上肢障がい者にとって、使いたいメニューのボタンをピンポイントで押さなければならないスマートフォンを使うのは意外と技術が必要だ。その不便を壊すアプリを株式会社NTTドコモが開発してくれた。
もはや爆発的な普及率といってよいスマートフォン。声だけで電話がかけられるなど、スマホは驚くほどのスピードで進化を遂げている。がしかし、それでも使いづらさを感じる部分はある。アプリの起動やメールなど、何かをしようとすれば、機能を開くためのマークをピンポイントで押さねばならず、この部分に厄介さを感じる上肢障がい者は多くいるのだ。こうした不便は障がい者だけでなく、健常者にもいつ訪れるか分からない。例えば、手を骨折し、きき手を三角巾でつった状態を想像してほしい。きき手と逆の手でスマホの操作を全てすることになったとしたら、どうだろうか。筆者の場合はスマホに蓋がかぶさるカバーを使っているが、カバーをめくるのにも指がつりそうな上、指紋認証はきき手にしていたため仕えず、もはやスマホを開くためのパスワードを押すことすらできなかった。
株式会社NTTドコモ(以下ドコモ)は2018年6月、そんな上肢障がい者からの声を受け、スマートフォンの操作を補助するアプリ「シンプルフリック」の無料配信をはじめている。電話やメールなどよく使う機能の中で利用度の高い宛先や項目をスマホ内で事前に登録、それぞれの配置を上下左右に決めることでフリックするだけで起動ができるようになる。
上下左右の方向に2回フリックしてメニューを選択する「2フリックモード」に加え、左右の方向だけにフリックし、ダブルタップで決める「フリック&ダブルタップモード」、フリックの代わりに音声で操作することも可能だという。利用はドコモユーザーに限らず、iOS9.0.0以降搭載のスマホなら、どの会社のスマートフォンでも利用が可能だ。誰でも使えるこうした便利なアプリの開発の今後にも期待したい。






スマートインクルージョン研究会の主な活動は、「障がい者の視点からの技術開発提言」「企業での障がい者雇用の調査提言」「インクルージョンのための政策提言」「プロジェクト実施(移動支援ツール開発等)」。この活動を東京2020に活かしていきたいと思ったきっかけが、かつての「ロンドン オリンピック・パラリンピック」の成功だったそうです。オリンピックよりパラリンピックに重きを置いたPR によって、ロンドン市民だけでなく、全世界の人々の心をつかみ、バリアフリーなどの実現化が急速に進みました。テレビCMにもパラリンピアンが多く出演し、オリンピック選手よりむしろパラリンピック選手にスポンサーが多くついたほど。まさに障がい者の視点に立った方法を採ったことで、オリパラの成功を勝ち取った例と言えます。

