲み会を開くようになったんです。

杉原:純粋な恩返しの気持ちから始まっていたんですね。

※撮影時のみマスクを外しています

脇:はい。同期も地方に赴任した経験があったので、それぞれお世話になっている方を呼んで、60人くらい集まったのが『よんなな会』の発端。今ではFacebookに約6000人いて、コロナ前は毎回500~600人集まってイベントをしていました。それができなくなったので、『オンライン市役所』を作ったわけです。

公務員に限らず、所属している組織の「あたりまえ」に脳が支配されて、自分の限界を決めてしまいがちです。だからこそ、いろんな人たちに会うことが大事で。自分の組織のやり方が唯一ではないと知れば、もっと頑張れるんじゃないかと思っていたんです。

杉原:すごくよくわかります。

同じような仕事をしている
全国の公務員をオンラインで繋げる

脇:『よんなな会』というのは、全国の公務員が自腹でリアルに集まる場所なので熱気もあるし仲間もできる。でも、少しモヤモヤしていた部分もあって…。休日の熱気そのままに月曜も頑張れているのかな? ということ。非日常のお祭りも大事ですが、もっとも必要なのは日常での「気づき」や「出会い」なのではないかと。

杉原:地元に帰っていつもの組織に戻った途端、逆にテンションが下がることはありそうです。

脇:そう、そんなときに熊本県時代を思い出したんです。ある町から届いた資料が滅茶苦茶だったんで、電話でクレームをいれようとしたんです。担当者名簿を見たら、僕らが10人くらいでやっている仕事をその方ひとりで全部やっていて、「こりゃ無理だわ」と思ったんです。

そこで初めて市町村の大変さを知ったと同時に、そんな日常の中で新しいことを始めたり、前に進もうなんて相当大変なことだよなと。

杉原:もうすでに十分頑張っているわけですから。

脇:その出来事をふと思い出したとき、これは「縦の組織だけを見ているから大変なんだ」と。横で見たら1741市町村、47都道府県も合わせると1788の自治体があって、そこには同じような仕事をしている。ここを「横でつなげば相談できる人がいっきに増えるな」と思ったんです。「それができるのはデジタルの力だ!」と。

コロナ禍で大変ではありましたが昨年4月にオープンしました。現在、1788自治体ある中で1015の自治体が参加するまでになったんです。

杉原:それはすごい!

オンライン市役所のホームページ

脇:『よんなな会』のときから主催者と参加者という関係がすごくイヤで、とにかくみんなを巻き込みたかった。なので、自分の関心ごとを立ち上げてもらい、5人くらい集まったら「課」にすることにしたんです。仕事に直結するような「みんなの財政課」、「生活保護ケースワーカー課」や、スキルを高めるような「パワポ課」、サークルに近い「子育てサロン」とかすでに50課くらいあります。

頑張るべきところを正しく頑張れる仕組みづくり

杉原:そんな『オンライン市役所』から、どんなものが生まれることを期待していますか?

脇:頑張るべきところを正しく頑張れるようにしたい。ワクチンを例にすると、今回は国で方針を決めずに、自治体の実情に応じて決めるように任されたんです。過去に実例がないことで、みんなそれぞれで考えているのですが、これは知の無駄遣いなんですよ。

杉原:しかも検証ができない。

脇:そうなんです。誰かが考えた良いものを共有すれば、それを基礎にそこから頑張ればいい。今回、大阪にシステムに詳しい方がいて、彼が仕組みを簡潔にまとめてくれたんです。それをオンライン市役所でシェアしたところ、みんなが(簡単に)理解できた。そういう土台(基礎)があると、「その地域にとってのベストアンサーを考える」という一番大事なことに割く時間が増やせるわけです。

神戸市・長井伸晃氏を中心に全国の公務員がオンライン上で集まり、ワクチン体制についての情報を毎週交換。毎回200名近くが参加している。

また、社会課題が先進的に起きている自治体もたくさんあって、「将来こんな課題がくるよ」とわかるだけで備えられる。災害における避難所の棲み分け問題とかもそう。「うちはまだ検討していなかった」ということがわかることが大事で。現場にいる1788自治体の参加者がいるからこそ気づける、リアルな課題なんです。

杉原:公務員は医療の現場と似ていて、トライ&エラーが許されないですよね。どうしても石橋を叩きながら渡らないと批判されてしまう。その結果、サービスが遅れたり劣化したりしてしまう。

脇:どこかで誰かがトライ&エラーしてくれたら、同じエラーをする必要がなくなるんです。また、エラーした担当者が「批判」を抱え込むのではなく、みんなにとっての「価値」に生まれ変わる。青臭い話ですけど、結局は「みんなで世の中をよくしていこう」ということなんです。

※撮影時のみマスクを外しています

利害関係のない公務員だからこそ「ハブ」になれる

杉原:月に1回、民間の方も呼んだ『オンラインよんなな交流会』も開催されています。それは何故でしょう?

脇:行政だけでは解決できないことってたくさんあるんです。一方で、利害関係のない公務員だからこそ「ハブ」になることができる。稼ぐことが許されない公務員だからこそ、自分が本当に素晴らしいと思う人、社会課題の解決に尽力している人たちを繋ぐことができる。

杉原:そこには脇さんの知り合いしかいないというのもポイントですよね。

脇:いい人かどうかだけで判断しています(笑)。朝9時から夜11時までの4部制にして、毎回20人程をマッチングしています。参加するまでどんな人が来るか誰もわからない。「誰々が来るから行きます」というのがイヤなんです。

杉原:これまでのマッチングで成功例などはありますか?

脇:う~ん…あるはずなんですけど本当に覚えていなくて。最初の頃はメモもしていましたけど、そこに時間を割くくらいなら、人を繋ぐことに注力したほうが意味があるんじゃないかって。「ありがとう」とはよく言われますけど(笑)。

杉原:そのピュアさが素晴らしい。脇さんのフィルターが通っているから、みんな気持ちよくディスカッションできるんです。そして、起業家にとって社会課題は貴重なんですよ。「それ、俺ならできるよ!」とか「困ってるのになんで声かけてくれないの?」というのはそこら中にあると思うんです。

※撮影時のみマスクを外しています

脇:「課題」って誰がボールを持っているかで変わってくるんですよね。行政が持っていたら課題でも、民間に渡すと「ビジネスチャンス」になったり「財産」になるんだなって。それもまた人と出会うことでわかるんです。自分たちが持っているものが「悲観」的なものではなく、「価値」あるものだと思えるようになるんです。

杉原:僕は脇さんにお会いしてから、公務員のイメージがアップデートされたんです。こんなに頑張っている人がいるんだって。脇さんはよく「公務員の志が1%上がったら、世の中はめちゃくちゃ良くなる」と仰っています。まさにその通りだなと思うんです。

脇:みんなすでに頑張っているので1%でいいんです。それでも公務員は人口の3%、338万人もいるので、その力を合わせたらすごいことができると思います。

※対談は、ソーシャルディスタンスに配慮して実施。撮影時のみマスクを外しています

脇雅昭(わき・まさあき)
神奈川県理事(未来戦略担当)。よんなな会発起人。
1982年生まれ、宮崎県出身。2008年総務省に入省。現在は神奈川県庁に出向し、官民連携等の取り組みを進める。プライベートでは、国家公務員と47都道府県の自治体職員が、ナレッジや想いを共有する「よんなな会」「オンライン市役所(https://www.online-shiyakusho.jp/)」を立ち上げるなど、地方創生のためのコミュニティ基盤づくりを進めている。

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(text: 富山英三郎)

(photo: 増元幸司)

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