対談 CONVERSATION

東京2020は、22世紀に向けた前哨戦!スポーツジャーナリスト上野直彦の視点 後編

東京2020オリパラまであと1年。人気漫画「アオアシ」の取材・原案協力を担当したことでも有名なスポーツジャーナリスト上野直彦さんとの対談。リアルな人と出会ったことでパラに関心が生まれたこと、スポーツの力についてや、パラアスリートから聞いたオーストラリアのバリアフリー化がすごいという話まで、多岐にわたる話題で盛り上がった前編に続き、後編では東京2020からの日本や、スポーツが切り開く未来についてお話を伺った。

杉原:前編でお伺いしたオーストラリアのバリアフリー化ですが、日本も東京2020に向けてインフラの整備だけではなくて、本来であれば、心のバリアフリーも含めてもっと進めるべきなんでしょうけど、そこのブレイクスルーが行われていない。東京はかなり成熟した都市になっているので、そこをいきなり変えることはなかなか難しいことですが、東京2020が日本の更なるバリアフリー化実現のきっかけになるといいなと思っています。前編で影響を受けたパラアスリートという話が出ましたが、ほかにはどのような選手が印象に残っていますか?

上野:パラトライアスリートの木村潤平さんです。彼はね、早稲田のスポーツ科学研究科の平田竹男ゼミの12期で一緒に学んだ仲間、一番のムードメーカー。同期にものすごいメンバーが揃っていたんですけど、とにかくムードメーカーは彼でしたね。いつもみんなを笑わせてくれて。だからみんなで彼のことを応援しようぜって。彼自身もいろんな発信をしたり、いろんな形で頑張っていて。彼には会えば元気をもらえる。そんな人ですね。

杉原:いいですね。今のお話を伺っていると、みんなで応援しようっていう人を巻き込んでいくコミュニティーができあがってくるんですよね。これってやっぱりスポーツ特有なんでしょうか?

未来はけっこうイイのでは

上野:そうですね、そう思います。コミュニティーをどれだけ上手くつくっていくか、どれだけ大きくしていくかということ。例えば、2021以降にブロックチェーン企業やあるいはインターネットの次の社会になったときに、どれだけいろんな形のコミュニティーがたくさんできて、そのコミュニティー同士がどれだけ繋がっているか、ネットワーク化しているかが、大きな影響力を持ってくると思っていて、それってダイバーシティ社会に繋がっていますよね。主導権争いに終始してしまうのではなくて、コミュニティー同士が膨らんでクロスオーバーし、新しくコミュニティー化が更に進んでいくと、ちょっとしたら大袈裟じゃなく22世紀は結構いい社会になるじゃないかと、ポジティブに想像しています。

杉原:きっといまが一番混沌としている時代ですよね。

上野:そうなんです。僕が信頼している20代前半のプログラマーがいて、現在ブロックチェーンの複数のプロダクトを一緒に進めています。彼はAIの分野にも実績があって、ちょっと天才肌タイプなのですが。「今の時代は22世紀前半では普通になっていることの前哨戦をやっている。でも同時に金融制度では19世紀後半のものと混在している」と話し合っています。これが価値観を含め多くの混乱を生み、同時にチャンスとなっています。これからの時代は労働時間が3分の2や半分となり、社会の核は、やはりスポーツや音楽・アートなどクリエイティビティーな活動が中心になっていくのではとも思っています。

杉原:僕もなんとなくそんな風に思っています。実は僕は今“車いすレーサー”っていうテーマでマシンのデザインをしています。これは、55歳の車いすアスリート伊藤智也選手だけの為に作っているものです。彼のマシンは基本的に彼に合ってるんですよ。どういうことかというと、今までは人がモノに合わせてきたんですよね。彼のマシンはそうではなくて、モノが人に合わせているんです。もはや彼にしか合わないぐらいの感覚でやっています。

上野:へぇ~すごいですね。これは何キロぐらいのスピードが出るんですか?

杉原:クラスによって違うんですけど、彼はT-52なんですが、100メートルだと32~33キロまでは出ます。

* T-52=IPC(国際パラリンピック委員会)におけるパラ陸上競技のクラス

上野:結構なスピードが出るんですね。

継続的な関心を生む道

杉原:僕が去年陸上を観に行って思ったのは、やっぱり見かたがよく分からないんですよ。スタジアムの中で何種目もやっていたり、あとは、観客動員数が圧倒的に少ない。一方で開会式はロンドンパラリンピックみたいにたくさん人を集めようといった動きもあり、なんだかチグハグな感じがすごく気になっていて。そこで、これまでいろんなスポーツを観たり取材してこられた上野さんにお聞きしたいんですが、期間中だけではなくて、その後も継続して人を集めていくにはどういった取り組みが必要なんでしょうか?

上野:いい質問ですね。例えば、競技が開催される区の公立小中学校を休みにして、子どもたちがパラを見る機会を創出するというのもアイデアとしてあると思います。とにかく会場を満員にする、それを特にU12とかU15の子どもたちに観てほしいんですよね。これからの世代の子たちに。まずスポーツで、「観る・する・支える」それをリアルに、ナマで観てほしいんです。スポーツの醍醐味ってライブ・現場だと思うんです。どれだけOTTが発達しても、やっぱりナマで観戦することです。だから、その年代の子たちに観戦してもらって、僕がパラ選手からもらったガッツとか、選手たちが汗をかいている姿を見て、いろんなことを感じてほしい。これはとても大事なことだと思っています。

杉原:僕もオリよりパラの方が盛り上がるんじゃないかなっていう気がします。

上野:あと、世田谷です。世田谷区にはアメリカのオリ・パラの選手団が来ますが、そこにリオのパラリンピックトライアスロンで銅メダルを取ったメリッサ・ストックウェル選手に来てほしいんですよね。僕は彼女をWOWOWでやっていたパラリンピック・ドキュメンタリーシリーズの「WHOⅠAM」で知ったんです。彼女は左足を失ってしまったんですけど、お母さんになってからリオで銅メダルを獲って現在も活躍している。そういう選手に来てもらって交流してほしい。世田谷区では子どもと選手の交流イベントで、選手に直接質問して話を聞けるような企画を進めているんですね。オリ選手ももちろんなんですけど、彼女のようなパラ選手との交流も深めてほしいんです。とにかく百聞は一見に如かずですよね。意識が変わるじゃないですか。

杉原:それは間違いないですね。いいですね。ぜひHERO Xとも絡めてなにかやりましょう!

上野:やりましょう! HERO Xって名前もいいですよね。あとは、一過性にしないこと。そのためには今から何か動かないと間に合わないと思うんです。

杉原:そこでもうひとつ僕が気になっていることは、ポイントは“プロ化”なんじゃないかなって思っていて。JFLがJリーグになっていく、要はサラリーマンからプロになるっていう。本音を言うと、東京2020で何かプロリーグができていてほしかったなって思うところなんですけど。

上野:ほぉ。僕はそのあたりは詳しく分からないんですけど、逆に世界の中ではパラ競技でプロ化している事例ってあるんですか?

杉原:プロとしてやっている方はいらっしゃいます。僕がスポーツのプロ化がすごく大事なことだなと思っている理由は、企業選手、嘱託社員でやるのはもちろんいいんですけど、そいう基盤はあっていいものの、やっぱりプロとして闘って、1億円プレーヤーがもっと出てきてもいいんじゃないかって思うんです。現状ではまだひとりかふたりしかいないと思います。スポーツが持っている力で、だれか1人でも2人でも、フラッグシップモデルになるスーパーヒーローが生まれてほしいなと。

上野:私もその考えには大賛成です。そして1億円プレーヤーになれたなら、堂々と言っちゃったほうがいいですよね。そうしたらそこに到達できる才能を持っている選手はいっぱい出てくると思うんですよね。

杉原:そうなんですよ。僕も言ったほうがいいと思うんですけど、出る杭は打たれる的なところも日本にはありますし、なかなか難しいところですが。

上野:でも可能性はありますよね。スーパースターっていうのは、瞬間風速と同じでその時だけなんですよね。それを永続的なものにするために、台風を電力に変えていかないといけない。その為にはやっぱり戦略と仕掛けが必ず必要で、例えば少人数の競技をリーグ化して、東京をその競技のメッカにしてしまうとか、その競技の育成の聖地を日本のどこかにしてしまって、ワールドカップと名乗るかそれに準ずるような大会を4年か2年に1回日本で開催する。「2年後に開催予定で、予選は2020の秋からです。」みたいなことを東京オリンピックが終わったタイミングで発表すれば、世界中のメディアが注目するチャンスじゃないですか。東京オリンピック・パラリンピックに協賛できなかったスポンサーもたくさんいますしね。

杉原:まったく同じことを思っています。ここから話が繋がっていくのですけど、今、車いすをモビリティーとして考えた新しいスポーツをつくろうかと思っているんです。そこで、ちょっとこちらを見ていただきたいのですが。

RDS最新モビリティーを真剣な表情で見つめる上野氏 (写真左) と杉原 (写真右)。

根木慎志氏にもパーソナルモビリティWF01 (http://hero-x.jp/article/5833/)

杉原:僕もこの競技をプレーヤーとして楽しみたいのですが、ただ普通の車いすではやりたくないんです。やっぱり “車いす” なので。モビリティー自体がかっこよければ、いろんな人が参加したいと思うのではと。そうすると、ボーダーを超えることはできなくても、ちょっとだけ消しゴムで滑らかにできるんですよね。全部は消せなくても。一緒にエンターテインメント、スポーツを通じて何か理解を深めていけたらいいよね、しかもそれがリーグか何かになったら盛り上がるよねと。僕も車いすバスケを根木さんたちとよくやるんですけど、その時にちょっとおもしろいなって思ったことがあって、いつもみんなが口をそろえて言うのが、「根木さんのいるチームずるい」なんです。

上野:それはなんでですか?

杉原:普段は車いすユーザーの側に身体的ハンディーキャップがあるのですが、車いすバスケになったら立場が逆転するのです。根木さんの車いすさばきがやはりめちゃくちゃ上手いので、健常者はもう追いつけないわけですよ。そうなるともう、何がハンディで何がハンディじゃないのかっていうことが分からなくなるんですよね。

上野:なるほどね~。

杉原:僕はスポーツを通じてなんかこういう逆転化をしてみたいなと。東京2020で世界が注目しているなかで、プロとまではいかなくても、そういうリーグができていたら、結構な賞金も出たりして。

上野:賞金は大事ですよ。一番大事だと思います。

杉原:ですよね。やっぱり賞金が出てくるだけでフェアになるじゃないですか。僕はそこを仮想会議ではなくてリアルしていきたいんですよね。やはり今までの基盤になっている車いすの文化の上に上積みをしても、ブレイクスルーはなかなか難しいだろうし、僕にはそこは期待されていないと思うんですよ。それなら新しいものをつくって二極化するわけではなくて、同じことをやりたいんだけれども、違うアプローチをする必要があるんじゃないかなと。僕はそのひとつがスポーツだと思っています。

上野:いいですね~。もうスポンサーはついているんですか?

杉原:いえ。そこは今からやっていこうと思っています。

上野直彦
兵庫県生まれ。スポーツライター。女子サッカーの長期取材を続けている。またJリーグの育成年代の取材を行っている。『Number』『ZONE』『VOICE』などで執筆。イベントやテレビ・ラジオ番組にも出演。 現在週刊ビッグコミックスピリッツにて連載となった初のJクラブユースを描く漫画『アオアシ』では取材・原案協力を担当。NPO団体にて女子W杯日本招致活動に務めている。Twitterアカウントは @Nao_Ueno

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対談 CONVERSATION

2030年にはロボットが働く世界が浸透している!?

富山英三郎

1980年に提唱された「テレイグジスタンス」という概念が、2020年ついに商業化の第一歩を踏み出した。コンビニの陳列からスタートする最新の在宅勤務は、この先どのような広がりを見せるのか? テレイグジスタンス社CEOの富岡 仁氏と、弊誌編集長・杉原行里による対談。


対談の前に、「テレイグジスタンス」について簡単に解説しておこう。「遠隔存在」「遠隔臨場」とも訳される「テレイグジスタンス」は、東京大学 名誉教授であり工学博士の舘 暲氏が1980年に提唱した概念。簡潔に言えば、人間がロボットの身体を操作し、自分の身体と同一のものとして行動できるようにする試みだ。館教授が考える最終ゴールはまだ先だが、約40年の研究成果により、かなりの進化と実現性を帯びてきている。そんななか、2017年に同研究の社会実装(商業化)を目的としたテレイグジスタンス社が設立された。富岡 仁さんは、その会社の共同創設者でありCEOである。

「ロボットが人間の仕事を奪う」
というのは誤解

杉原 一般的に、ロボティクスやAIの話になると「人間の仕事を奪うんじゃないか?」という議論になりやすい。意味がわからないと僕は思ってしまうんですけど・・・・。技術の進化によって、人間が無理してやらなくていいことをやってくれるわけで、そのぶん時間に余裕ができるのはいいことだと思うんです。

富岡 誤解を恐れずにいえば、本来仕事というのは意義深いものであり楽しいもの。また、そうあるべきだと思います。なので、単純作業の部分はどんどんロボットにお願いしていけばいい。それがうまく社会に浸透して、最終的に「不労」の世界が生まれるのがベストだと思います。

杉原 高齢化社会のなかで、荷物を持つことすら大変な人が増えている。そういうなかで、パワードスーツのようなものだったり、自分の擬態が動くというのは重要になってくる。なぜなら、ロボットはいくらでも壊れていいわけで、人間が壊れることと比較してはいけない議論だから。

富岡 まさに「マスター・スレイブ」の関係ですよね。

杉原 そう。人間は多くの時間を仕事に費やすわけなので、そこの質を上げるような柔軟な考え方は必要ですよね。

富岡 会社が導入することの怖さがあるのかもしれないですが、個人が自分のために導入するようになれば変わるかもしれない。

杉原 ちなみに、この9月に第一弾として導入されるコンビニの店舗は「完全無人化」ではないんですよね? *1)

*1) 9月14日〜現在「ローソン Model T 東京ポートシティ竹芝店」にて導入

富岡 店員もいます。遠隔化、無人化される業務は全体の2〜3割程度です。

現在、産業用ロボットは
年間100万台という小規模な世界

杉原 『Model T』に関して、そもそもの発想のきっかけは何だったのですか?

富岡 ロボットの世界って、外から見ているとすごく景気が良さそうに見えるじゃないですか。でも、年間の台数ベースで言えば、クルマは8000万台、テレビは2億台、スマホは3.5億台も世界で売れているのに、産業用ロボットって60万台しか売れてないんですよ。

杉原 世界でそれしか需要がない!? 意外な気もしますが、よく考えると一度導入したらそんなに頻繁に買い換えないですしね。

富岡 主に自動車と総合電気の工場のなかでしか使われないから市場規模に広がりがなく、産業の成長スピードも相対的に低い。結果、異なる知見を持った優秀な人材も流入しないんだと思います。そう考えると、工場の外の世界で「モラベックのパラドック」(*2)を解くことは、この産業が爆発的に成長するためには本当に大事なんですよ。自分が生きている間に、せめて自動車並みの産業規模にしたい。そういう意味で、フォードのTモデルとかけて『Model T』にしたというのもあるんです。

*2) 高度な推論よりも、1歳児でもできるような感覚運動スキルの方が多くの計算資源を要するという問題

杉原 なるほど、世界初の量産化大衆向け自動車になぞらえているんですね。今後、『Model T』のような、ロボティクスを遠隔操作することによってもたらされる+αのプログラミング、位置情報、スキャン、画像認識というものを、エンターテイメントやゲームの世界に取りいれたら、すごいことになりそうだなと思いました。

富岡 そういうアイデアが欲しいんですよ! 僕らはまず「BtoB」からですけど、将来的に大きくさせるには「B to C」で革新的なコンシューマープロダクトを作りたいんです。

杉原 それならば「教育」じゃないですかね。早い段階で遠隔操作ロボットに触れさせることが「財産」になる。もしかしたら、子ども発信で生まれるかもしれない。あとは「医療」の世界ですよね。

富岡 ロボット版キッザニアとか面白そうですね。

2030年には「拡張労働力」が
浸透している!?

杉原 それやりたいですね! ちなみに、「テレイグジスタンス」を含めた遠隔ロボット、アバターの世界は進化のスピードが飛躍的に上がっていると思いますけど、10年後はどれくらい成長していると思いますか?

富岡 う~ん、不確定な部分もありますが・・・。2030年には、ロボットを通じてどこからでも物理的な仕事ができる「拡張労働力」というものがひとつの労働形態として浸透していてほしい。でも、遠隔操作だけでは進歩がないので、「遠隔制御」から「自動制御」へと進化していたい。それは「オートメーション」の世界です。そのためにも、人の動作データ、とくにロボットのジョイントデータ(関節のデータ)を集めたい。

杉原 そういう動きは、ロボット業界では一般的なんですか?

富岡 まだそこまでではないですね。ジョイントデータを学習させるコンセプトはあっても、まだ誰もやっていない。僕らもどうすれば実現できるかを考えている段階です。

杉原 いまはまだ、ガンダムのように人が乗るロボットをイメージしている人が多いし、そこを実現させようとしている方々も多い。それはそれで間違っていないですが、そのイメージしかない人は、新しいロボットを見てもがっかりして帰るだけなんですよね(笑)。でも、この『Model T』はそれがない。アンテナの高い人はすぐに注目するだろうし、中間層も「稼げるかも」って思ってくれそう。

富岡 そう言っていただけると嬉しいですね。

杉原 こうなると、今後はロボットの世界も「細分化」されていくんでしょうね。モビリティのなかに、車、自転車、バス、飛行機があるように。

富岡 一般論としては、「アクチュエータ」(*3)の高出力化と小型化を同時に達成することや、減速機やマシーンビジョンの進化がポイントになると思います。産業用のロボットは、工場で使うことが前提だから大型なんですよ。しかも、工場の外の世界でまだ誰も「プロフィットポイント」(利益ができること)を証明してないから、本気で小型化を目指しているメーカーも少ない。そこを証明できれば、手だけで20関節くらいあるものも作れるので細かい作業ができる。

*3) エネルギーを機械的な動きに変換し、機器を正確に動かす駆動装置

杉原 来年のCES(*4)あたり、各ブースが「関節系」とか言ってたりしてね。

*4) 毎年1月にラスベガスで開催されるコンシューマー・エレクトロニクス・ショー

富岡 あとは、板金に変わるような素材ができるといいですね。また、コクピット側も弊社では、いまのところVRでロボットを操作していますけど、本当はBMI(*5)などでやりたい。まだ侵襲性の問題がクリアできず、ノイズも多すぎて現実的にはできないですけど。

*5:ブレイン・マシン・インタフェース。脳波を読み取り、考えただけでロボットが動く操作方法のこと

杉原 先ほど「減速機」の進化というお話が出ましたが、車でもアクセルよりもブレーキが難しいんですよね。ついにロボットも制御の時代が来たんですね。さて、話が逸れてしまいましたが、「テレイグジスタンス」としてはまずはコンビニから『Model T』の運用をスタートされると。現時点で言える範囲はそれくらいですか?

日本では、館内の
ラストワンマイル・デリバリーが狙い目

富岡 具体的な取り組みでいうと、大手のCVSからスタートします。その後は、スーパーやドラッグストアと小売りを中心に広めていきたいです。同時進行で、もう少し重めの物体を扱う業務、例えば物流分野を考えていく感じですかね。

杉原 物流はどんどん無人化していくでしょうね。「ドローン vs. ロボット」みたいな時代がそこまできている。あとは、日本郵政が始めましたけど、オフィスとか館内のデリバリーはもっとできると思うんですよ。

富岡 それは僕もそう思います。

杉原 タワーマンションとかに住んでいると、宅配業者がピンポーンとやってきても、それから30~40分来ないときがある。というのも、マンション内の各家庭を回っているから。その間、風呂にもトイレにも行けなくて、出かけることもできず困るんですよね。あれならば、時間指定をしてロボティクスが各部屋を回ってくれたほうがいい。

富岡 それは本当にやりたい! 館内のラスト・ワンマイル・デリバリー。

杉原 日本の場合、ラスト・ワンマイルのほうが現実的ですよね。そこはぜひ一緒にやりましょう! 今日はありがとうございました。

■プロフィール/富岡 仁
テレイグジスタンス株式会社 代表取締役CEO、CFO兼共同出資者。
スタンフォード大学経営大学院修士。2004年に三菱商事入社し、海外電力資産の買収などに従事した。2016年にジョン・ルース元駐日大使らとシリコンバレーのグロースキャピタルファンド「Geodesic Capital」を組成し、SnapchatやUberなどへの投資を実行。東京大学の舘名誉教授のテレイグジスタンス技術に魅了され、2017年1月にテレイグジスタンス株式会社を起業。

(text: 富山英三郎)

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