テクノロジー TECHNOLOGY

スマートグラスで電動車いすをコントロール!「munevo DRIVE」の日本発売はいつ?

Yuka Shingai

スポーツシーンで活躍するセンサーが搭載されたモデルからAR機能に特化したものまで、進化が目覚ましいスマートグラス。ドイツ・ミュンヘンに拠点を置くスタートアップmunevoはスマートグラス向けアプリケーションで電動車いすをコントロールする新しいソリューション、「munevo DRIVE」を発表した。

munevoの創業メンバーは、元々ミュンヘン工科大学で経営情報学を履修していた学生たちだ。多発性硬化症やパーキンソン病、脊髄損傷など身体的不自由を抱える人々が移動する際に、高価かつ、必ずしも快適とは言えない操行装置に頼らざるを得ない状況について、何か改善できることはないかという思いで起業に至った。

2018年の会社設立時から現在も開発を続けている「munevo DRIVE」は、スマートグラスの右目部分がメニューや各種コントロールを内蔵したディスプレイになっており、頭を動かすと、Bluetooth経由で専用アダプターに指示が伝達され、独自に開発したコードにより車いすを動かす信号に変換される。ソフトウェアもアダプターも特別な設定やハードウェアの設置は必要なく、既存の電動車いすのほぼ全てに装着ができることが特徴だ。

現在は車いすを操作する、座席を調節する、スマートグラスで写真を撮る&シェアする、緊急時に現在地を特定の人物に伝えるといった機能が主なものだが、ハードウェア担当のKonstantin Madaus氏によると、今後はPCやスマートフォン、スマートホームシステムなどの操作で可動できるようにしたいとのこと。

製品の試用・販売については、ミュンヘン周辺を中心としたドイツ国内のみとなっているが、2019年2月には、モビリティを対象とするの欧州のスタートアップTOP150に選出された功績もあり、今後は国外での展開にも大きく期待ができそうだ。

[TOP動画引用元:https://youtu.be/YOtk5ZTNMPc

(text: Yuka Shingai)

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テクノロジー TECHNOLOGY

傷の治りが大幅に早まる!?電気絆創膏の実用化が、いよいよ見えてきた

長谷川茂雄

日常生活で負った傷をケアするためのもっともポピュラーな創傷被覆材といえば、絆創膏だろう。傷口を衛生的に保護することで、治癒を促す。ウィスコンシン大学マディソン校では、老若男女が日々お世話になっているこの絆創膏に、電気パルスを流すことで治癒を早めるという画期的な研究を進めている。このほど発表された研究成果では、マウスでの実験で傷口の治癒までの時間が大幅に短縮されたという。今後、人への実用が可能となれば、誰もが“電気絆創膏”をつける未来が来るかもしれない。


日々の生活のなかで、不注意で怪我をしたり体を擦りむいたりしたときには、応急処置として誰もが絆創膏を利用する。傷口が外的な刺激に触れないよう衛生的に保護することで、治癒を待つのが一般的だ。しかし、ウィスコンシン大学マディソン校の研究チームが開発を進めている絆創膏は、電気を流し治癒を促進するものだという。電気刺激を与えることで傷の刺激が早まることは以前から知られているが、どうしても大掛かりな装置が必要となるため、しかるべき環境が整った病院への通院が必要だった。

今回の研究で用いられたのは、PET製のバンドに銅とPTFE(テフロン)を貼り合わせたナノ発電機(NG)。ラットの呼吸によって生じた筋肉の動きを1Hz(ヘルツ)の交流電力に変換し、金の電極を通じて絆創膏に電気パルスを流す。

絆創膏に流れる電気パルスは、皮膚などの組織にダメージを与える危険性もない。一般家庭で当たり前に使われる日がくるかもしれない。[引用元:https://news.wisc.edu

その結果、NGを使用しない対照群では、0.4×0.4cmの皮膚全体に達する傷が閉じるまで12日かかったのに対して、NGを使用した場合は、3日だった。また、電流による組織へのダメージも認められなかったという。レーザーによる治療では、同様の傷が閉じるまでに7日を要するため、NGを使用する手法で傷の治療を大幅に早める効果は実証できた。

ウィスコンシン大学マディソン校の研究チーム。[引用元:https://news.wisc.edu

線維芽細胞の培養実験によると、NGに接続した場合には、線維芽細胞の生存可能性が高まり、電界に沿って線維芽細胞への分化が進む現象も確認されているという。それらが傷の治癒を早める要因のひとつとなっているのかもしれない。安全性も高く、不快感もない電気パルスを使用した絆創膏。人への実用が本格化すれば、どうしても傷を早く直したい時に、電気絆創膏を使うという選択肢が生まれる。そんな未来はもう目の前まで迫っている。

[TOP画像引用元:https://news.wisc.edu/

(text: 長谷川茂雄)

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