医療 MEDICAL

お酒の失敗にサヨウナラ!?飲み過ぎを知らせてくれるリストバンド「PROOF」

HERO X 編集部

お花見に歓迎会と、何かと飲みの機会が多い春。飲み過ぎて思わぬ失態が出てしまうこともありえるだろうが、最近の研究では、アルコールによって現れる言動はそもそもその人の根底にある思いや欲求であるとも言われている。つまり、「あれは飲みの席でのことで…」などという言い訳はきかない。お酒に飲まれて失敗しないためのよいアイテムをアメリカの会社が開発している。

アメリカ・カリフォルニア州にある Milo Sensors 社が開発を進めているのはリストバンド型の血中アルコール度数測定器「PROOF」。汗に含まれる体内の化学物質を内蔵した特殊センサーが検出、血中のアルコール度数をリアルタイムで測定してくれるアイテムだ。データはスマホのアプリに送信、グラフ化してくれるため、自分の酔い具合を客観的に見ることができる。また、酔いすぎを回避するため、自分がこの辺で飲むのを止めた方がよいと思う血中アルコール度数を事前に登録しておけば、その度数に達した時に警戒アラートを出してくれるという。

アルコール濃度の検査と言えば、息をふきかけるタイプが主流だが、この場合、検査時の濃度しか分からない。その点、この「PROOF」はお酒を飲みに出かける時に腕につければその間の血中アルコール濃度を自動で継続的に測定してくれるため、飲みの時間を楽しみつつ、酔いすぎを防止してくれる。自分の体が何杯飲んだらどのくらいの血中アルコール濃度になるのかなど、限界点を分析するのにも役立つ。スマートなデザインで周りから測定中だということも悟られない。

飲んだ後、時間を置けば「酔いも覚めて車の運転ができるだろう」と考える人もいるだろう。しかし、酔いが引いたかを感覚で判断するのは少々危険。自覚症状がなくても酔っているということもあるからだ。例えば、血中アルコール濃度が0.5%を超えると事故の可能性は2倍になると言われている。日本の酒気帯び運転の基準値は呼吸中のアルコール濃度0.15mg/L。これを血中アルコール濃度に換算すると0.3mg/mL(0.03%)。だいたいビールの中瓶1本でこの数値を超えると言われる。しかし、実際のアルコールの分解具合は体格や体質により異なるため、何時間空ければ酔いが引くかは個人差がある。だが「PROOF」を使えば、正確にアルコールの引き具合を判断することができるようになる。また、アプリでは、何時間後に一定のレベルに下がるかの予測も可能。酒の席での失態が許されないアメリカでは、その開発に期待をかける人が多かったのだろうか、クラウドファンディングサービス INDIEGOGO では53647ドルを集めたという。商品化はまだのようだが、その開発に期待がかかる。

[TOP動画引用元:https://www.youtube.com/watch?v=w1UtVcQB2gw

(text: HERO X 編集部)

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医療 MEDICAL

メンテナンス手術が不要に。3Dプリンター技術による新たな乳房再建方法

HERO X 編集部

女性のがんの中で罹患率が最も高いとされる乳がん。乳がんによりなくした乳房を再建する手術を受ける女性も多い。しかし、一般的に行われているシリコン・インプラントを使った再建では、数年ごとにインプラントを入れ替える必要があったのだが、近い将来3Dプリンター技術を使った乳房再建方法が生まれるようだ。

開発を手がけているのは3Dプリンターを独自開発するドイツのBellaseno社。ポリマー材を3Dプリンターで精巧に印刷したインプラントを製造し、インプラントを患者自身の体脂肪で組織形成する技術の開発により、長期的な投薬や度重なる手術によるリスクを回避することが可能だという。この特殊な3Dプリンティングを可能にしたのが日本の技術だった。精密さを要する治工具などを手掛ける企業のテクダイヤ株式会社は、インプラントの材料となるポリマーを巧みに積み上げていくためのディスペンサーノズルを開発、3Dプリンターの開発を成功に導いた。インプラントの材料となるのはポリマー(ポリカプロラクトン)と呼ばれる素材だが、形成にはディスペンサーノズルからこのポリマーを早いスピードで正確に吐出し積み上げていく必要があった。人の体に入れるもののため、その構造は非常に精密で複雑。小径のノズルかつ高精度な塗布ができるノズルが求められていた。 同社は先端わずか150μmのディスペンサーノズルの先端端面を液状の研磨材を使って研磨する「ラップ研磨」によりさらに加工、流動性を高めるためにシリンジとノズルを同口径化することでBellaseno社が手がける3Dプリンターに必要な部品を作り上げた。

これまで乳房再建に使われてきたのは主に2つ。「シリコン・インプラント」と呼ばれるものを乳房を切除したところから入れ込む方法と、お腹や背中の組織を使い再建する「皮弁(ひべん)法」という方法だが、シリコン・インプラントは10年ごとにインプラントの入れ替えが必要となり、「皮弁法」では乳房切除部分以外にも傷が残るなどのネックがあった。

また、今年に入り、乳がんによる乳房再建手術などでも使われる人口乳房が原因で血液ガンになった症例が国内でも発見され、乳がんの再建手術についてはより安全な方法を求める声が高まっている。 Bellaseno社が開発中の3Dプリンターを用いた乳房再建技術は現在、前臨床段階で来年には順次病院へと展開される予定だ。この技術が導入されれば、メンテナンスのための再手術の必要もなく、患者の体の負担も減る。新たな技術の力でまたひとつ、最新医療が日本でも生まれようとしている。

[TOP画像引用元:BellaSeno

(text: HERO X 編集部)

(photo: テクトダイヤ株式会社)

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