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普及率アップの兆しあり? ロボット掃除機が豊かにする未来

Yuka Shingai

2018年度の国内市場規模は1,230万台、2023年予測が1,710万台と、まだ十分とは言い難いロボット掃除機の普及率。リモートワークが進み、在宅の時間が増えたことにより、家事との向き合い方が人々の大きな関心ごとにもなっている今、ロボット家電はどこまで私たちの生活を豊かにしてくれるのだろうか。

AI清掃ロボット「Whiz」の
生活インフラ業種への支援がスタート

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=MgjgvUlqaig&feature=emb_logo

*ソフトバンクロボティクス提供

人型ロボットPepperに代表されるロボット事業で知られるソフトバンクロボティクスは、医療施設や介護施設をはじめとする生活インフラ6業種に対してAI清掃ロボット「Whiz」の無償提供を開始した。
「Whiz」はアメリカ・カリフォルニア州のブレインコーポレーション社の自動運転技術搭載によって、清掃ルートを学習し、人や障害物を避けて走行可能な乾式バキュームクリーナー。
これまでもオフィスや商業施設、ホテル等に導入され、人手不足を解消するだけでなく、目視では確認しづらい「隠れダスト(※)」を一掃する効果にも定評がある。「Whiz」とあわせて、ATP検査機・粒子量検査機による施設清潔度診断を行い、リスクを抱えながらも業務に臨む事業者たちを支援する方向を示している。

※「隠れダスト」:
ちりや花粉、カビ、細菌など、床に存在し、空気中に舞い上がりやすいが、肉眼では見えにくいため、人の手では取り残してしまうごみの総称

段差を乗り越え、障害物を避ける!
進化するRULOの最新機種が登場

パナソニックのロボット掃除機RULO(ルーロ)シリーズから最新機種MC-RSF1000が登場した。手動でなくてもきちんと掃除してくれるのか、ゴミの取り残しはないか、などこれまでユーザーが潜在的に抱いていた不安や疑問を解消すべく、今回RULOには千葉工業大学未来ロボット技術研究センター(fuRo)のfuRoTechnologyが搭載された。

空間認識技術「レーザーSLAM」を搭載することで、360゜全方位の間取りや床にあるもの、動くものなど部屋環境を認識してマッピングと自己位置の推定を同時に行う効率のよい走行が可能となった。これまでロボット掃除機の悩みの種でもあった、段差やラグなどの障害物を3Dセンサーで検知し、自動的に本体を持ち上げる機能や、本体を持ち運ぶことなく、掃除する場所まで人についてきてくれるotomo機能など、ユーザビリティやUXに対するきめ細やかな配慮も感じられる。

「Google アシスタント」を搭載したスマートスピーカーとの連携で音声操作も可能になり、スマートホーム計画を進めるのもおうち時間の楽しみとなるかもしれない。

家事が効率化された先に、どのような変化が待ち受けているか。ロボット家電の行く先を追い続けてみたい。

*「Whiz」「AI清掃」「Pepper」の名称、ロゴはソフトバンクロボティクスの登録商標です。

(text: Yuka Shingai)

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演奏経験ナシでも奏でられるインクルーシブな楽器が音楽への取り組みを変える

HERO X 編集部

例えば盲目のピアニストやギタリストが活躍していたり、身体にハンディのある人がパワフルな楽器演奏をしたりする風景は、我々にもなじみの深いものだ。しかし、それらはすべて「ハンディのある人が既存の楽器を努力して使いこなしている姿」である。その概念をくつがえす試みが始まっている。インクルーシブな楽器の登場は、もしかすると「演奏」や「音楽」の概念すら、変えてしまうかもしれない。

AIでインクルーシブな楽器を実現!
視線やポーズで演奏する“ANDCHESTRA“

NECが取り組む “ANDCHESTRA” のプロジェクトは、AI楽器を使って誰もがミュージシャンになれる取り組み。インクルーシブなバイオリン「ANDCHESTRA VIOLIN」は、NECの独自技術”姿勢推定技術”を使用して、ある一定のポーズをとることでバイオリンを鳴らすことができる楽器。”姿勢推定技術”は、混雑環境下や、離れた場所から撮影した低解像度の映像でも、人の姿勢を推定できるAI技術だ。

例えば、車いすに座った人が、手を挙げたり、ひじを曲げたりするだけで、「ド」「レ」「ミ」などの音階を奏でることができる。身体にハンディのある人だけではなく、子どもや楽器に不慣れな大人なども楽器演奏を楽しめる。

また、「ANDCHESTRA TRUMPET」は、人の視線を捉えることでトランペットを演奏できる楽器。視線の角度による音階表現が可能で、管楽器を吹けるほどの肺活量のない人や、身体に麻痺のある人でも、トランペットを鳴らすことができるのだ。

“ANDCHESTRA”のプロジェクトには、インクルーシブアドバイザーとして、NEC 東京オリンピック・パラリンピック推進本部に所属し、パラアイスホッケー銀メダリストでもある上原大祐さんも参加している。今後、NECではリハビリでの活用や、イベントへの出展を検討している。

「姿勢」や「視線」をAIで感知して音を鳴らす取り組みは、楽器の概念を大きく変えていくだろう。例えば、健常者よりも、視線入力に慣れている人や、足にハンディがあり手だけでコミュニケーションをとっていた人のほうが、いい演奏ができるようになるかもしれない。そんな現象が様々な場所で起こったら、世界はますます楽しくなりそうだ。

将来は“義手バンド”も結成!?
自分の手が楽器になる義手ギター

元記事URL:http://hero-x.jp/article/3284/

慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究所のEmbodied Media Project(身体性メディアプロジェクト)が開発したギターは、義手とギターを合体させたプロダクト。開発者の畠山海人氏は、義手の当事者や義手装具士ともディスカッションを繰り返して、このユニークな楽器を作りだした。

義手ギター「Musiarm」は、片手がギターになってしまう画期的なプロダクトだ。弦はオリジナルのゴムのような素材。ギターの金属の弦は通常、さびてしまうと交換しなければならない。片手ではその作業は困難なため、最初から交換しなくてもよい素材で作られている。また、ボタンひとつでチューニングができたり、装着したMusiarmを左右に動かすことでエフェクターをかけたりすることもできるので、ハンディのある人には難しい細かい作業が必要ない。

義手そのものを楽器にするという発想は、今までになかったもの。「義手の人でも演奏できる楽器」ではなく、「義手の人だからこそ演奏できる楽器」というチャレンジが面白い。将来は義手楽器だけのバンドを組んでみたいという畠山氏。ゆくゆくはスポーツ×義手、ファッション×義手といったプロダクトも開発していきたいと語る。

テクノロジーの進化でインクルーシブな楽器が生まれることで、身体とエンターテインメントの関係もまた変わってくる。義手バンドが新しい音楽を作り出す日も近い!?

(text: HERO X 編集部)

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