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車が空を飛ぶのはかなり近い未来!? 磁力に反応して宙に浮くフォルクスワーゲンが再現した「空飛ぶ車」【Mobility Watchers】

Yuka Shingai

IoT、AI、自動運転技術などテクノロジーによって、まだまだ留まることを知らないモビリティの躍進。セグウェイの冠商品である立ち乗り二輪車の生産が間もなく終了となるが、同商品の台頭は、“夢の乗り物” として後発のブランドやプロダクトにも大きな影響を与え続けている。また、今や当たり前のように存在する、カワサキ、ヤマハ、ホンダといった国内メーカーも製造する水上オートバイは、モータースポーツとして発展し、エンターテインメントや個人所有の動きを受け、モビリティの中でもかなり身近なものとなった。 このようにモビリティは、生活をより豊かに、便利にする存在であるが、もちろんそれだけではない。日々進化するモビリティは、テクノロジーの躍進によって社会課題の解決や改善をもたらすという役割を担っているのだ。 今回【Mobility Watchers】で紹介する「空飛ぶ車」は、夢を感じさせてくれるだけでなく、中国で長年課題となっている都市交通へのアプローチも叶えてくれそうだ。

世界販売台数の3分の1を占めるほどに、中国国内に大きな市場を誇るフォルクスワーゲン。グループ全体が2028年までに目指すBEV(バッテリー式電気自動車)の生産台数2200万台の半数以上をフォルクスワーゲン グループ チャイナが生産するのを目指すほか、電動化攻勢の加速に向けた充電インフラに向けた新しい合弁事業も立ち上げ予定など、e-モビリティ戦略においても中国の活躍は欠かすことができない。

しかし、高度経済成長に伴う自動車の需要拡大の裏には、交通渋滞や駐車場不足から来る停車難、排気ガスによる大気汚染といった深刻な課題も山積みだ。

同社は一般の人々から車のアイデアを募る企画「THE PEOPLE’S CAR PROJECT」を開催し、四川省・成都出身のWang Jia氏による「空飛ぶ車」を採用した後、それをCGで再現。Wang氏の両親が車に試乗するというユーモラスなムービーが完成した。
丸っこくタイヤもない車体は、まるでアミューズメント施設のアトラクションのよう。フロント部分にはおなじみフォルクスワーゲンのロゴが配されている。

Wang氏が発案したのは、地下に豊富な鉱物資源を有する成都の地理的特徴を活かし、鉱物の磁力に反応して車が宙に浮かぶというマグレブカーだ。ガソリンを燃料としないため世界のなかでも深刻な大気汚染の改善の一助ともなり得る。

都市交通で活躍する「空飛ぶ車」はもちろん、自動運転もお手のもの。周囲で走行する車と一定の距離を保ち、理想の速度を即時で計算、危険を検知したら自動で停止するなど、安全対策もばっちりだ。

Wang氏の受賞記念として作られたムービーはフィクションだが、遊び心に溢れ、そう遠くない未来に実現してしまうのでは?と思わされるものがある。

わが国日本でも、交通渋滞の緩和、生活物資の運搬、離島や山間部での新たな移動手段や、災害時等を含めた急患の搬送などに活用が期待されるとして、「空」で活躍するモビリティについて、経済産業省と国土交通省が合同で技術開発や航空法関連の法整備等、協議が進められているようだ。福島・東京・愛知・三重・大阪といった意欲的な自治体が社会実装に向けて手を挙げ、2023年を目標とし事業がスタートされると見込んでいる。思ったより、かなり近い未来だ。

参考資料:経済産業省「空の移動革命に向けた官民協議会」より

日本を含め、果たして「空飛ぶ車」の実現はできるのか…?

こんなモビリティがあったらいいなでとどまることなく、社会課題解決の糸口として現実になる道のりを追い続けたい。

【Mobility Watchers】前回記事はこちら:http://hero-x.jp/movie/9339/

(text: Yuka Shingai)

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めざすは“世界一、速いウェア”。デサントの新しい研究開発拠点が超未来的!

吉田直人

ギアの性能は、競技の結果を大きく左右する。それはトップアスリートに限らず、己に挑戦するスポーツマン全てに言えることだ。自身の身体の研鑽は勿論、身につけるプロダクトにもこだわりたい。そんなアスリートたちの心理に応えるべく、新たなスポーツアパレルの研究開発拠点が大阪府に誕生した。

株式会社デサントは、719日(木)、大阪府茨木市にスポーツアパレルの研究開発拠点「DISC(ディスク)」(DESCENTE INNOVATION STUDIO COMPLEX /デサントイノヴェーションスタジオコンプレックス)を開設した。

「DISC」外観

DISC」のコンセプトは世界一、速いウェアを作ること。この速さにはいくつかの意味が込められているという。例えば、競技で勝つ為の「スピード」を追求したウェアや、グローバルマーケットで他社に「先駆ける」ウェアを開発する拠点にしたいという想いだ。その理念を踏まえて、「DISC」は5つの役割を担うという。

1.基礎開発:運動解析、快適性などの研究開発を実施し、独自の理論を構築する。新しい評価手法の開発やノウハウの蓄積により、商品価値の向上に貢献する。

2.グローバル戦略素材開発:基礎データからエビデンスを基にした独自性のある機能素材開発を推進する。

3.製品開発:ユニークなアイデア+エビデンス+プロセスを基にグローバルで勝てる差別化製品を開発し、ブランド価値向上に貢献する。

4.品質開発:グローバル安全性基準制定など、グループ全体の品質管理の基となるデサント基準を制定する。

5.知財戦略:知的財産の取得・保護・活用および係争の予防と解決により、現在と将来の事業の優位性と安全の確保を行う。

この5つの役割を果たす上で、DISCには独自のサーマル発汗マネキン、クライマート(人工気象室)、人工降雨室、全天候型トラック、プロダクションスタジオ等を設置。機能の開発、製品化、評価検証を「DISC」内で完結し、よりスピーディーな研究開発を目指す。

クライマート(人工気象室)

人工降雨室

全天候型トラック

また、施設内には、コミュニケーションを促進する為のスペースワイガヤスペースを設けた他、柱や壁を減らしたオープンな設計となっている。多様なアイデアとノウハウがシームレスに混ざり合う、デサントの新たな研究開発拠点から生まれるプロダクトに注目だ。

[画像引用元:http://www.descente.co.jp/jp/press_releases/post-44158.html

(text: 吉田直人)

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