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2月24日(土)、平昌で戦う森井大輝選手とHERO X編集長の杉原行里がBS朝日に登場!

岸 由利子 | Yuriko Kishi

世界へ挑戦するパラスポーツのトップアスリート(Challenged Athlete)と、彼らを陰で支える人々(With)に、スポーツキャスターの長島三奈さんが迫る番組『With チャレンジド・アスリート ~未来を拓くキズナ~』(BS朝日)の2月24日(土)放送回に、チェアスキー界のスーパーヒーロー森井大輝選手と、HERO X 編集長であり、RDS社の専務取締役兼クリエイティブ・ディレクターを務める杉原行里(あんり)が登場する。

『With チャレンジド・アスリート ~未来を拓くキズナ~』は、幾多の困難を乗り越えて、戦い続けるアスリートたちの“強さ”と、彼らを陰で支える者たちの静かな“情熱”に迫る番組。2月24日(土)放送回では、開幕まで15日を切ったピョンチャンパラリンピックでパラアルペンスキーに出場する森井大輝選手と、彼のチェアスキーのシート開発を手掛ける杉原行里が、究極のシートを実現するために奮闘する軌跡が描かれている。

森井選手は、パラリンピック過去3大会連続で銀メダルを獲得し、ワールドカップでは2年連続総合覇者になるなど、めざましい功績を残してきた。スピード・技術共に世界トップの実力を誇るが、唯一、パラリンピックの金メダルだけ手にしたことがない。

「どうしても金メダルが欲しい」。その一心で、日々トレーニングを重ね、ピョンチャン大会に向けて万全の態勢を整える森井選手。そして、杉原が手掛けるシートは、森井選手の体の一部となり、雪上を共に疾走するチェアスキーの心臓部。彼の体にジャストフィットするよう、二人はさまざまな意見交換をしながら、モーショングラフィックや3Dプリンタなど、RDS社が得意とする最先端技術を駆使し、シート開発にあたってきた。1mm単位でシートの厚みを変えるなど、海外遠征のたびに重ねてきた細部へのこだわりは、まさしく最前線で戦い続ける森井選手の“強さ”と、陰で支える杉原の静かな“情熱”の融合だ。

全ては、世界王者が最高のパフォーマンスを発揮するために。明日2月24日(土)朝9:00、BS朝日の放送をぜひお見逃しなく。

森井大輝(Taiki Morii)
1980年、東京都あきる野市出身。4 歳からスキーを始め、アルペンスキーでインターハイを目指してトレーニングに励んでいたが、97年バイク事故で脊髄を損傷。翌年に開催された長野パラリンピックを病室のテレビで観て、チェアスキーを始める。02 年ソルトレークシティー以来、パラリンピックに4大会連続出場し、06年トリノの大回転で銀メダル、10年バンクーバーでは滑降で銀メダル、スーパー大回転で銅メダルを獲得。その後もシーズン個人総合優勝などを重ねていき、日本選手団の主将を務めた14年ソチではスーパー大回転で銀メダルを獲得。2015-16シーズンに続き、2016-17シーズンIPCアルペンスキーワールドカップで2季連続総合優勝を果たした世界王者。18年3月、5度目のパラリンピックとなるピョンチャンで悲願の金メダルを狙う。トヨタ自動車所属。

杉原行里(Anri Sugihara)
1982年生まれ。株式会社RDS専務取締役、クリエイティブ・ディレクター、HERO X 編集長。RDS社先代社長の父の入院をきっかけに、医療福祉機器の開発を始める。彼が製作したドライカーボン製の松葉杖が頑丈かつ世界一軽いとヒットし、注目の的となる。近年では、チェアスキーをはじめとするパラリンピック選手のマシンや医療福祉機器の開発のほかに、最先端ロボット開発、スポーツ用品の製作にも同社の技術が活かされている。

BS朝日 With チャレンジド・アスリート ~未来を拓くキズナ~
”Athlete” 森井大輝(パラアルペンスキー 日本代表)
”With” 杉原行里(RDS社 専務取締役)
2月24日(土)朝9:00~9:30放送
http://www.bs-asahi.co.jp/with/

(写真提供:BS朝日)

(text: 岸 由利子 | Yuriko Kishi)

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前人未到の2連覇から4年。「豪速のナポレオン」が胸に秘めた覚悟と野望【狩野亮:2018年冬季パラリンピック注目選手】後編

岸 由利子 | Yuriko Kishi

冬季パラリンピックの花形競技、チェアスキー。中でも「高速系」と呼ばれる2種目で圧倒的な強さを誇り、世界のトップに君臨し続ける男がいる。スーパー大回転で金メダル、ダウンヒル(滑降)で銅メダルを獲得したバンクーバーパラリンピックに続き、ソチパラリンピックでは、両種目で金メダルを獲得するという大快挙を見せた狩野亮選手だ。前人未到の2大会連続制覇を成し遂げてから4年が経とうとしている今、ピョンチャンでの三連覇達成に世界中の期待がかかる。金メダリストとしての覚悟とは?大会に向けたマシンのセッティングから今後の展望に至るまで、狩野選手に話を聞いた。

金メダルの一歩先の世界を
切り拓くために、勝ちに行きたい

冬季パラリンピックで、チェアスキーほど、数々の名だたる日本企業が参画し、強力なサポート体制が整った競技は、他にない。その気勢は、夏季パラリンピックの陸上競技に比肩するほどだ。チェアスキーが企業を惹きつけるのか。それとも、互いに引き合っているのか。

「選手側の感覚でいうと、選手たちが皆、そうあって欲しいと強く願い、それに対して、具体的なアクションを起こしたからだと思います。僕が選手としてチェアスキーを始めた頃は、遠征も年に1度行くかいかないかという状態でしたが、何とかして変えようと、大輝さん(森井大輝選手)が僕たちを引っ張ってくれました。“スキーヤーなら、スキーで食べていきたいよね”とずっと言い続けて。

大学卒業後も、チェアスキーを続けていきたいと考えていましたが、普通に就職活動していたら、きっとこの先できなくなる。何かアクションを起こさなければ。

そう思い立ち、右も左も分からない状況でしたが、大学在学中、20歳の時、自分を知ってもらうために約100社に履歴書を送って、アプローチしました。当時は、パラリンピックも今ほど知られていない上に、トリノ大会で27位という結果に終わった2年後。苦戦しましたが、5社ほどが興味を持って会ってくださいました。今、僕が所属している株式会社マルハンは、その中の1社。自ら、最も切望した企業でした」

選手たちの努力の結晶は、レースの結果にも現れた。森井大輝選手がスーパー大回転で銀メダル、鈴木猛史選手がスラローム(回転)で金メダル、そして、狩野亮選手がダウンヒル(滑降)とスーパー大回転の2種目で金メダルを獲得するという、歴史に残る実績をソチ大会で残すに至った。それから4年、まもなくピョンチャンを迎える。

「バンクーバー大会の時は、“世界の頂点を極めたい”の一心でしたが、正直、金メダルにはたどり着けないと思っていました。それが、獲れてしまった。ソチ大会では、金メダルを2つ獲得して、“もう一度、証明したい”という目標は達成できました。ピョンチャンでは、金メダルのもう一歩先の世界を切り拓くために勝ちに行きたいです。今後、パラスポーツやアルペンスキーの世界で、利用価値を出せる自分になりたい。その気持ちが強くあります」

エクストリームスポーツ、
チェアスキーの面白さをもっと伝えていきたい

「唯一、死ねるパラスポーツかもしれない」。高速系種目の覇者である狩野選手がさらりと言うほど、チェアスキーはエクストリームなスポーツだ。ごく最近、直滑降でテストした時に時速126kmのスピードを出したといえば、その激しさが想像できるだろう。

「ダウンヒル(滑降)の練習をした時にしか感じることのできない胸の高ぶりや、スピードと風に負けそうになる自分を気持ちいいと感じている時点で、頭のネジが数本外れているのかもしれません(笑)。トータルして勝てているレースでも、実はトップスピードは、他の選手の方が速い時があるんです。ワックスなのか、サスペンションなのか、今色々試して改良点を探っているところですが、マシンのセッティングが全て上手くいけば、もう少し速くなれる可能性はあります」

最近では、レジャーとしてチェアスキーを楽しむ人も増えている。スノーボードなど、ウィンタースポーツに親しんでいる人なら、ゲレンデでその姿を見たことがあるかもしれない。だが一般には、折悪しく、身近に観ることのできる機会はまだ少ないのが日本の現状だ。

「今はそのきっかけが作れていませんが、今後、何らかの形でこのスポーツの面白さを世に発信していきたいと思っています。観てもらえる機会さえあれば、魅了する自信はあります。純粋にスポーツとしてのチェアスキーを感じていただけたら嬉しいです」

ピョンチャンの見どころについて聞くと、再び森井大輝選手の名前が挙がった。狩野選手にとって、良き先輩であり、良きライバルでもある、チェアスキー界をけん引する強豪選手だ。

「大輝さんは、どの種目でも邪魔してくるんです(笑)。どれか一つに決めてくれればいいのですが、猛史くん(鈴木猛史選手)が得意とするスラローム(回転)も、高速系種目も、グイグイ攻め込んできます。それを逆手に取って、僕たちも大輝さんに負けないように奮起して、切磋琢磨していけたらいいのかな。それぞれの得意種目でどこまで結果を出せるか、そこに誰が邪魔してくるのか。その絡み合いをぜひご覧ください」

『彼を知り己を知れば百戦殆うからず』ナポレオンが、かつて座右の書にした兵法書「孫子」にある有名な言葉だ。同じ土俵で戦う相手のことも、そして自分のことも熟知していれば、百回戦っても負ける心配はない。これを地で行くのが、狩野選手ではないだろうか。今後も、歴戦の勇士の活躍を追っていく。

前編はこちら

狩野亮(Akira Kano)
1986年生まれ。北海道網走市出身。小学3年の時、事故により脊髄を損傷。中学1年より本格的にチェアスキーに取り組み、2006年トリノ大会からパラリンピックに3大会連続で出場。2010年バンクーバー大会ではスーパー大回転で金メダル、滑降で銅メダルを獲得。2014年ソチ大会ではスーパー大回転、滑降の2種目で金メダルを獲得。同年、春の叙勲で紫綬褒章受章。株式会社マルハン所属。

(text: 岸 由利子 | Yuriko Kishi)

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