テクノロジー TECHNOLOGY

医療分野での活用も現実的に!大幅な進化を遂げたマイクロソフトのMRヘッドセット「HoloLens 2」

Yuka Shingai

目の前に浮かぶ3Dホログラムディスプレイにタッチ、スワイプしながらコミュニケーションしたり指示を出す。幾度となくSF映画で見てきた光景だが、私たちが日常的に使える未来はすぐそこだ。「Windows Mixed Reality(MR)」対応のヘッドマウントディスプレイ(MRヘッドセット)を多数発売してきたマイクロソフトが期待の新作「HoloLens 2」を発表した。

ヘッドセットを装着して、CGの指示に合わせて作業を行う基本の流れやデザインは2016年に発売された初代モデルから大きく変わっていない。

だが、今回発表されたHoloLens 2は画面が主に縦方向に伸び、視野角は初代モデルに比べ2倍に広がるなど、見やすさ、装着時の快適さが大きく改善した。

また、初代モデルではひと差し指と親指程度しか認識できなかった手の動きも、両手の指の動きすべてを認識できるレベルにまで向上していた。

空中に表示されているボタンを『押す』場合、これまでは一度、ひと差し指でさし示してから指を折りたたむエアタップという動作が必要だったが、「HoloLens 2」はそのまま『押す』だけでOK。手袋をつけて作業を行っている場合でも、外さずに操作ができる。

電気機器メーカーのフィリップスと共同開発した医療用システムではエコー検査や心拍数などのモニター画面が空中に浮かび、手術中に操作が可能だ。現在建設中の博物館の現場作業を管理するシステムは、なんと自動車メーカーのベントレーとのコラボレーションで生まれており、今後も様々な業種・職種で活用されることが期待される。

マイクロソフトは同社のクラウドシステム「Azure」を使い、AndroidやiOSのAR(拡張現実)機能との間で「HoloLens 2」が認識した周囲の空間マップを共有する仕組みを開発中。

これにより、装着している人が見ている作業内容を、ほかの人が同時に確認できるようなスマホアプリが実現に近づく。

「HoloLens 2」から見える世界はどのように広がっているのか、機会があればぜひ一度試してみたい。

(text: Yuka Shingai)

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テクノロジー TECHNOLOGY

フルボディスーツの次はグローブ! 触覚フィードバックを生み出す「Teslasuit Glove」誕生

Yuka Shingai

フルボディタイプの触覚フィードバックデバイスで知られるTeslasuit社からバーチャル空間での触感と生体認証データを収集できるグローブが登場した。2020年後半の出荷を目指す、その名も「Teslasuit Glove」は先日開催されたCES2020でテストの様子をお披露目した。

「Teslasuit Glove」の基本的な仕組みはTeslasuitとほぼ同じ。プラスティックの外骨格は固形の物体に触れたような抵抗感と振動を生み出し、それぞれの指の上に配された9つの電極は存在しないものを実際に触ったかのような感覚を生み出す、というように数種類の異なるテクノロジーを採用することで、物をつかむ、手の動きを捉える、脈拍やその他の生体認証情報を記録する、などの機能を実現している。

体験で生じる圧力やその他の物理的な反応を計測する、心拍などの情報を収集してくれるのは、グローブに搭載されているパルスオキシメーター(切開や投薬といった侵襲を伴わずに脈拍数と経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)をリアルタイムでモニターするための医療機器)によるもの。グローブとスーツをwifiで接続すれば、VR上での触覚フィードバックを全身で体感することもできるようで、拡張性の高さは魅力と言えるだろう。

$5000前後という価格からも、想定される使用例は宇宙飛行士のトレーニングや災害時などの避難訓練、リハビリテーションなど、一般コンシューマーよりというより、完全にビジネスユースとなりそうだ。すでに類似製品を送り出しているManus VR社やHaptX社といった競合と、いかに棲み分けしていくかが今後のカギとなるかもしれない。

[TOP動画引用元: https://youtu.be/gjqKXa8j6io

(text: Yuka Shingai)

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