テクノロジー TECHNOLOGY

ローカルなあの乗り物もスマホで予約!カンボジア発配車アプリ「PassApp Taxis」

Yuka Shingai

今すぐにとはいかなくとも、自由に海外渡航ができるようになったら、どこに出かけようかと旅行の計画を夢想している人も少なくないだろう。航空券やホテルがウェブ予約で完結するのは今や常識だが、以前、HERO Xでも紹介した「MaaS」の台頭により現地での交通手段もスマホアプリで手配できるものが増え、今後さらにに利便性の向上が期待されている。 今回紹介するのは、「PassApp Taxis」はカンボジア発の配車アプリ。東南アジア諸国ではおなじみのあの乗り物も、アプリ1つで配車できるらしい。

アプリの開発拠点がある首都プノンペンは当然のこと、アンコール遺跡群の観光拠点となるシェムリアップ、ビーチリゾートで知られるシアヌークビル、タイとの国境寄りのバッタンバン、メコン川沿いのコンポンチャム、ローカルな魅力で人気を博す観光地カンポットまで、カンボジア国内の広範囲で利用できる「PassApp Taxis」。

使い方はよくある配車アプリと同様で、行き先を指定し、希望の車種を選択、降車する位置をセッティングすれば予約完了だ。15分5000リエル(約130円)でスタンダードな乗用車、30分6000リエル(約160円)でSUVが選べるだけでなく、リクシャー(30分3000リエル=約80円)やトゥクトゥク(30分4000リエル=105円)といった三輪タクシーも配車できるのが、いかにも東南アジアらしいユニークなポイント。

タクシーを捕まえたはいいが、ぼったくられてしまった、わざと遠回りされて想定外の金額を請求されてしまったというトラブルは旅先ではよく聞く話。「PassApp Taxis」では、乗車する前からあらかじめ料金やルートが明確になっていれば安心できるし、ローカルな旅気分も満喫できるなら、観光客には非常にウケがよさそうだ。
一方で、運転手と料金を交渉することやコミュニケーションを図ることこそ旅の醍醐味!と感じる人にはどう映るのかが気になるところだが、トラブルを未然に防ぐという意味では頼もしい存在となりそうだ。
万が一、アプリ上と異なる料金を請求されたり、荷物を置き忘れたりというトラブルが発生した場合には、Facebookページなどソーシャルメディア上で担当スタッフとやり取りできるので心配無用。

日本では法制度の問題もあり、ライドシェアサービスが市民権を獲得するまでにはまだ時間がかかりそうだが、リモートワークが定着し、できれば満員電車での移動は避けたいという人も増えてきたなか、「チョイ乗り」できるモビリティはこれからニーズが拡大しそうだ。
「PassApp Taxis」もベトナム、タイ、ラオスといった周辺の国々を巻き込んでいくことでどんどん成長していくかもしれない。今後の動きもチェックしてみよう。

(text: Yuka Shingai)

  • Facebookでシェアする
  • LINEで送る

RECOMMEND あなたへのおすすめ

テクノロジー TECHNOLOGY

動物たちにも希望の光を。メキシコ初、犬のための3Dプリント義足が実現

岸 由利子 | Yuriko Kishi

彼女の名前は、ロミナ。犬種は、グレーハウンドを祖先犬に持つハウンドドッグのウィペット。筋肉質の引き締まった体と、スラリと伸びた脚が物語るように、走ることが大好きな犬だ。時に、時速40マイル(約64km)ものスピードで俊足に駆け回り、素早く体をひねり、俊敏に方向転換する様は、究極のスプリンターのよう。一気に最高速度に上げていく加速力で右に出る犬はいない。走るために生まれてきたようなロミナが、芝刈り機の事故に遭い、右の前足を失ったのは2013年のこと。

右の前足には義足を付け、事故で同様にダメージを受けた左の前足は、幸い、チタニウム製のプレートで再建できたが、自分で中々上手く動かすことができない。ロミナの飼い主は、彼女が歩行を取り戻すための方法を探し続けた末、ユニバーシダッド・デル・ヴァレ・デ・メキシコ動物病院(UVM)にたどり着いた。

獣医たちは、ロミナの既存の義足を外科手術で取り除いた後、3Dプリント技術を使って、“関節のある義足”の開発にあたった。ロミナが肘を曲げれば、義足全体がそれに応じて曲げることができる。そんな自然な前足の動きを再現するために、ABS樹脂とポリカーボネートで2種類のプロトタイプを作成した。

ロミナにとって、新しい足で歩くことは大きなチャレンジだった。病院内にあるリハビリテーション科と理学療法クリニックで、じっくり時間をかけて、義足の動かし方を練習していった。

「膝を曲げて、自然に歩いてみてごらんと言っても、彼女は理解できません。エクササイズと指示出しを繰り返し、義足の使い方を教えることが大切でした」とリハビリテーション科長は話す。

やがて、ロミナが義足で歩くことに慣れてきた。彼女の義足の最終形は、皮膚に似た素材でカバーされたアルミニウム製。ロミナは、メキシコで初めて3Dプリント義足を受け取った犬だ。

3Dプリント技術なしに、本物の前足のようにしなやかに動く義足は存在しなかった。6ヶ月という短い時間で開発できたのも、この技術の恩恵だ。

「ミリ単位で、患者のサイズに合わせて容易に調整することができるので、不具合があったり、違和感があれば、すぐに作り直せます」と話すのは、同病院で義足を専門とするスタンティアゴ・ガルシア氏。

今後、ユニバーシダッド・デル・ヴァレ・デ・メキシコ動物病院は、犬や猫の他にも、亀やクロコダイルなどにも同様の義足を開発していく意向だ。多くの動物が歩く力を取り戻し、溌剌と生きるきっかけになるだろう。

[TOP動画 引用元]Vocativ(https://youtu.be/Jp-wXU92u74

(text: 岸 由利子 | Yuriko Kishi)

  • Facebookでシェアする
  • LINEで送る

PICK UP 注目記事

CATEGORY カテゴリー