医療 MEDICAL

乳がん早期発見の救世主!?痛くない、マイクロ波マンモグラフィが登場

HERO X 編集部

わが国の女性の罹患率第1位である乳がん。しかしながら、乳がん検診を行っている比率は欧米諸国に比較しかなり低い。なかなか検診に足がのびない理由のひとつに、乳がん検診に対する「痛いのでは?」といった不安が挙げられるだろう。

そんななか、神戸大学の木村健次郎教授のチームが開発した「マイクロ波マンモグラフィ」が注目を浴びている。世界初という、この乳がん画像診断システムは、微弱な電波を放つ発信機を使い、乳房表面をなぞるようにスキャンするだけで乳房を3次元画像で映し出すというもの。

部位によって筋膜等を挟み込んでしまうことにより「痛い」と感じる方もいるマンモグラフィ検診のような不快感もなく、使用する電波は携帯電話の1000分の1以下とのことで、被ばくの心配もないのだという。

また、マンモグラフィ検診ではX線を使用するが、乳腺と靱帯が多く密集している高濃度乳房の場合、がんを見つけることが難しいとされており、そういった事実からも検診から足が遠のいてしまった方も多くいたであろう。しかし、木村教授の「マイクロ波マンモグラフィ」でのマイクロ波は、わずか数秒でがん組織を立体画像で映し出すことができる。

「見落とされやすい」「痛い」などの不安があり進んでいなかった乳がん検診も、臨床応用の活躍が期待される「マイクロ波マンモグラフィ」で、活路が見いだせるかもしれない。

(text: HERO X 編集部)

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医療 MEDICAL

メンテナンス手術が不要に。3Dプリンター技術による新たな乳房再建方法

HERO X 編集部

女性のがんの中で罹患率が最も高いとされる乳がん。乳がんによりなくした乳房を再建する手術を受ける女性も多い。しかし、一般的に行われているシリコン・インプラントを使った再建では、数年ごとにインプラントを入れ替える必要があったのだが、近い将来3Dプリンター技術を使った乳房再建方法が生まれるようだ。

開発を手がけているのは3Dプリンターを独自開発するドイツのBellaseno社。ポリマー材を3Dプリンターで精巧に印刷したインプラントを製造し、インプラントを患者自身の体脂肪で組織形成する技術の開発により、長期的な投薬や度重なる手術によるリスクを回避することが可能だという。この特殊な3Dプリンティングを可能にしたのが日本の技術だった。精密さを要する治工具などを手掛ける企業のテクダイヤ株式会社は、インプラントの材料となるポリマーを巧みに積み上げていくためのディスペンサーノズルを開発、3Dプリンターの開発を成功に導いた。インプラントの材料となるのはポリマー(ポリカプロラクトン)と呼ばれる素材だが、形成にはディスペンサーノズルからこのポリマーを早いスピードで正確に吐出し積み上げていく必要があった。人の体に入れるもののため、その構造は非常に精密で複雑。小径のノズルかつ高精度な塗布ができるノズルが求められていた。 同社は先端わずか150μmのディスペンサーノズルの先端端面を液状の研磨材を使って研磨する「ラップ研磨」によりさらに加工、流動性を高めるためにシリンジとノズルを同口径化することでBellaseno社が手がける3Dプリンターに必要な部品を作り上げた。

これまで乳房再建に使われてきたのは主に2つ。「シリコン・インプラント」と呼ばれるものを乳房を切除したところから入れ込む方法と、お腹や背中の組織を使い再建する「皮弁(ひべん)法」という方法だが、シリコン・インプラントは10年ごとにインプラントの入れ替えが必要となり、「皮弁法」では乳房切除部分以外にも傷が残るなどのネックがあった。

また、今年に入り、乳がんによる乳房再建手術などでも使われる人口乳房が原因で血液ガンになった症例が国内でも発見され、乳がんの再建手術についてはより安全な方法を求める声が高まっている。 Bellaseno社が開発中の3Dプリンターを用いた乳房再建技術は現在、前臨床段階で来年には順次病院へと展開される予定だ。この技術が導入されれば、メンテナンスのための再手術の必要もなく、患者の体の負担も減る。新たな技術の力でまたひとつ、最新医療が日本でも生まれようとしている。

[TOP画像引用元:BellaSeno

(text: HERO X 編集部)

(photo: テクトダイヤ株式会社)

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