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レッドブル・トロロッソ・ホンダ F1チームと『HERO X』編集長 杉原行里が代表を務めるRDSがスポンサー契約

HERO X 編集部

技術の力・可能性を新しい未来へ!6月20日(水)フランスGPから「RDS」のロゴを表示 株式会社RDSは、F1チームRed Bull Toro Rosso Honda(レッドブル・トロロッソ・ホンダ)と、 スポンサー契約を締結。2019年6月21日(金)に開催される2019 FIA※フォーミュラ・ワン世界選手権 (以下、F1)第8戦 フランスGP、フリー走行第一セッションより、オフィシャルパートナーとしてRDSの ロゴがF1マシンSTR14に表示される。※Fédération Internationale de l’Automobile(国際自動車連盟)の略称

株式会社RDSは、オリジナリティー溢れる『アイデア力』『デザイン力』『技術力』を強みに、新しいモノ作りのカタチを世界に発信する研究開発型の企業。これまでモータースポーツ、医療・福祉、最先端ロボットの開発など、多数の製品開発に携わってきた。また、常識にとらわれないデザイン力を始め、設計、解析からCFRP成形、3Dプリント、精密機械加工までを一貫して行う強みを活かし、自社ブランドの商品開発にも力を入れている。

 

F1は、モータースポーツの最高峰であるとともに、自動車業界における最先端研究開発の場でもあり、そこで生み出された技術は、様々な形で現代に落とし込まれ、私たちの知らぬ間に乗用車や街づくりのインフラなど身近なものに活かされている。この、新しい未来を切り開いていく技術は、RDSのコンセプトに掲げる「今日の理想を、未来の普通に。」と深く通ずる部分があり、未来をつくる研究・技術開発ファクトリーとして、Red Bull Toro Rosso Honda F1チームとスポンサー契約を結ぶ運びとなった。

『HERO X』編集長 株式会社RDS 代表取締役社長 杉原行里  コメント

今回、Red Bull Toro Rosso Honda F1チームのスポンサー契約を結び、F1という最高峰の舞台で新たなチャレンジがスタートすることを非常にワクワクしています。 幼い頃から強く憧れていたF1に関われる事は、僕にとって、そしてRDSのスタッフ皆にとって、大きな喜びです。RDSはまだまだ多くの方々に知られていない小さな企業です。けれど多くの人々の役に立つという大きな夢があります。今回の契約は僕らにとって新たな一歩の始まりです。F1の最新技術が一般社会に役立っている様に、自分たちが持っている技術と多くの人々の想いで協業し、新たなプロダクトを生み出していきたい、そして少しでも一歩先の未来を照らす選択肢になれる様、頑張って行きたいと思います。

株式会社RDSについて

会社名    株式会社RDS
URL        http://www.rds-design.jp/
設立        1984年 3月
代表者    代表取締役社長 杉原行里  / ANRI SUGIHARA
所在地    東京デザインオフィス 東京都渋谷区千駄ヶ谷3-8-6
埼玉スタジオ 埼玉県大里郡寄居町赤浜1860

(text: HERO X 編集部)

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スポーツの民主主義化。センシングテクノロジーで日本はどう変われるか

宮本さおり

アマチュアボクシング、レスリング、ラグビー、チアリーディング・・・スポーツ界におけるパワハラ問題が世間を賑わせている。しかも、一つの競技だけではなく、複数で。メディアの報道を見るに、その多くは選手と監督、コーチの間での指導の因習が原因として上がっている。“スポ根”的な発想の指導が因習を引きずっているのは否めない。こうした部分に一石を投じてくれるものがある。その一つが、スポーツセンシング。早くからスポーツセンシングの重要性を説いてきた龍谷大学スポーツサイエンスコース教授の長谷川裕氏。センシング技術の発達で、日本のスポーツ界はどのように変わるのだろうか。

内発的な動機よりも、外発的な動機により動くことが多い日本人。スポーツの世界でも同じ現象が起きている。世界のトップアスリートチームが次々とスポーツセンシング技術を取り入れる中、「日本は一歩遅れをとっていた」というのが長谷川教授の見立てである。世界のメーカーは次々とスポーツパフォーマンスを計測する機器を開発、ヨーロッパやオセアニア地方ではいち早く導入が進んだ。ところが、日本の場合は数年遅れで導入がはじまったというのだ。

日本で変化が現れたのは、諸外国がものすごく進んできた結果です。このままではダメだとやっと気が付いた。スポーツが国際化していく中、そこで勝つための手段を考え始めた時、諸外国が何をしているのかを見はじめたのです。世界では、分析、データの活用といったセンシングを用いた指導法が加速度的に進み、結果を出すようになっていました。ここへきてようやくスポーツセンシングに目が向けられるようになったのです。」

随分と前からすでに、スポーツセンシングを使った指導法についての認識はあったという日本。ところが、「スポーツ」という村社会の中では、浸透にまでは至らなかった。

「全ての選手データは監督の頭の中に入っているんだというのが、これまでのやり方だった。たとえ選手やコーチが違う意見を持っていたとしても、コーチはヘッドコーチのいうことに頭があがらない、もちろん選手はもっとあがらない。心の中では監督と自分の意見が違うという気持ちがあっても、選手は決してそれを口に出しませんでした。つまり、スポーツの世界の民主主義化が遅れていたんです。センシング技術を使えば、客観的なデータが取れます。例えば、サッカーで『お前らぜんぜんシュートを打てていないじゃないか』と、監督から言われたとします。選手たちの中では『おれたち今日打ってるよね。俺2本打った』『俺も3本打ったよ』となっていたとしても、監督から「打てていない」と言われれば、選手は「はい」と答えるしかなかった。しかし、データがあるとどうでしょうか。『いつもは前半で10本はシュート打っているのに、今日は3本だぞ』と、事実に基づいた話し合いができます」。

スポーツセンシングの技術は、日本でも近年、Jリーグをはじめとする一部のプロスポーツなどで活用がはじまっている。スポーツに計測という技術と視点が入ることで、監督、コーチ、選手がお互いに民主的且つ建設的な話し合いを進められ、エビデンスに基づいた効果的なトレーニングを行なえるようになりはじめた。

バーベルの右端にとりつけた黒いベルトはカナダPUSH Inc製のPUSH2.0、バーベルを持ち上げるスピードを計測する。これにより、選手のトレーニング時のパワーを知ることができる。写真のように、出てきた計測データを見ながらのトレーニングも可能だ。

一歩ごとのステップを1000 Hzの精度で捉え、一定のスピードの歩行や走行での生理学的計測を行なうトレッドミルはこれ一台で心拍数などバイオメカニカルのデータも取得できる。

感覚だけの指導はなくなる

長谷川教授が指導した学生の卒業論文では、テニスにおける面白い結果がデータとして現れた。試合中に選手がコート内をどのくらい走っているかを計測したところ、上位グループより下位グループの方が、コート内でたくさん走っていることが分かったのだ。

「つまり、走り込みや体力が足らないからうまくないのではなく、ショットの打ち込む位置、テクニックの問題だということが分かったのです。昔はよく、負けたから走り込みだなんて指導がされていたと思うのですが、走る体力がないわけでなない。データを基にすれば、指導の仕方は自然と変わるはずです」。

一分一秒を競う分野では、より細かな世界のせめぎ合いだ。

「スポーツが高度化すると感覚では分からないところが出てくる。リオオリンピックで男子リレーが銀メダルをとりましたが、2位と3位の差は0.06秒でした。水泳は以前、前日に爪を切ったかどうかでタイムが変わるとまで言われてました。金、銀を狙うという人たちはそこを生きています。また、サッカーやラグビーなどは、こうした瞬間が何度もやってくる。こうなると、感覚だけではとらえきれないところになります。トップ同士のぶつかり合いはとくにそれが顕著」だと教えてくれた。

また、「スポーツ分野で大学に進む場合、高校では文系のコースからも受験できますが、データも使った指導法を専門的に学ぶとなると、例えば実際に発揮した筋力の力の大きさを力学的に知るために、物理がどうしても必要になります」。

課題は指導者の人材の不足

「トレーニングの現場では、“〇キログラムを〇回持ち上げる”といった指標しかもたず、トレーニング効果は見えにくかった」と話す長谷川教授。

「近年のICTの進歩は目覚ましいもので、センサー技術とコミュニケーションテクノロジーが急激に進化しました」と長谷川教授。しかし、センシング技術を導入しても、まだ足りない部分があると言われる。センシング技術の活用には、データを読み取り、的確に指導できるだけの力量が指導者側に必要となるからだ。

「日本の場合、指導者の資格や資質などはあまり重要視されてきませんでした。学校の教師は一定の学びをして、資格を取らないと教師になれない。ところが、スポーツの指導者は「俺はコーチだ」と言えば、だれでもなれる状態でした。最大酸素摂取量がどのくらいが良い状態かなど、運動に深くかかわる基本的なデータや科学を知らなくても、指導者を名乗ることができていました。運動科学の基礎を曲がりなりにも学んでいる人ならば、動きを計測して、データを取り、トレーニングに活かそうという方向に頭が働くのですが、日本の場合はこの部分についての認識を持つのが遅かったのだと思います。センシングの装置は海外製のものなど、現場が使いやすい物が増えてきました。これからは、そういったものを使って的確に指導できる人を育てる必要があると感じています」。

スポーツセンシングを日本に根づかせるため、長谷川教授は価格帯的にも導入しやすい海外製のスポーツセンシング機器を販売する会社を自身で立ち上げた。「日本の大企業は宇宙開発くらいスケールの大きなことを考えていますから、海外製品とのコラボや導入はしたがりません。うちは早いですよ。すぐにメールやSNSでコンタクトを取り、取扱い契約を結びますから」。指導者の育成、機器の日本への紹介に奮闘する長谷川教授、選手を支える技術と、良質な指導者が日本中に広がる日は近い。

長谷川裕
筑波大学体育専門学群卒業、広島大学大学院教育学研究科博士課程前期修了。現在、龍谷大学経営学部スポーツサイエンスコース教授。エスアンドシー株式会社代表。NPO法人日本トレーニング指導者協会(JATI)理事長、一般社団法人スポーツパフォーマンス分析協会(IPAS)代表理事も務め、スポーツセンシング技術を用いた指導法などを広める働きを担っている。

(text: 宮本さおり)

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