コラム COLUMN

HERO X の「今まで」と「これから」

HERO Xはこれまでに様々な記事を読者に届けてきた。2017年の公式オープンから本日に至るまで多くの変化や進化を遂げてきたメディアだからこそ今一度HERO Xとしての特徴を皆さんにご紹介したい。

HERO X の始まり

「HERO X」は株式会社RDSの代表取締役でもあり当メディアの編集長を務める「杉原行里(すぎはらあんり)」が「世界で一番、ボーダレスなスポーツメディア」を作りたいと強く願い創刊したWEBメディアだ。公式オープンは2017年6月23日であり、このメディアのミッションは「福祉×プロダクト×スポーツ」という3 つの柱を軸に、身体の欠損を補うものから、能力を拡張するものへと変わりつつあるプロダクトの進化と、それらが可能にする人間の限界への挑戦を、障がい者・健常者という枠を超えて、ボーダレスに追っていくこととしスタートした。そして、「HERO X」の始まりについては編集長の思いを記事にしたものがあるので是非読んでいただきたい。

HERO X 創刊インタビュー:http://hero-x.jp/article/1412/

HERO Xの記事の視点

「HERO X」では公式オープンから様々なプロダクトに注目をしてきた。分かりやすい例として挙げられるのが「非接触体温計」の記事。コロナウィルスの影響により爆発的な販売となった「非接触型体温計」だが、「HERO X」では2018年には既にこのプロダクトの紹介記事を作成し、世にリリースしている。このように、少し先の未来を読者に見せたいという強い思いから記事を公開している。

非接触型体温計紹介記事:http://hero-x.jp/article/5525/

WEBを飛び出しリアルに進出

そして2019年のHERO X はマルチメディアに向けての動きを加速する。ホームであるWebマガジンから、リアルに会い、リアルに繋がり、リアルに広がるしかけを作り出す。その第一弾として、ラジオ番組をスタートした。

番組では、2020年以降の日本はどんな未来となるのか。よりボーダレスな社会にするためのイノベーションとは何かに迫る。パーソナリティーを務めるのは『HERO X』編集長の杉原行里。毎回、次世代を見据えて活躍する“HERO”をゲストに迎え、日本のあるべき未来をディスカッション、番組内で出たゲストとのアイデアのうち、より具体性のあるものについては製品やイベントに落とし込むことまで考えていく予定だ。この番組が、自分事化をより広め、体験できる、リアルな会議を行う場となるわけだ。進行役を務めるのはHERO Xプロデューサーでもあり、様々なプロジェクトや広告のプロデュースを手がけるマグネットの佐藤勇介。

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HERO X RADIO
毎週第2・第4金曜 13:00-13:50 ONAIR
http://shibuyacrossfm.jp/
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HERO X がリアルイベントに進出

2018年からCHIMERA GAMESに本格参加しているHERO X。2019年には「HERO X ZONE」と名付けたブースを設け、話題のMEGABOTSをはじめ、RDSが手がけている様々なプロダクトを展示。いくつかのモビリティは試乗体験も行われ、たくさんの来場者で活況を呈していた。RDSブースをリポートした記事があるので紹介する。

リアルインベントコンテンツMEGABOTS紹介記事:http://hero-x.jp/article/7003/

HERO Xを支える
株式会社RDSプロダクト紹介

HERO Xを運営する株式会社RDSは「スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ」とスポンサー契約を締結しています。株式会社RDSでは、オリジナリティー溢れる『アイデア力』『デザイン力』『技術力』を強みに、新しいモノ作りのカタチを世界に発信する研究開発型の企業。これまでモータースポーツ、医療・福祉、最先端ロボットの開発など、多数の製品開発に携わってきた。また、常識にとらわれないデザイン力を始め、設計、解析からCFRP成形、3Dプリント、精密機械加工までを一貫して行う強みを活かし、自社ブランドの商品開発にも力を入れている。

このRDSを紹介するための記事をHERO Xでも掲載しているので是非ご覧になっていただきたい。

RDS紹介記事:http://hero-x.jp/article/9362/

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小型・超小型モビリティが世界を 変える日は本当に近いのか?

HERO X 編集長 杉原行里

7月の改正道路交通法の施行を前に、小型・超小型モビリティ界隈の動きが活発化してきた。電動キックボードのシェアリングサービスで一定の認知度を得始めたLuupは、あと2年で国内のレンタル拠点を3倍の1万箇所に増やすという。都内では様々な種類のモビリティを見かける機会も増えており、近距離移動を変革するとの期待もかかるが一方で、すでに利用実証の始まっていたヨーロッパからは規制のニュースも飛び交っている。自動車産業で経済を牽引してきた日本、新しい移動手段である小型・超小型モビリティで再び世界に返り咲くことは可能なのだろうか。

フランスではレンタル終了へ。
どうなる?! 小型モビリティ

4月初旬、フランスの首都パリで行なわれた住民投票の結果について、世界のメディアが報じた。スマホアプリを使って気軽に利用することができる電動キックボードのレンタルにNOを唱える結果が出たからだ。日本でも街中でのレンタル利用が進む電動キックボード。超小型モビリティの代表格となっているが、フランス市民はなぜこれにNOを唱えたのか。

報道では、電動キックボード絡みの事故の発生件数が増加したことなどが上げられている。加えて、10分の利用料金が5ユーロ(報道当時約720円)と、レンタルサービスとしては価格が高く、ビジネスモデルとして持続性が薄いことも上げられた。

パリ市はレンタル業者との契約が切れる8月をもって市としてのレンタルサービス契約を打ち切り、市内から撤去すると発表、ただし、個人所有の電動キックボードについては引き続き利用ができるという。

電動キックボード業界を牽引し、パリのレンタルサービスに大きく参入していた一つがアメリカに本社を置くLime株式会社。同社のサービスは日本でも実証が始まっている。パリでのレンタル打ち切りについて、アメリカCNNニュースは投票者の約9割が禁止を支持したものの、投票率は有権者の7.46%に留まっていることも指摘している。世界で広がるマイクロモビリティ導入の動きがどうなるのか、注目の集まるニュースとなった。

だが、ニュースになるのは新規開発にとって悪いことではない。ここ数年でマイクロモビリティがそれだけ世界に浸透し、注目されている証拠でもある。小型・超小型モビリティの是非が本格的に問われる年となりはじめた。

注目の小型・超小型モビリティはコレ

ところで、この小型・超小型モビリティとはいったいなにを指しているのか。概念を広義で見るのか、狭義で見るのかによっても変わってくる。モビリティと聞くと、電動キックボードや小型のEVカーなどを思い浮かべる人がほとんどだろう。そこに、シニアカー、車いすを想像する人は少ないはずだ。だが考えてみて欲しい。移動を軸に考えるのなら、これらもれっきとしたモビリティと言えるのだ。

HERO Xでも度々取り上げている電動車いすのWHILLは、当初から近距離モビリティとして売り出していた。お年寄りやハンディのある人の乗り物というイメージの強かった電動車いすのイメージを払拭、羽田空港での自動操縦、自動運転の実証実験などを通して新たなモビリティというイメージを根付かせた。

近距離の移動など、暮らしに根付く移動として注目したいのはやはり、電動キックボードなどの超小型モビリティだ。現状では自転車以上、バス・電車以下というポジショニングだが、近距離移動の手軽な手段として東京では受け入れ始められている。パリの一件はあるものの、今年は日本では法改正も進むため、利用者増に期待がかかる。

2020年にモビリティ構想を打ち上げた三井不動産株式会社では、すでに電動キックボードレンタルサービスの優遇が受けられるマンションの建設を始めている。その一つが、2023年11月に入居開始予定で開発を進めるパークホームズ浜松町だ。1Kと1DKの全102邸を予定しており、居住者専用の電動キックボードシェアサービススペースを設けることが発表されている。電動キックボードを提供するのは株式会社Luup。同社は国内における電動キックボードレンタルを牽引する存在となっている。

こうしたマンションが定着すると、不動産価値が変わる可能性も出てくる。最寄り駅からの近さは徒歩やバスなどでの距離や時間が評価基準になってきた。だが、超小型モビリティによる移動が実現すれば、駅からちょっと離れた物件であってもモビリティを使えば移動時間が短縮される。つまり、物件の価値を上げてくれる可能性が出てくるのだ。

キックボード以外の気になるモビリティ

世界中で開発の進む小型・超小型モビリティ。様々なものが出てきているが、シェアリングサービスで利用するか、個人所有での使用となるかはモノによって分かれそうだ。レンタルか、所有かという視点を考慮しつつ、気になるモビリティを見てみよう。

キックボードと同じくらい目にする機会が増えてきたのが3輪のモビリティだ。三輪バイクやトライクと呼ばれるものたちは、転ばないバイクとして開発が進められている。

画像元:https://www.yamaha-motor.co.jp/mc/lineup/niken/ ヤマハ発動機が作ったNIKENはマンガとのコラボも話題に。

見た目はバイクそっくりの三輪バイクはバイクのスポーティーさをそのままに、転ばない安全性を確保した。もう一つの注目はゴツさもカッコイイ乗り物トライク。三輪構造のモビリティで、法律上はバイクではなく自動車扱い。そのため、免許も普通自動車免許で運転できる。ただし、メーカにより一部オートマ限定免許では運転できないものもあるので注意したい。

このトライク、よく話題になるのは、ヘルメットがいらないということだ。法律上は普通自動車に分類されるため、ノーヘルで乗ることができる。これら三輪バイクやトライクは、シェアリングサービスというよりも、個人所有による乗車がメインになると思われる。トライクの場合、ある程度大きさもあるため、駐車できる場所の確保も必要になる。

トライクル CAN-AM SPYDER RT
画像元:https://can-am.brp.com/on-road/jp/ja/models/spyder-rt.html

三輪界隈でシェアリングが視野に入るのは東アジアで利用者が多いトゥクトゥク。三輪自動車の代表格で、トゥクトゥクはEV化も始まっている。

画像元:https://www.ev-land.jp/ev-tuktuk.php EV-TUK TUKは1回のフル充電で80キロ走れる。

カンボジアではタクシーのような使われ方をしているのだが、日本でも、観光用のシェアリングモビリティとしての活用に期待が持てそうだ。

日本が再び力を発揮できる道

2025年までに1500億ドルに到達する(Market Research Future)との予測も出ている小型モビリティ市場。どう使いたいかやTPOでチョイスできる時代へ進もうとしている兆しが見える。日本がこの市場で存在感を表すためには、試験場と化してモビリティーのあり方を積極的に検証していけるかにかかってくるだろう。

世界に先駆けて高齢化社会を迎える日本では、高齢者の移動手段の問題を数年前から検討している。すでに数々の実証実験も各地で行なわれる中、その成果をいかに世界にアピールできるかが分かれ道となるだろう。

もちろん、技術革新にもさらに力を入れる必要がある。自動車開発で世界を牽引してきた日本には、各メーカーが長い年月をかけて培ってきた技術と知見が蓄積されている。新しいモビリティの開発にもその知識は十分に役立つはずだ。モビリティは人の命を預かることになる。スタートアップ企業であっても、きちんとした試験を行ない、POCを初めとした実証実験をストイックに続けることは必要だ。

一方で、ものづくりに欠かせない資金調達も考えなくてはいけない。日本のユーザーのほとんどは、完成したものを購入するという購買活動が主流であった。投資は投資家がやるもので、開発に一般ユーザーが関わることとは分けられていた。ところが最近は、クラウドファンディング型の投資も多く見られる。つまり、開発に伴走しながら商品ができるのを待つという消費者が現れているのだ。伴走に対する意識の高いユーザーとのコミュニケーションをいかに上手くとれるかも、開発者たちに必要な要素となるだろう。

グローバル化がこれだけ進んだ現在は、国内だけでなく、海外からの支援者をどれだけ取り込めるかもカギとなる。海外のモノづくりの現場では、デポジットで資金調達することも多くある。デポジットとは、保証金のこと。日本では、テスラの購入に高額なデポジット必要だったことが話題となったが、海外では多くの分野でこのデポジット方式が採られている。

理由は、販売開始前に市場規模を予測することができるからだ。例えば、開発中の100万円の商品を購入する場合、だいたい10%ほどのデポジットを請求される。支払いを完了した人が予約客となる。初回ロットの数が読めるだけでなく、予約の段階で100台の注文が入った場合はすでに1億円規模の市場になることも予測が付くのだ。

もちろん、キャンセルも発生するが、仮に半数がキャンセルするとしても5000万円規模の市場が生まれる予測を出すことができるのだ。この市場の見える化により、投資家からの注目をさらに集めることもできる。現在もアメリカのある会社がEVトラックメーカーがデポジットをうまく活用して開発を進めている。

アメリカでEVトラック開発を手がけるBollinger Motorsが公表しているEVトラック
画像元:https://bollingermotors.com/b1-b2/

日本の文化としてはあまり根付いていないデポジット方式だが、世界を相手にする場合、デポジットは開発資金調達に有効な手段となる。こうしたテクニック的なことも必要だが、一番の要はやはり、開発するモノがいかにカッコイイかだろう。特にモビリティの場合、いくら性能面で優れていても、見た目が台無しでは売れない。見た目と性能の両立を叶えるモノができあがれば、もう一度、移動で世界を取る未来も見えてくることだろう。

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(text: HERO X 編集長 杉原行里)

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