医療 MEDICAL

腸や子宮内環境も改善可能?ヘルスケア最前線

Yuka Shingai

コロナ禍でライフスタイルが激変し、健康により一層の関心を抱いている層も多いだろう。 日進月歩のテクノロジーの中でも特に進化が目覚ましいのがヘルスケアの領域。まだまだ一般的とは言えないものの、ニッチだからこそこれからの飛躍が大いに期待されるトピックを2つまとめてご紹介しよう。

健康促進もフードロス問題も解決!
注目の食材“グリーンバナナ”

腸内環境を整える=「腸活」に乳酸菌やビフィズス菌の摂取が効果的であるというのはかなり浸透しているが、「レジスタントスターチ」と呼ばれる難消化性のでん粉が腸活に大きく効果ありだ。胃や小腸で吸収されずに大腸まで届き、腸内で善玉菌を活性化、便通の質を高め、腸内を酸性に近づけてくれる。ジャガイモや豆、さつまいもにも含まれるレジスタントスターチだが、含有率が非常に高いのが、黄色く熟する前のグリーンバナナ。スマートスターチ社はこのグリーンバナナを高純度で抽出するとともに、量産化まで実現している。
事のきっかけは中南米のバナナ農園で熟す前にグリーンバナナが大量廃棄されるフードロス問題。フードロスの軽減と健康促進という二つのイノベーションに加えて、今後は海外でプラントを建設することで現地の雇用創出にも期待がかかっている。

記事を読む▶フードロスを減らし、 “腸活”を劇的に変える!? スマートスターチが描く新常識

不妊症から子宮頸がんまで、
子宮内フローラが予見する
女性のヘルスケア

いまや国内カップルの5.5組に一組が悩むと言われている不妊。不妊の原因は様々だが、不妊症解決の糸口として脚光を浴び始めているのがゲノム解析による子宮内フローラの検査。Varinos社は腟や子宮から採取した検体を用いて子宮内の菌の種類や割合を調べる検査を行っている。
現在は検査を導入している病院から送られてきた検体をラボ内で解析し、ドクターにフィードバックを行う。より気軽に検査を受けられる状況を目指すべく、自宅でできる検査キットの開発にも取り組んでいる。さらに子宮内フローラを整えることが不妊だけでなく、早産や子宮頸がん、月経周期の乱れなど女性のヘルスケアの多くを改善、予防できる可能性が高いという。
不妊治療は現状保険適用外のものがほとんどで、まだまだ誰もが気軽にトライできるものではないというのが実情だ。2020年の出生数が統計史上最少となり、少子化が加速する今、これらのテクノロジーがどのように受け入れられていくかにも注視したい。

記事を読む▶不妊治療も子宮頸がんも予防の時代へ 子宮内フローラが教えてくれること

(text: Yuka Shingai)

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医療 MEDICAL

乳がん早期発見の救世主!?痛くない、マイクロ波マンモグラフィが登場

HERO X 編集部

わが国の女性の罹患率第1位である乳がん。しかしながら、乳がん検診を行っている比率は欧米諸国に比較しかなり低い。なかなか検診に足がのびない理由のひとつに、乳がん検診に対する「痛いのでは?」といった不安が挙げられるだろう。

そんななか、神戸大学の木村健次郎教授のチームが開発した「マイクロ波マンモグラフィ」が注目を浴びている。世界初という、この乳がん画像診断システムは、微弱な電波を放つ発信機を使い、乳房表面をなぞるようにスキャンするだけで乳房を3次元画像で映し出すというもの。

部位によって筋膜等を挟み込んでしまうことにより「痛い」と感じる方もいるマンモグラフィ検診のような不快感もなく、使用する電波は携帯電話の1000分の1以下とのことで、被ばくの心配もないのだという。

また、マンモグラフィ検診ではX線を使用するが、乳腺と靱帯が多く密集している高濃度乳房の場合、がんを見つけることが難しいとされており、そういった事実からも検診から足が遠のいてしまった方も多くいたであろう。しかし、木村教授の「マイクロ波マンモグラフィ」でのマイクロ波は、わずか数秒でがん組織を立体画像で映し出すことができる。

「見落とされやすい」「痛い」などの不安があり進んでいなかった乳がん検診も、臨床応用の活躍が期待される「マイクロ波マンモグラフィ」で、活路が見いだせるかもしれない。

(text: HERO X 編集部)

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