医療 MEDICAL

移乗の負担を軽減する、「変身系」車いすにクローズアップ

Yuka Shingai

驚くほど軽量でコンパクトなものから、悪路も難なく突き進めるパワフルなものまで、車いすの進化は止まらない。技術の進歩は勢いを増すばかりだが、今回は、車いすユーザーにも、車いすを操作する人にとってもメリットをもたらす「形を変えられる」タイプの車いすにクローズアップしてみよう。

ベッドの半分が車いすに!介護の現場で絶賛される
パナソニック エイジフリーの「リショーネPlus」

【元記事URL】:http://hero-x.jp/article/6219/

介護される人をベッドから車いすに、車いすからベッドに移す “移乗” は介護スタッフにとって、身体的にも心理的にも大きな負担となる作業。

パナソニック エイジフリー株式会社の『リショーネPlus』は電動ケアベッドの半分が車いすとなっており、従来の抱き上げを不要とすることに成功した。「離床アシストロボット」と銘打っているものの、見た目はロボットのイメージとかけ離れていることから、要介護者は安心感を得られ、ケアスタッフも抵抗感なしに使うことができるのだという。

車いすの配置が左右どちらでも選べるようになっていたり、マットレスの寝心地のよさにこだわっていたり、パナソニックが大事にしている「高機能と使いやすさ」と随所に感じさせるプロダクトだ。

担架にも車いすにも変幻自在!
医療現場を救うオランダ発『The Multi Scoop Pro』

【元記事URL】:http://hero-x.jp/movie/7482/

手動の担架を60kg以上もある電動タイプの担架に置き換え、さらに別途用意してある担架でかつぎ上げるという救急車内の煩雑な処置を簡易化するべく生み出された『The Multi Scoop Pro』は、特許取得済みのメカニズムにより、数秒で担架から車いすに変えることができる。救急隊員は車いすモードで装備をゴロゴロ押すこともできるし、必要に応じて担架にすることもでき、救急車内の省スペースにも一役買ってくれる。

ローンチの正式なタイミングや、価格などの情報はまだ明らかになっていないが、続報を楽しみに待ちたい。

形が変わることで、乗る人も操作する人もQOLが向上する車いす。まだまだ変身の余地がありそうだ。

(text: Yuka Shingai)

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医療 MEDICAL

治りが早く、動きやすく、目立ちにくい。天然素材の3Dプリント包帯!

富山英三郎

ナノ単位の繊維で生まれた包帯が、部位に沿って3Dプリンタから肌に直接印刷される。しかも、素材には大豆たんぱく質が使われ、従来よりも傷の治りが早く、動きやすく、目立ちにくい。そんな未来の包帯が米国のテンプル大学で開発された。さらには、近い将来、家庭向けのハンディタイプが発売される日が来るという。

テンプル大学のバイオ・エンジニアリング教授・ジョナサン・ゲーステンハーバー氏と研究チームは、エレクトロスピニング法(電界紡糸)を使い、体の形状に合わせて包帯を直接印刷する3Dプリンタを開発した。

印刷される包帯の繊維はナノ単位の細さ

この包帯は止血効果があるだけでなく、傷を負った組織の再生をサポートすることも可能だという。その秘密は、コットンやポリウレタンといった従来の包帯よりも、組織の治癒が高まる大豆タンパク質を素材にしている点にある。

ジョナサン教授の新しい包帯は、大豆タンパク質を使い、ナノファイバーなどの製造で使われるエレクトロスピニング法(電界紡糸)で合成繊維を作成。その繊維ひとつひとつは、毛髪よりもはるかに細いナノ単位。それらは細胞の形状と似た構造であり、肌の一部のように密着することで治癒能力も高まるという。また、3Dプリンタを使えばそれぞれにパーソナルフィットし、肌に馴染むほど動きやすくなるというメリットも生まれる。さらに、水を使って塗布することで、本来は白い包帯がほぼ透明になるので見た目にはわからない。
これらの技術は、重度の傷や、広範囲に火傷を負った患者などにとってより有用だと考えられる。唯一の問題は、皮膚の患部を3Dスキャンする必要があり、その工程をいかにスピードアップさせるかという点にある。

ハンディタイプ(ハンドヘルド版)も開発中

そこで現在は、より素早く使えるようハンディタイプ(ハンドヘルド版)のプリンタも開発中。2018年3月25日には、フランクリン研究所でプロトタイプのデモンストレーションもおこなっており、こちらのほうが市場に出る日が近いといわれている。
ジョナサン教授は「将来、ハンディタイプの包帯プリンタがすべての家庭に置かれることを望んでいる。自身の体をより自然なカタチで、自らで治すことができれば最高のことだ」と語っている。

どのタイプのハードが市場に投入されるかは未知数だが、傷の上から肌を塗布する感覚で、包帯プリンタを使う将来は間違いなさそうだ。そのほうが傷が治りやすく、目立たず、動きやすいというのだからいいことづくめだ。

[出典元]
https://temple-news.com/professor-develops-individual-3d-printed-bandages/
https://all3dp.com/temple-university-professor-develops-electrospun-healing-3d-printed-bandages/

(text: 富山英三郎)

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