プロダクト PRODUCT

画面の見過ぎで斜視が多発!?外出自粛生活ではIT眼症に注意

Yuka Shingai

企業のリモートワークや全国の公立小中高校の休校によって、画面を通じたデジタルコミュニケーションが活性化する一方で、気がかりなのは、その二次的な健康被害。一部の学校で開始されたオンライン授業や、空き時間に動画配信コンテンツなどの視聴で子どもにタブレットやスマホを持たせる割合が上がった家庭も多いはず。長時間画面を見続けることが増えると、大人も子どもも気を付けたいのが目への負担である。近年、子どもや若者に急性内斜視の患者が増えているらしく、スマホなどタブレット端末の画面を長時間見過ぎることによる影響が懸念されている。目に優しいアイテムを取り入れて一工夫することで、在宅勤務も学習も快適になるかもしれない。

CVSを解消する機能満載!
BenQのアイケアモニター
「GW2480T」

動画URL:https://www.youtube.com/watch?v=qnDGK8WkpgM&feature=emb_logo

液晶ディスプレイ、DLPプロジェクターの生産数で世界トップクラスを誇る、台湾の電気製品メーカーBenQが近年とくに力を入れているのがヘルスケアや教育といった領域。ビジネスパーソンから医師とその患者、教師やゲーマーにいたるまで、ありとあらゆる人々の声に耳を傾けながら製品を生み出している同社が2019年に発売したフルHD液晶ディスプレイ「GW2480T」は、画面を見続けることによって発生する視界のかすみや頭痛、ドライアイといったコンピュータービジョンシンドローム(CVS)を防止するアイテムとして注目を集めている。

ブルーライト軽減、輝度と色温度を環境光に合わせて自動調節する「ブライトネスインテリジェンス」機能やディスプレイ上の表示のちらつきを防ぐ「フリッカーフリー」技術、ディスプレイに表示される赤や緑の量をそれぞれカスタマイズできるカラーユニバーサルモードなど、画面を眺めているうちに蓄積されるストレスを軽減するあらゆる機能が搭載されている。また、赤外線センサーでユーザーの有無を検出し、デスクにいる時間から逆算して休憩を促してくれたり、高さ調整機能で自分にとってベストな視聴角度に合わせられたりと、きめ細やかさにも富んでいる。

ITで生活が便利になる一方、
目の疲れは社会問題化!?

アイケアモニターは、休校が終わってもプログラミングなどデジタル学習の機会も想定されるし、ゲームや映画・動画の視聴時にも、もちろん活用できる。これからはモニターが一家に一台という新常識が生まれるかもしれないなか、視聴環境を最適なものに整えることは新しい健康づくりとして注目されるであろう。

冒頭で触れた急性内斜視も、近くの画面を長時間集中して見てしまうことによって、眼を動かすための筋肉が収縮したままになることが原因と考えられている。BenQが注目したコンピュータービジョンシンドロームなどその他の症例からも、ディスプレイの見過ぎによる目の疲れは単なる体調不良に留まらず、社会問題化しているように思える。公益社団法人日本眼科医会では、こどものIT眼症を防ぐため、IT機器の使用は “3つの50” を守ることと注意喚起している。
1) 50cmで楽に見える状態のものを
2) 連続使用は50分以内
3) 距離は50cm以上離れる習慣を

子どもたちは、見る機能や目を動かす機能も発展途上であるためより注意したいが、大人の私たちも長時間のウェブ会議などリモートワーク疲れが出始めている今、テクノロジーを駆使したより健康なライフスタイルを目指したいものだ。

眼の動きだけでデバイスをコントロールできる
「JINS MEME BRIDGE」が可能にするものとは?
【JINS:未来創造メーカー】

記事URL:http://hero-x.jp/article/191/

同じく「目」に関するインタビューをアーカイブ記事からご紹介しよう。
豊富なデザインとお手頃価格でおなじみの眼鏡メーカー「JINS」。なかでもヒット商品のブルーライトカット眼鏡「JINS SCREEN(旧JINS PC)」は、視力の悪い人は当然のこと、本来眼鏡が必要でない人にまで訴求した、メガネの新しい価値観を生み出した成功例のひとつであった。JINSがそういった新しい価値観でものづくりをするなかで生まれたのが「JINS MEME」、そして『JINS MEME BRIDGE』だ。

眼球が動いたとき眼の付近の皮膚表面に発生する電位の変化から、眼球の動きを判定する眼電位技術を利用したセンシング・アイウェア「JINS MEME(ジンズ・ミーム)」とそれを活用したプラットフォーム『JINS MEME BRIDGE』がALS患者の支援プロジェクトとしても知られている。

眼鏡をコントローラーとして使うことで、ハンディキャップを抱える人や高齢者、一般の人も含め、全ての人に表現の自由を叶えつつ、眼鏡=視力の補正というこれまでの概念を覆すものだ。ただの装具でもファッションアイテムでもない、本来の目的を飛び越えた先に、無限の可能性が広がっている。

大人も子どもも、ハンディキャップを抱える人も、テクノロジーを上手に活用することで、全ての人がより心地よい生活を送れると言えよう。まずは今、酷使しがちな目を意識的にいたわってあげてみてはいかがだろうか。

TOP画像引用元:https://www.benq.com/

(text: Yuka Shingai)

  • Facebookでシェアする
  • LINEで送る

RECOMMEND あなたへのおすすめ

プロダクト PRODUCT

乙武洋匡が人生初の仁王立ち!話題のロボット義足を手掛けた小西哲哉のデザイン世界【the innovator】前編

岸 由利子 | Yuriko Kishi

11月13日、東京都渋谷区で開催されたイベント「2020年、渋谷。超福祉の日常を体験しよう展(通称:超福祉展)」の大トリを飾ったシンポジウム「JST CREST x Diversity」で乙武洋匡さんがロボット義足を付けて電動車いすから立ち上がる姿が公開され、大きな話題を呼んでいる。乙武さんの義足は、科学技術振興事業機構CRESTの支援のもと、遠藤謙氏が率いるソニーコンピュータサイエンス研究所(Sony CSL)のチームによって開発された。その一員として、ロボット義足のデザインを手がけたのがexiii design代表のプロダクトデザイナー小西哲哉氏。電動義手、ヒューマノイド、車いす型ハンドバイク、リハビリ用の長下肢装具など、多彩な分野で手腕を発揮している小西氏のデザイン世界に迫るべく、話を伺った。

引用元:乙武洋匡FACEBOOK

使う人がワクワクできる
“モノ”として魅力的なデザイン

『身体の障がいは現時点では障がいかもしれないけれど、10年後には障がいでなくなるかもしれない。もし足がなかったとしても、足と同じように動くテクノロジーがあれば、その人は普通に歩くこともできるし、走ることもできる。そうなったら、足がないことは障がいなのだろうか。きっと未来は、誰もが身体に不自由はなく、自由に身体を動かすことができるに違いない。そうした未来を目指して、ロボティクスで人間の身体を進化させていく』―このビジョンのもと、ソニーコンピュータサイエンス研究所のチームが始動した「OTOTAKE PROJECT 2018」。義足を付けて歩くには最も難易度が高いとされる四肢のない乙武さんが、最新のテクノロジーと融合することによってロボット義足を付けて歩くという、世界でかつてないハードルの高いチャレンジに挑むというものだ。

SHOEBILL Ototake Model
©ソニーコンピューサイエンス研究所

乙武さんの義足は、Xiborgと同研究所が開発するロボット義足「SHOEBILL」をもとにカスタマイズされた。普段、乙武さんは、常に座位の状態で生活しているため、膝付きの義足を付けて立ち上がろうとすると、重心位置が前になって前方へ倒れやすくなり、膝折れが起きやすくなってしまう。両手がなく、受け身の姿勢を取ることも難しいため、安全性を考慮して膝の回転軸を後ろ側に付けるという特殊な構造になっている。小西氏はデザインについてこう話す。

「今回は、人の足のシルエットを大事にしたいと考えていました。乙武さんが今までなかった足を手に入れて、長ズボンを履いたり、好きなスニーカーを選ぶなど、私たちが当たり前にしていることができるようになることは、義足を使って“歩く”ことと同じくらい大切だと思うからです。シルエットをより人の足に近づけるため、従来ふくらはぎ部分にあったバッテリーをすね側にレイアウト変更しました。膝の回転中心を含め、全体のシルエットをできるだけ前側に移動させることで、後ろ側にある膝が不自然に目立たないように配慮しました」

このロボット義足は、単に人の足にシルエットを似せているだけではない。

「健常者にはできない自分の足の外装を簡単に取り外し、カスタムができるようにしていたり、装着するだけで美しいラインの足が手に入ったり、使う人がワクワクできる“モノ”として魅力的なデザインになるよう心がけています。すべてのモノのデザインに対して、常に考えていることのひとつですが、義肢や生活に使うモノはあくまで道具であって、大事なのはそれを使うことで日常をより良い状態にすることができるということです。乙武さんの義足で言うと、このロボット義足を使うことで、日常をもっと楽しくできるということです」

ユーザーと心の距離を近づけ、
チーム一丸となってモノづくりする喜び

「今後、歩くのがどんどん上達して、乙武さんが街中を歩いている姿を想像するとワクワクが止まらない」と話す小西氏。福祉機器から家電に至るまで、さまざまな分野のプロダクトデザインを手掛けているが、「そのモノを“使う人”がしっかりと見えているプロジェクトほど、良いモノが出来上がる」と言う。

「どんなプロジェクトでも、必ずユーザーの方と会って話をするようにしています。実際に話し合うと、どんな人なのか、どんなモノが欲しいのかといったことが見えてきますし、特に義手や義足、車いすといった福祉機器など、自分自身がユーザーではない場合は、話を重ねることでユーザーとの心理的な距離が近づくと、より具体的にイメージできるようになります。自分だったらこうあって欲しい、こんな風に動いて欲しいということが考えやすくなりますし、その方のために、もっといいモノを作りたいという気持ちが湧いてきます」

Handiii ©exiii design

小西氏は、パナソニックデザイン部門でビデオカメラやウェアラブルデバイスのデザインを担当したのち、2014年にメカエンジニアの山浦博志氏、近藤玄大氏とexiiiを協同創業。GUGENやジェームズ・ダイソン・アワード、iFデザインアワードなど国内外のコンペで受賞した、低コストで優れたデザインを兼ね備えた3Dプリント筋電義手「handiii」を皮切りに、その進化版であるオープンソースプロジェクト「HACKberry」、義手プロジェクトで培った知見を活かして開発したVR空間に存在するデータに触ることができる触覚提示デバイス「EXOS」など、革新的なプロダクトを次々と生み出してきた。

Hackberry ©exiii design

EXOS ©exiii design

exiii創業から目まぐるしく過ぎた4年を経て、よりモノづくりに集中するために、新しいデザイン事務所「exiii design」を立ち上げ、独立したことを2018年10月17日に発表した小西氏。exiiiのフルタイムメンバーからは卒業するが、社名からも分かる通り、exiiiのプロダクトデザインは今後も担っていきながら、新たな気持ちでモノづくりに挑んでいく次第だ。

「デザイナーにも色んなタイプの人がいると思いますが、僕はどちらかと言うと、尊敬し合えるメンバーとチームを組んで、一緒にモノづくりしていくのが楽しいですね。これは、exiii時代からずっと変わっていないです。“ここ、もうちょっと削れないですか?”、“ここ、スペースに余裕がありますよね?”というように、エンジニアをはじめ、関わるスタッフとは包み隠さず、ひとつずつ洗い出していくタイプです。そうすると、目の前にある課題の解決策も一緒に探していくことができるので」

後編では、小西氏が手掛けたデザインをさらに紹介するとともに、インスピレーションの源など、その人物像に迫っていく。

後編へつづく

exiii design
https://exiii-design.com/

小西哲哉
千葉工業大学大学院修士課程修了。パナソニックデザイン部門にてビデオカメラ、ウェアラブルデバイスのデザインを担当。退職後、2014年にexiiiを共同創業。iF Design Gold Award、Good Design Award金賞等受賞。2018年に独立しexiii designを設立。現在も継続してexiii製品のプロダクトデザインを担当。

(text: 岸 由利子 | Yuriko Kishi)

(photo: 増元幸司)

  • Facebookでシェアする
  • LINEで送る

PICK UP 注目記事

CATEGORY カテゴリー