対談 CONVERSATION

脳をヒントにしたAI開発が次のアーキテクチャを作る 自律型AIはどこまでいけるのか

吉田直子

脳科学とAIの融合分野において世界をリードする金井良太氏。金井氏が代表を務める株式会社アラヤでは、人間の脳の仕組みをAI技術に応用し、製造業を中心とした企業に最先端のAIソリューションを提供している。同社が得意とするエッジAIとは何か。そして、金井氏がプロジェクトマネージャーとして参加する内閣府のムーンショット事業の狙いとは。次世代AIの可能性について、HERO X 編集長・杉原行里が聞く!

クラウド不要のエッジAIとは

杉原:御社の強みであるエッジAIとは、なんでしょうか?

金井:エッジというのは、スマホやカメラのような端末のことです。一般的なAIは映像をクラウドにあげて、クラウド上で計算して答えを返しますが、エッジAIはスマホなどのデバイス上で計算するというものです。全部クラウド上で自動にすると、遅延も生じてしまうし、計算が重たいですよね。それを、ディープラーニングまで含めてデバイス上で実行するのがエッジAIという技術です。

杉原:クラウドにいったん上げなくていいということですね。

金井:まさにそうです。そのほうが安価だったりします。

杉原:なぜほかのシステムはクラウドに1回上げるということになっているのでしょうか? アイデアがないのか、気づいていないのか。

金井:みんなエッジでやりたいはずですが、なぜできないかというと計算が多いからです。そこで、計算を少なくするとか、計算をしやすいようにするとかの手法が、我々の技術ドメインになると思います。

杉原:変数が少なくなるという感じでしょうか?

金井:そうですね。入力のビット数を減らしたり、あとは枝刈りといって、計算する時にニューラルネット(人間の脳の働きを模倣する数理モデル)のつながりを減らしても同じような計算結果が出るようにするなどです。

杉原:そう伺うと単純な疑問が出てくるのですが、クラウドに上げて計算したものと、御社のエッジAIで計算したものとでは、この言葉が正しいかどうかわからないのですが、整合性は保てるのでしょうか?

金井:いえ、計算を簡単にしてしまうので、性能は落ちます。ただ性能を落とさずに計算を減らすというようなことを研究開発しています。自動運転などではかなり高い精度が求められますので、実際に我々が手掛けているものは工業製品の検査とかが多いですね。

今のAI開発は野球でいうと
ピッチャー量産型!?

杉原:御社のサイトに掲載されている「お掃除ロボットの例」(https://www.araya.org/about/feature/)ですが、要は機械による自動化は地図に沿って走行計画を作っていくけれど、自律AIなら「部屋をきれいにする」という目的を人間と共有する、という。この言い方が僕はすごくわかりやすかったです。

金井:今のAIの使われ方は、物事を自動化するところがメインで、その先に自律というアイデアがあります。自動というのは人がやり方を教えてその一部をAIに置き換える手法ですが、自律の場合は、目的を与えたらやり方を見つけ出すところまで、AIがやる。さっきのお掃除ロボットだったら部屋をきれいにするためには途中の問題も自分で解く必要がありますが、現状のディープラーニングは自動レベルのものが多いです。我々はそこに強化学習や深層強化学習と呼ばれる手法を取り入れていて、それを使うと自律への道が開けるのではないかと考えています。

杉原:面白いですね。御社はAIに意識を実装する研究もしているとお聞きしましたが、すごくシンプルな質問をしていいでしょうか? 意識ってなんですか?

金井:意識は感覚だと思いますね。ものを見た時は「見た」という感覚が生じるし、痛みを感じたときは「痛い」という感覚が生じる。そういう主観的な感覚のことを意識と言っています。

杉原:五感で感じられることが意識ということでしょうか?

金井:そう、感じる能力ですね。それをAIにもたせようと思ったら、結構具体的なことを考えなきゃいけない。自発性とか、想像力とか、AIが考えるというのはどういうことか、みたいなことを突き詰める必要があります。でも、そういうことを考えていくと、普通のAIとは違う作り方を思いつける。だから、新しいAIのアーキテクチャを考える時のヒントとして、意識をもたせるには?ということを研究したりはしますね。

杉原:この意識をもったAIが、どのような分野に入ってくるんでしょう?

金井:今、仮説としているのは、いわゆる汎用人工知能みたいなものが作られるということです。脳の中にはたくさんのAIが一緒にいる状態で、その合体方法を意識というプラットフォームが示している。今のAIは機能特化型といって、姿勢の推定や、表情の読み取りなど、1つのことに特化しています。だけど人間はそれをうまく組み合わせて考えることができる。だから、今いろいろな人が作っているAIを統合して、ひとつの強力なAIを作る方向になるのではないかと思います。

杉原:野球でいうと、今のAIはピッチャーばかり作っているみたいな感じですよね。でも、金井さんは「野球やろうぜ」と言っている。

金井:そんな感じですね。チームをちゃんと作ろう、という意味です。

ムーンショットで
BMIの技術開発

杉原:御社を知るきっかけになったのが、内閣府が進めているムーンショット型研究開発制度です。目標1のブロックで民間企業として参加しているのは御社だけですが、参加のきっかけはなんでしょうか?

金井:ムーンショットの目標は、「時間と空間と脳と身体の制約から解放される」という突拍子もないものです。これは自分に向いていそうだなと思って、普通に応募しました。

杉原:今回ムーンショット1で、2050年までに御社が達成したい目標はありますか?

金井:まず2030年までにBMI(ブレインマシーンインターフェース)を実用化できるレベルをめざしています。BMIには侵襲・非侵襲といろいろあります。最初、イーロン・マスクがやっているみたいに侵襲で脳に電極を埋め込むことを考えていたのですが、それ以外にも非侵襲で普通に脳波をとったり、あとは意外と外から画像だけ解析すればいけるんじゃないかと思って。脳を見なくても何をやろうとしているかが予測できればよいので、AIのノウハウを最大限応用すれば、侵襲性が低くても人が何か考えただけでモノを動かすくらいのことができるのではないかと思っています。

杉原:PoC(プルーフオブコンセプト)としてどのあたりに入りそうですか? エンタメでしょうか? それとも老人や言語が伝えにくくなった方たちに、最初に実証していくのか。

金井:侵襲と非侵襲で使える場所が違うと思います。侵襲のほうは完全に四肢麻痺やALSのかたの身体の補完という医療用の目的。非侵襲のほうは意外に自分自身のモニタリングみたいなものに使われるんじゃないでしょうか。まず自分の疲れを知るとか、鬱や過労を防止するみたいに使って、そのあとにインターフェースとして検討されていくと思います。たぶん、声を出さないでしゃべるくらいにはなると思います。

杉原:すごいですね。例えば触覚センサーみたいなものをつけて、より重さや触覚が伝わっていくと、自宅でロボットを遠隔操作することもできますよね。

金井:そうですね。入力のところを簡単にすればいいのかなと思っています。BMIですごくいいものを作ろうとすると、精密なデータが脳からとれて、ロボットのほうも自由度が高いイメージになりますが、そこまでいかなくても「前に進みたい」と思ったら、歩くところはもう全部半自動でロボティクスでやってしまえばいいのかなと。

事業者のほうが脳の研究は進んでいる

杉原:HERO Xはスタートアップのかたも読んでいるので、起業の時に大事にしていたことをお聞きしたいと思います。

金井:起業をする時は、少しでも前に進みたいと思っていましたね。進まないのが一番つまらないので。あとから考えるといろいろ失敗もありましたが。

杉原:研究領域だけではなく、実装領域も兼ね備えるための起業だったのでしょうか?

金井:そうですね。研究でできることは限られているんです。特に脳の画像を見て、個人の特徴、例えば知性とか性格とかを読み取ることはかなりできていたので、そういうことを役立てたいと思っていました。脳の研究も、Googleのような企業が圧倒的になってしまって、アカデミックな研究よりも自分が事業を作ったほうが研究が進むのではないかと思ったんです。起業したい人からよく相談を受けるのですが、実際にはなかなか起業しないですね。やってみればいいんじゃないかと思うのですが。

杉原:僕もよくそういう相談を受けますが、悩んでいる方が心に悪いですよね。

金井:やったほうがいろいろ得られるとは思いますよね。

杉原:最後に、今後AIはどんな風に生活に入り込んでいくと思いますか?

金井:着実に様々なところに使われ始めるとは思います。ただスマホやネットレベルの、誰も気づかないけれど、実は広範囲に使われていたみたいな存在になっていくのではないかと。

杉原:人々がそれを実感して気づくタイミングって15年、20年くらい先ですか? それとも、何気なく生活がアップデートされていって、そもそも気づかない?

金井:後者だと思いますね。パソコンが速くなっても気づかないみたいなことだと思います。

杉原:気づいたら20年前よりかなりよくなっているよね、みたいな感じですね。金井さんのAIに対するアプローチってすごく新鮮というか、ほかのかたからあまり聞いたことないなと思います。会社の事業としてはBtoBが多いのでしょうか?

金井:ほぼBtoBのAI開発と、R&Dのお手伝いですね。自動車の会社が多いです。

杉原:ぜひレース業界もよろしくお願いします。マシンも、いまや走るセンサーといわれていますから。今日はどうもありがとうございました。

金井良太(かない・りょうた)
株式会社アラヤ創業者。2000年京都大学理学部卒業後、2005年 オランダ・ユトレヒト大学で人間の視覚情報処理メカニズムの研究でPhD取得(Cum Laude)。米国カルフォルニア工科大学、英国ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンにて研究員。JSTさきがけ研究員、英国サセックス大学准教授(認知神経科学)を経て、2013年に株式会社アラヤを創業。神経科学と情報理論の融合により、脳に意識が生まれる原理やAIに意識を実装する研究に従事すると同時に、産業界におけるAIと脳科学の実用化に取り組む。文部科学大臣表彰若手科学者賞、株式会社アラヤとしてJEITA ベンチャー賞(2020)、ET/IoT Technology Award(2019)など多数受賞。2020年より、内閣府ムーンショット事業プロジェクトマネージャーとしてブレイン・マシン・インターフェースの実用化に取り組む。

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(text: 吉田直子)

(photo: 増元幸司)

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「HERO Xに、人を変える力はありますか?」 “ROCKET”の精鋭2人が編集長に逆取材!【異才発掘プロジェクトROCKET】Vol.4 後編

中村竜也 -R.G.C

日本財団と東京大学先端科学技術研究センターが共同で進めている異才発掘プロジェクト“ROCKET”。これまでも当媒体で何度か取り上げているこのプロジェクトは、現状の教育や環境に馴染めない、あるいは、物足りなさを感じている「ユニーク」な子たちを支援する取り組みだ。彼らの中には、何かしらの突出した能力を持つ子が少なくない。今回はプロジェクトの実施者から、そんなROCKETメンバーに「インタビューをしてみないか」と提案してみた。前半では、「なぜこの媒体を始めたのか」との質問に、全力で返答をした我らが編集長。後半も思いもよらない方向へと話は進んでいくことになる。

インタビューをしてくれたのはROCKETプロジェクトの一期生、大阪市在住・山下泰斗くん(以下、山下くん)と、ベトナム在住・野中宏太郎(以下、野中くん)の2人。前半では山下くんお手製のロボットが登場、塗装談義に花が咲いたが、そこから派生し、「持てる能力を他のことにどう活かそうかと試行錯誤していた」と話す編集長。その後に2人から最初に出された質問は「それはどういった職業ですか?」というもの。彼らの興味の矛先は縦横無尽に飛び出してくる。

杉原:まず考古学者。

一同:(笑)

杉原:考古学者って浪漫がある仕事だと思いません? それと弁護士、新聞記者、宇宙飛行士、デザイナー。

山下くん:弁護士、考古学者、新聞記者、デザイナーって(笑)。

杉原でも一番なりたかったのは、なんとF1ドライバー(笑)。ふざけているのか、と思われるかもしれないんだけど、実は小さい頃から憧れていた職業をまだすべて諦めていなくて。どういうことかというと、HERO Xが新聞記者。F1ドライバーは無理だけど、それに携わる会社としてRDS。宇宙飛行士は、HAKUTOという月面探査のプロジェクトに関わっているから実現しているかなと。考古学と弁護士はまだだけど、いずれはと、僕の夢はまだまだ続いているんだ。

山下くん:素晴らしいとしか言えません。

野中くん:僕は今、ホーチミンのインターナショナルスクールに通っているのですが、杉原さんも15歳の時にイギリスに渡って勉強をしたと聞いています。渡英が人生の転換期となったと伺いましたが、具体的なエピソードはありますか?

杉原僕は、英語が全く話すことの出来ない状況で全寮制の学校に留学しました。当たり前のことですが、英語が話せない時点で、みんなとコミュニケーションが取れない。プラス、山下くんのように模型作るのが得意とか、絵が上手いといった特技もなかった。だから友だちを作ることがすごく難しかったんです。決して人種差別ではないんだけど、難しい状況からどう這い上がれるのか、というのをその時に学びました。

野中くん:その状況を乗り越えようとした時に、キーマンはいましたか?

杉原キーマンはもうひとりの自分。例えば、何か物事を決めたり、何かをやらなくてはいけない時に、楽な方へと行こうとするダメな自分がみんなにもいますよね。アイツに勝つのって結構大変なことだと僕は思っていて。

野中くん、山下くん:すごく分かります!

杉原英語も下手で、プライドも傷つくし、本当は会話の意味なんか分かっていないのに嘘笑いしている自分がすごく嫌で。でもその時に僕は、まず逃げずに部屋から出て行く努力をしたんだ。もうひとりの自分は、部屋にこもって本でも読んでいれば、恥をかくことも、傷つくこともないぞって、自身に語りかけていたのをすごく覚えています。でも、僕はアイツと戦って、勝てた。

そういった体験から、家族でもある寮生の一員になれたのだと、今でも思っています。そして、その時の仲間とは今でも当時のような関係を築けている。だから今ベトナムで学生生活を送っている野中くんの苦労は、間違いなくこれからの人生においてもかけがえのない財産になるはずだと僕は思います。

これは、2人に伝えたい事なんだけど、まさに今の2人の世代である15、16、17歳の時にどれだけ勝負したかが今後の人生を大きく左右するので、いい意味で思いっきり暴れて欲しいと。20代はなんとかごまかせるんだけど、この年齢での経験が跳ね返り始めてくるのが30代からだから。

野中くん、山下くん:分かりました。ありがとうございます。

一端途切れたインタビューだが、続いて全く違う角度の質問が繰り出された。そしてそれは、大人のわれわれが唸るようなものだった。

発想の転換が日本の未来を切り拓く

山下くん:では次は僕から質問させてください。東京2020年に向けて日本社会も革新がされようとしていますが、その後のビジョンがあまり語られていないような気がします。そこを含めた技術革新についてどのような考えをお持ちですか?

杉原:まず企業に関して言えば、2020年以降も間違いなく各々が持つ技術を革新していくはず。でも、ワールドカップもそうだしオリンピックもそうですが、あんなにあったはずの熱が一瞬で冷める、そんな国民性が日本にはあるように思うので、まさに山下くんが言っているように、ちょっと不安だなとは感じています。1964年の東京オリンピック時は、新幹線が開通し首都高速が完成したりと、高度成長期に合わせ色々なモノやコトが刷新された時代だったけど、今回の東京2020では、何かがそこまで大きく変わる予感はあまりしない。

山下くん:確かに杉原さんの言うとおり、目に見えて何かが変わる気があまりしないかもです。

杉原:そうなると、我々日本国民が目を向けなくてはいけないのは、東京2020を通じて何を感じるかということが、重要になってくるのではないかと個人的に考えています。一過性の盛り上がりではなく、日本の人口の30.3%が65歳以上になる2025年に向けての通過点としてみていかないと、何も変わらないまま、未曾有の超高齢化社会に突入することになってしまう。

パラリンピックは特にそうなんですけど、技術的な革新が行われるものに対してどれだけ自分が身近に感じられるかが鍵だと思っています。一人ひとりが現状を打破していく気持ちを持つことが出来れば、今後の日本も安心じゃないですかね。

山下くん:バリアフリーや多様性なども社会でよく言われていますが、その反面、全体主義的な面もあると思います。そこにはもちろんメディアの影響というのが大きいかと思うのですが、HERO Xの立ち位置はどのようにお考えですか?

杉原:例えば100人いる車いすユーザーの1.2%の人がネガティブな発言をしたとします。そのネガティブな発言やイメージにフォーカスするのが、悲しいかな今のメディアの現状。そういう議論のすり替えのような出来事って、メディアだけでなく、学校など含め世の中にあふれていませんか?

山下くん:話の筋道が決まっていることは多いかもしれません。

杉原:だからこそHERO Xの役割は、伝えたいことをブレさせずに多くの方に伝えていくことだと。

野中くん: 僕は中学を卒業して、ホーチミンで暮らし勉強をするということを自ら選んだつもりでいたのですが、よくよく考えると、実は父の転勤が決まってからあらかじめ用意された2つの選択肢のうちの1つを受け入れたまでにすぎませんでした。HERO Xでクローズアップされるような方々も、基本的には障がい者スポーツや、技術開発に携わるチャンスにめぐり合うことが出来る、選択できる側の人間だと感じています。

もちろん様々な問題はありますが、僕にとっての“ボーダー”とは「選択できるかできないか」だと考えています。その選択をする際に何が重要な要素だと、杉原さんは思いますか?

杉原:まずは、選択をする上でそれを助長してくれる仲間、そして資本というのはすごく大事。その上で絶対に間違えてはいけないのは、すべての選択の責任は必ず自分にあるということ。

野中くん:でもアジアの一部の地域で身体に障がいを持って生まれてきた人たちは、いまだに何の根拠もなく、前世で罪を犯したからだと言われてしまう風潮があるんですね。そういうなかで暮らしている人たちには、選択する権利というのが少なからずないのかなと思ってしまうのですが。

杉原:確かにそう言った風潮は現実的に辛いと思います。でも厳しい言い方を敢えてすれば、何かを必要としているのならば、誰かから与えられる何かを待つのではなく、自らそれを手に入れる努力をするということは、人間誰しも同じだと思う。今後は、国レベルではなく、地球単位でその選択を出来る人が増える世の中に、みんなの意識で変えていかなくてはいけないのかな。

山下くん:生活面や精神面も含めた、バリアフリーの定義とはどのようにお考えですか?

杉原:バリアフリーって、段差がないことをバリアフリーだと思っている人もいれば、人間的な多様性をバリアフリーと解釈する人がいたりと、言葉だけが先行している部分が大きいですよね。でも、僕の考えるバリアフリーはパーソナルエリアを拡大すること。すなわち、経験・知識・技術を武器に、自分の持つ半径を2mから3m、3mから4mって広げていくことだと思う。みんなはこれからの人だから、ぜひともその半径を広げていって欲しいです。

野中くん:それでは最後の質問をさせてください。ずばりHERO Xには人を変える力はあると思いますか?

杉原:すごいこと聞くね(笑)。正直ないよ(笑)。人の考えや行動を変えるということも然り、全ての人の理解を得て受け入れてもらう、ということは非常に難しいことです。

では、HERO Xが無駄なのかといったら、決してそうではないと思います。カッコいい、面白いという、ひとつの潮流をつくり、世の中のアイデアのひとつとしてHERO Xが存在できればそれでいいと、僕は思っています。HERO Xの存在意義は、同じような考え方、同じように何かを変えたいと思い“選択”をしようとしている人たちと出会うことができること。ひとりでこじ開けようとしていた大きな門を、同じ志を持つ人たちと、違うアプローチで開いていくことなんだと。

最後に僕が強く思うのは、2人とも学生のうちに会社立ち上げた方がいいよ。失敗なんか恐れる必要ないから!2人にインタビューを受けていて本当にそう思いました。なぜ自分が僕にこの質問をしようとしたかを、自ら掘り下げてみたらやるべきことが見えてくるはず。会社を持つというのは、大人と対等に勝負できる土俵に上がるということでもあるからね。早くそこに立ってほしいと強く願います。

前編はこちら

ROCKETオフィシャルサイト
https://rocket.tokyo/

(text: 中村竜也 -R.G.C)

(photo: 河村香奈子)

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