テクノロジー TECHNOLOGY

日本の超小型ポンプ、宇宙へ。無重力での人体の環境をさぐる

HERO X 編集部

人体の循環は無重力ではどのような影響を受けるのか。こんな疑問をもったギリシャの高校生たちが開発した実験装置がロケットに乗り宇宙へ行くことになった。装置に使われているのは日本の企業が開発した超小型ポンプ。NASA や JAXA にも採用されているこのポンプが高校生のアイデアと共に宇宙へと旅立つ。

名古屋市に本社を置く高砂電気工業株式会社は、ギリシャの高校生の宇宙空間での実験に参加することを表明した。エンジニアらがその技術を競う第1回 Aerospace Competition (THE HELLENIC PHYSICS ASSOCIATION主催)において学生部門で2位に輝いたのがギリシャの高校生 Dimitris 君が率いるチーム。コンテストでは国内の高校生から宇宙実験のアイデアを募集していた。Dimitris 君たちが考えたのは、無重力の場合に人体がどのような影響を受けるのかを実験する装置で、人体の循環器系を再現したものを宇宙に持って行き、実験するという案だ。循環器系は、ポンプ機能を有する心臓を中心に機能するため、その再現と物資の輸送上の事由も加味すると、高性能かつ小型のポンプが必要というわけだ。

装置の制作にあたり、目をつけたのが高砂電気工業株式会社が開発した超小型ポンプ。百万分の1リットル(マイクロリットル)という非常に少ない単位の液体を扱うことができ、高度な研究機関などの要望に応え、これまでに5000種類にも及ぶ製品を送り出してきた。また、同社が開発するポンプは非常にユニーク。例えば、ペン型シリンジポンプは直径わずかφ12mmと超小型なのだが、ステッピングモーターを内蔵し、スムーズに液体を送ることが可能だ。

これらの技術はすでに NASA や JAXA でも採用されており、ネットで同社の情報を見つけた Dimitris 君からアプローチ、今回のコラボレーションが実現した。詳細はまだ発表されていないが、日本の技術とギリシャの若者のアイデアで実現する宇宙での実験、その結果を聞くのが待ち遠しい。

(text: HERO X 編集部)

  • Facebookでシェアする
  • LINEで送る

RECOMMEND あなたへのおすすめ

テクノロジー TECHNOLOGY

究極の二脚ロボットを研究する「Amber lab」が、ロボット義足を開発中!

長谷川茂雄

“実世界で生活できるロボット”を目指し、二脚ロボットの研究を続けるカリフォルニア工科大学の研究所「Amber lab」。彼らは、ロボットを転ばせようとするなどして負荷をかけることで、ロボットの性能を高め進化させてきた。何度も繰り返すそんな実験は、ロボットの歩行に関する新しいアルゴリズムを最適化し、“どんな環境でも二足歩行できるロボット”を具現化しようとしている。さらにそこで得た知見は、ロボット義足の開発にも適用されているという。ロボットの歩き方の進化は、同時に義足ユーザーのあらゆる可能性も高めているのだ。

ロボットの可能性は、義足の可能性でもある

カリフォルニア工科大学にあるAmber(Advanced Mechanical Bipedal Experimental Robotics)Labが目指しているのは、人間が取り組めることであれば、なんでもできるというロボットの開発だ。

同ラボのロボット研究家、アーロン・エイムズ氏は、自分たちが作るロボットは、「芝生も砂利道も、雪や氷の上も歩けるものにしなければならない」と明言する。そのために歩行を数学的に理解し、常に改良を加えることで「ロボットを人間のように、効率的かつダイナミックに、そしてスムーズに歩けるようする」という。

それを実現させるために同氏が率いるチームは、トレッドミル(ウォーキングマシーン)の動きに合わせて歩くロボットを何度も転ばせようとしたりして、常にアルゴリズムを最適化している。ちなみに、歩行するロボットを転ばせようとすることは、「かく乱試験」と呼ばれる。

そうやって得られた数値をもとに、例えばミシガン大学では、ロボットに火の中を歩かせたり、セグウェイに乗せたりと、さらに多様な実験も行われているという。

ロボットにあらゆる負荷を与え、構造化されていない未知の環境でいかに機能させるかを模索する。そうやって人間のような歩行に近づけていくのだ。

さらにAmber Labでは、ジャンプする動作も追求するために、ピストンのように上下に跳ねるロボットの実験も盛んに行われている。それらの試みは、まず単純なロボットで行われ、得られた知見をもとに、より複雑なロボットへと応用されていく。そういった作業を繰り返すことで、ロボットの性能に何が足りないのかが明確化される。

さて、これらのロボットで獲得した成果は、電池式のロボット義足“Ampro”の開発にもすべて適用されているという。

アーロン氏は、「ロボットで目指していることは、すべて義足でも実現したいと思っている」と語る。“Ampro”は膝と足首にモーターが入っていて、バネが組み合わされた画期的なプロダクト。ユーザーの歩いている場所の状況をセンサーで検知して、必要な場合はモーターを作動させる。そしてユーザーと同期させることで動かすという仕組みだ。

「義足を装着した人が走ったり、サッカーをしたり、ジャンプをしたりできるようにする」。Amber Labの開発実験から、ロボットだけでなく、義足の新しい未来も見えてきた。

(text: 長谷川茂雄)

  • Facebookでシェアする
  • LINEで送る

PICK UP 注目記事

CATEGORY カテゴリー