スポーツ SPORTS

マシンを操り巧みにゴール!「Powerchair Football」って知っている?

HERO X 編集部

バスケットボールのコートの中を勢いよく走り抜ける電動車いす。車いすの先についたフットガードを使い、繊細なパスを繰り広げて選手たちはゴールを狙う。このスリリングな競技を知る人が今、日本でどれほどいるだろうか。最高時速は10キロ。小さなピッチの中ではその早さに驚くだろう。男女の性別も、ハンディキャップのあるなしにもこだわらない、まさにボーダレスなスポーツがこの「Powerchair Football」だ。

この競技の日本名は電動車椅子サッカー。国内の競技人口は500人を超えるとも言われる新しいジャンルのサッカーだ。動画に映し出されている通り、世界大会も開かれるほど、競技人口は広がりを見せている。日本では1982年に入ってきたスポーツで、まだその歴史は浅い。当時、大阪市の身体障がい者スポーツセンターに勤めていた現協会名誉顧問の山下義則氏が、アメリカやカナダなどで行われていた「パワーサッカー」にヒントを得て考案されたスポーツだ。電動車イスを操ることができる人ならば誰でも競技を楽しむことができる。

国内各地域に協会が組織化され、スポーツとしての認知が高まりだしており、年々その競技人口は増えている。ルールは簡単。ゴールキーパーを含む4人が1チームとなり、2本のゴールポストでできたゴールを狙うというもの。ピッチサイズは14〜18メートル×25メートルから30メートル。室内競技のため、天候の影響も受けにくい。世界大会のルールでは最高時速は10キロ以下。国内では6キロ以下と定められているが、この範囲内ならばどれだけ早いマシンを使ってもよいらしい。

国際大会に繋がる公式戦などはハンディのある人しか出場できないが、普段の大会では、ハンディのあるなしも関係ないため、誰でも楽しむことができるスポーツなのだ。サッカーと同じようにワールドカップも開催されており、実は日本は、2013年のアジア太平洋オセアニア選手権では優勝を納め、2017年に行われた第3回FIPFAワールドカップフロリダ大会にも出場、なかなかの強さを誇る。試合の情報は同協会の公式FBページなどで随時アップされているので、白熱の試合を生で見てほしい。

[TOP動画引用元:https://vimeo.com/224964220

(text: HERO X 編集部)

  • Facebookでシェアする
  • LINEで送る

RECOMMEND あなたへのおすすめ

スポーツ SPORTS

シルクドソレイユが認めた、下半身麻痺のクレイジーダンサー

中村竜也 -R.G.C

自分にこれは出来ない。私の性格には向かないからやめようといった具合に、様々なシチュエーションや環境の中で、多くの人々が夢を過去に置いてきたことだと思います。しかし、今回ご紹介する松葉杖ダンサー・Dergin Tokmakは、自らの夢を実現するために、けして諦めることなく努力を重ね、結果に結びつけた素晴らしい人物なのです。

圧倒的な思いが導く成功への道

1973年、ドイツのアウスブルグで生まれたDergin Tokmak。1歳の頃に発症した急性灰白髄炎により、下半身に障がいを抱えたまま幼少期を過ごしてきました。そして、12歳の頃にブレイクダンスと出会い彼の人生は一変。下半身が動かなくても、踊りたいという彼の中に生まれた気持ちを大切にし、松葉杖を利用したダンススタイルにたどり着いたのです。たとえ下半身が動かなくても、ブレイクダンスという武器を身につけた彼は、仲間たちと切磋琢磨を繰り返し自らの技を磨き続けることで、そのハンディキャップを自信へと変えていったのです。

そして2004年31歳の時、人生を変える出来事が訪れたのです。ひたむきに続けてきた彼の活躍が認められ、芸術性の高さだけではなく、その人並み外れた身体能力と技術を持った者だけが入団を許される世界的エンタテイメント集団・シルクドソレイユのパフォーマーとしてのオファーを勝ち取ったのです。しかしそれは、成功への道であると同時に、今まで以上の努力が必要な世界。プロフェッショナルでいるために数々の苦難と向き合っていかなくてはいけないのです。名声を得るということの裏には、これまでにないプレッシャーが必ず存在するはずです。その孤独で長い闘いは、きっと我々の想像を絶することだと思います。

現在43歳になった彼は、その年齢によりもしかしたら体力の衰えを感じているかもしれません。しかし、これまでも数々の壁を乗り越えてきた彼なら「リミットを作るのも自分、リミットをなくすのも自分」と言い放つことでしょう。下半身に抱えた障がいをものともせず、ポジティブな発想と夢を叶えるために諦めない強い気持を持つ人間だけに、一流という称号が与えられるのです。

webside : www.stixsteps.de
Facebook : https://www.facebook.com/DerginTokmak.stix/
Instagram : Stixsteps
Youtube channel : Stixsteps

(text: 中村竜也 -R.G.C)

  • Facebookでシェアする
  • LINEで送る

PICK UP 注目記事

CATEGORY カテゴリー