テクノロジー TECHNOLOGY

まるで頼もしい相棒?電動車いすに取り付けられるロボットアーム「JACO」

Yuka Shingai

物をつかむ、持ち上げる、運ぶ…日常生活において手や指を用いる場面は数えきれないほど多い。ケガをしたり、荷物を両手に抱えて、動作が制限された際にストレスを感じたことは誰しも身に覚えがあるのではないだろうか。手に不自由のある人の行動を後押しするロボットアームの中でも、カナダのベンチャー企業 KINOVA による「JACO」は、電動車いすにつけて使用することができる、他に類を見ない製品だ。

カーボンファイバー製であらゆる気候にも耐えうる「JACO」には2本指タイプと3本指タイプがある。本体は5.2㎏と軽量ながらも最大1.6kg、90cmまで離れた物を持ち上げることができ、手首の動きも60度とフレキシブルだ。電動車いすに取り付けることで、ユーザーは1人で外出してエレベーターに乗ったり、ドアの開閉、食事や髪の毛を自分で洗うことなどもできる。

ことの始まりは CEO である Charles Deguire 氏が持病に筋ジストロフィーを抱える叔父のJacquesを助けようと考えたことにある。Jacquesが物を拾い上げるために間に合わせで作った独創的なアームにインスパイアを受け、Charlesは共同創設者となるLouis-Joseph L’Écuyerとともに2006年にKINOVAを立ち上げた。

2009年に「JACO」の第1世代を商用化してから今日まで、KINOVAは人間の生活に革命を起こすロボットを立て続けに開発し続けている。「JACO」を実際に利用しているユーザーからは「友情が芽生えた」「自分にとっては側近のようなもの」という声も上がるほど、その実力と信頼の程は確か。

ロボットは決してモノではなく、人間の相棒なのだという、明るい未来を感じさせる存在だ。

[TOP動画引用元:https://youtu.be/r3yWmf8blz0]

(text: Yuka Shingai)

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テクノロジー TECHNOLOGY

自ら起き上がり方を学ぶ 犬型四脚ロボット“ANYmal”の未来とは?

長谷川茂雄

数々のメディアで取り上げられ、その高い能力が世界で認知されている犬型四脚ロボット“ANYmal”。そもそもは、被災地での救助目的で、研究、開発されたこのプロダクトは、これまで、悪路を難なく移動するだけでなく、荷物を運搬したり(10kg程度まで可能)、音楽に合わせてダンスを創作したりと、ユニークなパフォーマンスを披露してきた。そしてこの程、スイスのチューリッヒ工科大学の Robotic Systems ラボが発表した論文によると、進化途上の ANYmal は、開発されたシミュレーション・システムにより、転んでも自分で起き上がることを学習するようになったという。その驚くべき能力とは?

ロボットが強化学習すれば
これまでにない進化が得られる

スイスのチューリッヒ工科大学の Robotic Systems ラボで開発されたANYmal は、防水・防塵性能に優れ、あらゆる地形に対応してスムーズに移動できる画期的な犬型四脚ロボットだ。

高度な自律性を持つことから、オペレーターが操作せずとも、人間が踏み入れることができない場所で作業をしたり、物資を運搬したりすることができる。それゆえ、被災地での救助作業を中心に活躍が期待されている。

2016年に設立された会社、ANYbotics で商品化されると、常にその機能をアップデートさせてきた。とはいえ、ロボットに新たな動作を教え込むには膨大なコストと時間、そして労力がいる。

その問題をある程度解決するには、適切なシミュレーション・システムを備えて、ロボット自らが強化学習することが求められる。Robotic Systems ラボは、それが可能だと実証する論文を発表した。

この論文のなかには、「シミュレーションデータを、以前よりも簡単に、ロボットへ変換できるニュートラル・ネットワークが開発できた」と書かれている。

このネットワークにより、同時に2000台の ANYmal の動作を、リアルタイムでシミュレーションすることができるという。それはつまり、どんなアルゴリズムがどんな結果をもたらすのかを、短時間で調べることが可能になったということだ。

さらなる進化を果たした ANYmal は、エネルギー効率がアップし、スピード・ウォーキング記録を25%上回り、加えて、一定の速度で動くという命令にも従うことができる。

しかも人間がどんなに転ばそうとして蹴ったとしても、常に直立状態を保つことができるばかりか、驚くべきことに、転倒させた場合は、どんな姿勢であっても自ら起き上がる能力を獲得したのだそうだ。

この従来の方法では得られなかった進化は、同様の複雑さを持つ他の四脚ロボットにはないものだ。これからも強化学習によって ANYmal がいったいどんな進化を遂げるのか? 期待せずにはいられない。

 

(text: 長谷川茂雄)

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