テクノロジー TECHNOLOGY

ロボットと人間の未来を予感!?アイコンタクトができるロボット『SEER』

HERO X 編集部

その幼子のような表情には、誰もが引き込まれてしまうだろう。日本のアーティスト・藤堂高行氏が開発した『SEER(Simulative Emotional Expression Robot)』は、向かい合う人の視線をとらえ、アイコンタクトができるロボットだ。人々と視線を交わし、うなずくような表情を見せるロボットは、「不気味の谷」を越えるものとなりそうだ。

SEERはロボットの「視線インタラクション」をテーマに作品をつくり続けている藤堂高行氏が制作したヒューマノイド型のロボットヘッド。目の前にいる人間を知覚し、そこに視線を往復させるカメラが組み込まれている。表情は、うなずくような頭の動きと、ワイヤーで作られた眉毛、眼球の動きで表現される。目を合わせた人の表情を模倣して見せることも可能だ。3Dプリンターで製作されたヘッドが、特定の性別や民族を反映していない点も、大きな特徴だ。どの文化圏の人々が利用したとしても、違和感はないだろう。ニュートラルで穏やかな表情は人間に敵意を抱かせず、優しさを感じさせる。

人間がロボットを見るとき、そこには「不気味の谷」が存在するという。ロボットが人間に近すぎると感じたある時点で人々はロボットに不快感を抱き、それを越えて人間と見分けがつかなくなると、再び共感が高まるという現象だ。アイコンタクトを獲得したことで、SEERは「不気味の谷」を軽やかに越えているように感じる。現在はアートプロジェクトとして発信されているが、今後は様々な活用法が考えられていくかもしれない。

一方で、ロボットが実用的な部分で、かなり人間の生活に入りこんでいる実例もある。株式会社ATOUNが制作するパワーアシストスーツは重い荷物の上げ下げをサポートする。

参考記事:ロボットを着て動き回れる世界を夢見る、社会実装家・藤本弘道【the innovator】

工場などで大きなニーズがあり、「腰」をサポートするパワードウェアは累計270台ほど売れているという。働き方改革の面からも、作業アシストロボットは今後大きく注目されそうだ。

実用的なものから人に癒しを与えるロボットまで、ロボット技術は日進月歩ですすんでおり、すでに私たちの生活の中で無視できない存在になっている。SEERがとらえる視線の先には、ロボットと人間のどんな共存が待っているのだろうか。

[TOP動画引用元:https://www.youtube.com/watch?v=opjXuy5uHBo

(text: HERO X 編集部)

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スマートグラスで電動車いすをコントロール!「munevo DRIVE」の日本発売はいつ?

Yuka Shingai

スポーツシーンで活躍するセンサーが搭載されたモデルからAR機能に特化したものまで、進化が目覚ましいスマートグラス。ドイツ・ミュンヘンに拠点を置くスタートアップmunevoはスマートグラス向けアプリケーションで電動車いすをコントロールする新しいソリューション、「munevo DRIVE」を発表した。

munevoの創業メンバーは、元々ミュンヘン工科大学で経営情報学を履修していた学生たちだ。多発性硬化症やパーキンソン病、脊髄損傷など身体的不自由を抱える人々が移動する際に、高価かつ、必ずしも快適とは言えない操行装置に頼らざるを得ない状況について、何か改善できることはないかという思いで起業に至った。

2018年の会社設立時から現在も開発を続けている「munevo DRIVE」は、スマートグラスの右目部分がメニューや各種コントロールを内蔵したディスプレイになっており、頭を動かすと、Bluetooth経由で専用アダプターに指示が伝達され、独自に開発したコードにより車いすを動かす信号に変換される。ソフトウェアもアダプターも特別な設定やハードウェアの設置は必要なく、既存の電動車いすのほぼ全てに装着ができることが特徴だ。

現在は車いすを操作する、座席を調節する、スマートグラスで写真を撮る&シェアする、緊急時に現在地を特定の人物に伝えるといった機能が主なものだが、ハードウェア担当のKonstantin Madaus氏によると、今後はPCやスマートフォン、スマートホームシステムなどの操作で可動できるようにしたいとのこと。

製品の試用・販売については、ミュンヘン周辺を中心としたドイツ国内のみとなっているが、2019年2月には、モビリティを対象とするの欧州のスタートアップTOP150に選出された功績もあり、今後は国外での展開にも大きく期待ができそうだ。

[TOP動画引用元:https://youtu.be/YOtk5ZTNMPc

(text: Yuka Shingai)

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