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F1 2020年シーズンがいよいよ開幕!スクーデリア・アルファタウリ・ホンダと編集長が代表を務めるRDSがメッセージ

HERO X 編集部

2020年 FIA※フォーミュラ・ワン世界選手権(以下、F1)が7月3日に開幕します。F1チームスクーデリア・アルファタウリ・ホンダと、パートナーシップを結ぶ株式会社RDS(東京都渋谷区 代表:杉原行里 /スギハラアンリ 以下、RDS)は、F1 2020年シーズンの開幕を前に両代表のメッセージを発表。新しいチャレンジのスタートと共に、最速の世界で生まれる先端技術を日常のモビリティへ落とし込み、誰もがボーダレスに移動できる社会に取り組んでいきます。 ※Fédération Internationale de l’Automobile(国際自動車連盟)の略称

最速の技術の先には
私たちの日常がある

〜目指すのは新しいモビリティの可能性を世界に発信すること〜

RDSは、「今日の理想を、未来の普通に。」をコンセプトに、新しいモノ作りのカタチを世界に発信する研究開発型の企業です。これまでモータースポーツ、医療・福祉、最先端ロボットの開発など、多数の製品開発に携わってきました。また、冬季ソチ、平昌では、パラアスリートとギアを共同開発し、金メダルを含む計7個のメダル獲得に貢献。2017年からは、58歳で東京大会のメダル獲得を目指す車いす陸上の伊藤智也選手をテストドライバーに迎え、パーソナルデータをもとにした車いすレーサーの開発に着手しました。そこで生まれた車いすレーサー『RDS WF01TR』、シーティングポジションの最適解を導き出す『RDS SS01』、身体データによりパーソナライズされた車いす『RDS WF01』は、イタリアの国際デザインコンペティション「A’ Design Award & Competition 2020※」で優秀賞を獲得。伊藤選手も実戦で世界トップレベルのタイムを記録など、デザイン性とパフォーマンスを追求するプロダクト開発に取り組んでいます。
※A’ Design Award & Competition (http://www.competition.adesignaward.com/

なぜ、スクーデリア・アルファタウリ・ホンダとRDSはパートナーシップを結ぶのか。F1は、モータースポーツの最高峰であるとともに、自動車業界における最先端研究開発の場でもあります。そこで生み出された技術は、乗用車や街づくりのインフラなど様々な形で私たちの日常に落とし込まれています。RDSは、長年モータースポーツで培ってきた開発力をパラスポーツへと転換し、メダル獲得という新たなチャレンジに取り組んでいますが、モータースポーツもパラスポーツも、人の能力を最大限発揮するために、人の感覚や身体データを可視化し、マシンを調整していくことがパフォーマンスと密接に関係しています。そして、そこで蓄積された技術は、新しい日常をつくるモビリティーに活かすことができます。
昨年よりパートナーシップを結ぶ両社は、意見交換や情報発信など、より協力体制を強化することで、モビリティの可能性を世界に発信し、これからの時代の“移動”について取り組んできます。

スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ
F1チーム代表 フランツ・トスト コメント

ハイブリッドターボ時代に最高の結果を手にしたスクーデリア・アルファタウリ・ホンダより、RDSとの契約延長を温かく歓迎いたします。チームとRDSの双方は、常に卓越したデザイン、そしてパフォーマンスという哲学を共有しており、このパートナーシップの成功は、私達とRDSの杉原行里代表が手を取り合い築き上げてきた信頼があってこそ。お互いにとってとても意義のあるパートナーシップなのです。

株式会社RDS 代表取締役社長
杉原行里 (スギハラ アンリ)コメント

スクーデリア・アルファタウリ・ホンダとのパートナーシップで、エキサイティングな舞台に参加できることを嬉しく思います。最速の世界で技術を追求するF1のマシンは、モータースポーツファンだけでなく、誰もが“いつか乗ってみたい”と思う憧れです。これはRDSが目指す未来に深く通ずるものがあります。A’ Design Award & Competition 2020で最優秀賞を獲得した『RDS WF01』は、障害をもった方だけでなく、誰もが“いつか乗ってみたい”と思う車いすを目指して開発しました。私たちのフィロソフィーでもある“かっこいい”モビリティは、様々な壁を超える、そしてモビリティの概念を変えることが出来ます。この先も、“誰もが乗ってみたい”と思うようなプロダクトを世に送り出し、スクーデリア・アルファタウリ・ホンダとともに、世界にモビリティーの進化を発信していきたいと思っています。

F1マシンと車いすレーサーが共演
RDSの目指す世界を表現した「RDS展」

株式会社RDSについて

会社名:株式会社RDS
URL : http://www.rds-design.jp/
設立 :1984年 3月
代表者:代表取締役社長 杉原行里
所在地:埼玉スタジオ 〒369-1211 埼玉県大里郡寄居町赤浜
東京デザインオフィス 〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷3-8-6
Fecebook:https://www.facebook.com/DESIGN.RDS

イタリアの国際デザインコンペティション
「A’ Design Award & Competition 2020」で受賞

スクーデリア・アルファタウリ・ホンダの本拠地でもあるイタリアで開催される世界最高峰の国際デザインコンペティション「A’ Design Award & Competition 2020」。RDSのデザイン力を国際的な評価を測るために初出展しました。結果「RDS WF01」「RDS WF01TR」「RDS SS01」のエントリー全プロダクトが入賞。「RDS WF01」はカテゴリー最優秀賞となるプラチナを獲得しました。

RDS WF01
ランク:プラチナ / PLATIUM Award

WF01は、高性能で高度にカスタマイズ可能な車いすです。スーパーカーのように“いつか乗ってみたい”と思う憧れの存在を目指し、従来の車いすとは大きくスタイリングが異なります。た、車いすという概念を超えて、新しいカテゴリーのモビリティを構築することを目的としています。ハンディキャップのある人だけでなく、誰もが乗りたいモビリティを車いすが実現することで、市場を拡大し、ボーダーレスな世界を提供できるとデザインチームは考えています。
https://rds-pr.com/wf01/

RDS WF01TR
ランク:ゴールド / GOLD Award

WF01TRは、アスリート自身の能力を最大限に引き出し、競技パフォーマンスを向上させるために設計および開発された車いすレーサー。短い距離のレースにフォーカスを当てたデザインは、超軽量、高剛性、高加速であり、コーナリング時のボディホールドと安定性を向上させます。座面や背もたれの位置は、シーティングポジションの最適解を導き出すシミュレーターSS01によって導き出され、製造は、マシンの動きや走行中のフォーム、力の分散バランスなど「感覚を数値化」した力学データをもとにオーダメイドで開発されます。
https://rds-pr.com/wf01tr/

 RDS SS01
ランク:ブロンズ / BRONZE Award

SS01は、人の(特に車いすを使用する最適なシーティングポジションを導き出すために設計および開発された測定システムです。2017年からスタートしたパラ陸上のレース用車いすの開発をきっかけに座面の位置が人の能力に大きな影響を与えるということを理解出来ました。これまで感覚でコミュニケーションされていた要素を数値化することで、パフォーマンスが劇的に向上。その後、ロボット工学のスペシャリスト千葉工業大学・未来ロボット技術研究センター「fuRo」の協力をへて、アスリートだけでなく、多くの方にご利用頂けるシステムを設計しました。
https://rds-pr.com/ss01/

(text: HERO X 編集部)

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スポーツの民主主義化。センシングテクノロジーで日本はどう変われるか

宮本さおり

アマチュアボクシング、レスリング、ラグビー、チアリーディング・・・スポーツ界におけるパワハラ問題が世間を賑わせている。しかも、一つの競技だけではなく、複数で。メディアの報道を見るに、その多くは選手と監督、コーチの間での指導の因習が原因として上がっている。“スポ根”的な発想の指導が因習を引きずっているのは否めない。こうした部分に一石を投じてくれるものがある。その一つが、スポーツセンシング。早くからスポーツセンシングの重要性を説いてきた龍谷大学スポーツサイエンスコース教授の長谷川裕氏。センシング技術の発達で、日本のスポーツ界はどのように変わるのだろうか。

内発的な動機よりも、外発的な動機により動くことが多い日本人。スポーツの世界でも同じ現象が起きている。世界のトップアスリートチームが次々とスポーツセンシング技術を取り入れる中、「日本は一歩遅れをとっていた」というのが長谷川教授の見立てである。世界のメーカーは次々とスポーツパフォーマンスを計測する機器を開発、ヨーロッパやオセアニア地方ではいち早く導入が進んだ。ところが、日本の場合は数年遅れで導入がはじまったというのだ。

日本で変化が現れたのは、諸外国がものすごく進んできた結果です。このままではダメだとやっと気が付いた。スポーツが国際化していく中、そこで勝つための手段を考え始めた時、諸外国が何をしているのかを見はじめたのです。世界では、分析、データの活用といったセンシングを用いた指導法が加速度的に進み、結果を出すようになっていました。ここへきてようやくスポーツセンシングに目が向けられるようになったのです。」

随分と前からすでに、スポーツセンシングを使った指導法についての認識はあったという日本。ところが、「スポーツ」という村社会の中では、浸透にまでは至らなかった。

「全ての選手データは監督の頭の中に入っているんだというのが、これまでのやり方だった。たとえ選手やコーチが違う意見を持っていたとしても、コーチはヘッドコーチのいうことに頭があがらない、もちろん選手はもっとあがらない。心の中では監督と自分の意見が違うという気持ちがあっても、選手は決してそれを口に出しませんでした。つまり、スポーツの世界の民主主義化が遅れていたんです。センシング技術を使えば、客観的なデータが取れます。例えば、サッカーで『お前らぜんぜんシュートを打てていないじゃないか』と、監督から言われたとします。選手たちの中では『おれたち今日打ってるよね。俺2本打った』『俺も3本打ったよ』となっていたとしても、監督から「打てていない」と言われれば、選手は「はい」と答えるしかなかった。しかし、データがあるとどうでしょうか。『いつもは前半で10本はシュート打っているのに、今日は3本だぞ』と、事実に基づいた話し合いができます」。

スポーツセンシングの技術は、日本でも近年、Jリーグをはじめとする一部のプロスポーツなどで活用がはじまっている。スポーツに計測という技術と視点が入ることで、監督、コーチ、選手がお互いに民主的且つ建設的な話し合いを進められ、エビデンスに基づいた効果的なトレーニングを行なえるようになりはじめた。

バーベルの右端にとりつけた黒いベルトはカナダPUSH Inc製のPUSH2.0、バーベルを持ち上げるスピードを計測する。これにより、選手のトレーニング時のパワーを知ることができる。写真のように、出てきた計測データを見ながらのトレーニングも可能だ。

一歩ごとのステップを1000 Hzの精度で捉え、一定のスピードの歩行や走行での生理学的計測を行なうトレッドミルはこれ一台で心拍数などバイオメカニカルのデータも取得できる。

感覚だけの指導はなくなる

長谷川教授が指導した学生の卒業論文では、テニスにおける面白い結果がデータとして現れた。試合中に選手がコート内をどのくらい走っているかを計測したところ、上位グループより下位グループの方が、コート内でたくさん走っていることが分かったのだ。

「つまり、走り込みや体力が足らないからうまくないのではなく、ショットの打ち込む位置、テクニックの問題だということが分かったのです。昔はよく、負けたから走り込みだなんて指導がされていたと思うのですが、走る体力がないわけでなない。データを基にすれば、指導の仕方は自然と変わるはずです」。

一分一秒を競う分野では、より細かな世界のせめぎ合いだ。

「スポーツが高度化すると感覚では分からないところが出てくる。リオオリンピックで男子リレーが銀メダルをとりましたが、2位と3位の差は0.06秒でした。水泳は以前、前日に爪を切ったかどうかでタイムが変わるとまで言われてました。金、銀を狙うという人たちはそこを生きています。また、サッカーやラグビーなどは、こうした瞬間が何度もやってくる。こうなると、感覚だけではとらえきれないところになります。トップ同士のぶつかり合いはとくにそれが顕著」だと教えてくれた。

また、「スポーツ分野で大学に進む場合、高校では文系のコースからも受験できますが、データも使った指導法を専門的に学ぶとなると、例えば実際に発揮した筋力の力の大きさを力学的に知るために、物理がどうしても必要になります」。

課題は指導者の人材の不足

「トレーニングの現場では、“〇キログラムを〇回持ち上げる”といった指標しかもたず、トレーニング効果は見えにくかった」と話す長谷川教授。

「近年のICTの進歩は目覚ましいもので、センサー技術とコミュニケーションテクノロジーが急激に進化しました」と長谷川教授。しかし、センシング技術を導入しても、まだ足りない部分があると言われる。センシング技術の活用には、データを読み取り、的確に指導できるだけの力量が指導者側に必要となるからだ。

「日本の場合、指導者の資格や資質などはあまり重要視されてきませんでした。学校の教師は一定の学びをして、資格を取らないと教師になれない。ところが、スポーツの指導者は「俺はコーチだ」と言えば、だれでもなれる状態でした。最大酸素摂取量がどのくらいが良い状態かなど、運動に深くかかわる基本的なデータや科学を知らなくても、指導者を名乗ることができていました。運動科学の基礎を曲がりなりにも学んでいる人ならば、動きを計測して、データを取り、トレーニングに活かそうという方向に頭が働くのですが、日本の場合はこの部分についての認識を持つのが遅かったのだと思います。センシングの装置は海外製のものなど、現場が使いやすい物が増えてきました。これからは、そういったものを使って的確に指導できる人を育てる必要があると感じています」。

スポーツセンシングを日本に根づかせるため、長谷川教授は価格帯的にも導入しやすい海外製のスポーツセンシング機器を販売する会社を自身で立ち上げた。「日本の大企業は宇宙開発くらいスケールの大きなことを考えていますから、海外製品とのコラボや導入はしたがりません。うちは早いですよ。すぐにメールやSNSでコンタクトを取り、取扱い契約を結びますから」。指導者の育成、機器の日本への紹介に奮闘する長谷川教授、選手を支える技術と、良質な指導者が日本中に広がる日は近い。

長谷川裕
筑波大学体育専門学群卒業、広島大学大学院教育学研究科博士課程前期修了。現在、龍谷大学経営学部スポーツサイエンスコース教授。エスアンドシー株式会社代表。NPO法人日本トレーニング指導者協会(JATI)理事長、一般社団法人スポーツパフォーマンス分析協会(IPAS)代表理事も務め、スポーツセンシング技術を用いた指導法などを広める働きを担っている。

(text: 宮本さおり)

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