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MONTHLY PICK UP:不屈のアスリート

7月下旬、元WGPライダーの青木拓磨氏が22年ぶりに鈴鹿をバイクで走行したというニュースが入ってきました。全日本ロードレース選手権2連覇、WGP GP500クラスにフル参戦という華々しい活躍をしながらも、事故で下半身に障がいを負いサーキットを去った拓磨氏。彼の22年ぶりの勇姿に、多くの人が勇気づけられたことでしょう。今回は、青木拓磨氏のように、一度は事後や怪我で選手生命を絶たれながらも、不屈の闘志でカムバックを果たしたアスリートを特集します。

元F1ドライバー、アレッサンドロ・ザナルディ
世界的ヒーローが歩んだ七転八起の半生
【Alessandro Leone Zanardi

元F1ドライバーで、米国のCARTシリーズ(現・インディカ―)では、イタリア人初の快挙となる2大会連続王者を獲得するなど、輝かしい功績を持つアレッサンドロ・ザナルディ。大事故で両足を切断してから16年。パラ自転車競技“ハンドサイクル”の選手に転向して以来、飛ぶ鳥を落とす勢いで世界の頂点に上り詰めるまでの軌跡を辿りました。

下半身不随でダカール・ラリーのモト部門に出場!
不屈のライダー、ニコラ・デュット

ダカール・ラリーを夢見て、欧州のさまざまな大会で結果を残してきたニコラ・デュッド氏。そんな彼の夢が叶ったのは、2010年に事故によって下半身不随となった後でした。事故からわずか1年でラリーに復帰し、バギー、そしてバイクでさまざまな快挙を成し遂げてきたニコラ氏。そのダカール・ラリーまでの軌跡をご紹介します。

将棋で鍛えた“深さ”と“速さ”のバランス──
独立独歩で進むアスリート、成田緑夢の今

スノーボード一家として有名な成田三兄弟の末っ子として生まれ、スノーボード、フリースタイルスキー、トランポリンの選手として活躍してきた成田緑夢氏。トランポリンの練習中の怪我により、障がいを抱えるも、平昌パラリンピックではスノーボードで2個のメダルを獲得しました。そんな彼が次に目指すのが、走り高跳びでの2020東京大会への出場。新たな目標に向けて、どんなトレーニングを積んでいるのかを伺いました。

命知らずのライダーが、
命がけでつくった伝説
【ブルース・クック】

FMX(フリースタイルモトクロスバイク)の世界で活躍していたブルース・クック氏。命知らずのライダーとして知られていた彼を悲劇が襲ったのは2014年。前人未踏のダブル・フロント・フリップに挑戦するも着地に失敗。一命を取りとめたものの、脊髄損傷により半身不随の身体に。しかし、彼は立ち上がります。大事故から1年9ヶ月後のカナダのトロント。そこには、バイクにまたがり、バック・フリップを決めるブルース・クック氏の姿がありました。世界を驚かせた、その映像をご覧ください。

オリンピック&パラリンピックの
両大会に3
回連続出場!?
世界を変えた、7人の鉄人アスリートたち

最後は、オリンピックとパラリンピックの両大会で活躍したり、障がいを抱えながらもオリンピック出場を果たした7人のアスリートを一気にご紹介。数々の記録と記憶をつくってきた、伝説のアスリートたちは、挑戦する気持ちこそが、あらゆる壁を乗り越える原動力になることを私たちに示してくれます。

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フリースタイルパークを沸かす16歳!BMXライダー中村輪夢はどこまで高く跳ぶ!?

朝倉奈緒

昨年、東京2020の新種目に決定したBMXフリースタイルパーク。そのニュースとともに、若きトップライダーに注目が集まった。ゼロ年代生まれ、16歳のBMXトップライダー・中村輪夢 (なかむら・りむ) だ。

生れながらのニューヒーロー?

BMXライダー・中村輪夢 (なかむら・りむ) 画像提供:First Track Inc

彼の強みは、なんといってもジャンプの高さ。BMXフリースタイルを観たことがあってもなくても、バイクと彼とがひとつになり、軽やかに空中に舞い上がる様を観たら、思わず感嘆の声を漏らさずにはいられないだろう。

若干13歳で、エックスゲームの本場・米国の世界大会 (RECON TOUR [13-15歳クラス] / 2015) で優勝した後も輝かしい成績を納め続け、トップライダーとしてのその実力に、エクストリームスポーツではお馴染みのレッドブル社、オークリー社など数多くの企業がスポンサードしている。

それに、誰もが応援したくなるキュートなマスク。テレビ番組等だけでなく女性誌の取材があるのも頷ける、新世代のヒーローである。

HERO X 編集部がインタビューをしたのは、昨年のこと。15歳 (取材時) の中村輪夢は、少年から青年へと変化する、そんな表情をしていたように思う。「仲間と日本のエクストリームスポーツの未来について語ったりは?」という大人の愚問を、「まさか!」と無邪気にかわし、内なる野心も具体的な言葉で表すことは少ない。しかし10代半ばとは、大人たちよりずっと敏感に自分自身を見つめ、推し量り、向き合うことを日々行える年齢でもある。その探り方は、感覚値かもしれないが。

数々の質問を投げかけた際、いつも一瞬の静寂がある。空中に舞い上がり、トリックを決めるあの一瞬のように。在るが儘に、しかしきちんと「決めて」答えを示すその様や、「間」の取り方に、BMXが染み入るように身体に馴染んでいることを感じた。

「テクニックを磨くにはどんな練習を?」との問いに、「毎日1cmでも、意識して高く飛べるようにしている」と、ふんわり答える中村だが、それもそのはず。中村輪夢は、元BMXライダーで、現在BMX専門店を経営している父・中村辰司さんの影響で、3歳から自然とBMXに乗り始めた。輪夢の名は、車輪の一部「リム」にちなんで辰司さんがつけたものだ。

「乗っていることがあたり前で、乗っていないことが不自然」というくらい、もはやBMXは彼にとって身体の一部のような存在なのだ。

殺さず、静かに。

BMX競技のフリースタイルパークとは、もともとスケートボーダー向けに作られた、“バンク” と呼ばれる斜面や、“ランプ” (ハーフパイプ) など、大小様々なセクションが設けられたスケートパークで、規定の時間内で技 (トリック) を競い合う種目。採点基準は、トリックの難易度やジャンプの高さ、独創性やスタイル、多様性や達成度など多岐に渡り、スピードや完成度だけでなく、オリジナリティやパフォーマンス力も問われる。

中村の強みであるジャンプの高さについて、「通常なら減速してしまう、ランプのRの部分。輪夢はそこが他の選手と違う。身体をうまく使い、上っていくときのスピードを殺さず、高さに還元できる。あれだけ高いジャンプから着地したときに、音もさせず次にスッと繋げるスムーズな動作も秀逸だ」と、マネージャーが彼に代わって解説する。

「全てを合わせるタイミングが絶妙で、ではなぜそれを可能としているのかといったら、感覚でやっているとしか本人には言いようがないですね」

この見解は、客観的に彼のライディングを観察しているからこそ見えてくることなのだろう。しかし中村本人にとっては、その「感覚」を掴むまで乗り続けることが、テクニックを磨き、目標を達成する一番の近道なのだ。

自分の実力に驕ることはない。彼はとにかく「乗る」ことに夢中なのである。

文平龍太氏がエグゼクティブプロデューサーを務める「CHIMERA GAMES vol.4」でのライディング

あと2年でどこまで飛ぶ?

現在高校2年生の中村輪夢だが、プロのBMXライダーとして活動しているため、学業は通信制度を利用している。朝から日が暮れるまで、スケートパークで思う存分練習に励める環境だ。

「自分のできることをひとつずつこなすこと。次の大会で自分の思い通りのライディングができるようになることが、いつも今一番近い目標です。そういった目標をオリンピックまでにひとつずつ立てて、クリアしていけたらいいなと思っています」

技がなかなか決まらなかったり、BMXのメカニック部分で気になることがあれば、父・辰司さんに相談することもあるという。米国メーカーに特注したという世界で一台のバイクは、軽くて強度が高い。練習量が多く、アクロバティックな技を駆使する彼のバイクは、日々、細部にわたる調整が必要だろう。バイクに不具合が生じたら、すぐに辰司さんが的確な処置をしてくれるという絶好の環境は、親子二人三脚というよりもプレイヤーと技術者の関係だ。

東京2020まであと2年。BMXなどストリートシーンからなる競技が、オリンピックというメインストリームの舞台で正式種目となれば、これからより広く注目されることになる。既にそのアイコンのひとりとなっている中村輪夢も、18歳・成人となる。どんなライディングを、エキサイティングな未来を見せてくれるのだろうか? そして、より高く飛んだ彼の未来が、これから楽しみでならない。

中村輪夢
BMXライダーBMXショッも経営している父親の影響、3歳から自然とBMXに乗り始める。5歳大会に初出場をすると、小学校高学年の頃にはキッ クラスにおいて全ての大会優勝。中学生でプロ転向を果たした。2015年にBMXの本場アメリカ行われたRECON TOURの13~15歳クラスにおいて優勝し、その世代の世界一となる。
2016年には世界の強豪も参戦したG-Shock Real Toughness優勝を飾り、日本中を驚かせた。
2017年の11月に開催された第1回世界選手権では最年少でファイナルに進出し7位入賞。12月に開催された第1回全日本選手権では初代チャンピオンに輝く。

主な成績
2015年 FISE World成都大会 優勝 (アマチュア部門)
2016年 RECON TOUR 優勝 (13~15歳クラス)
2016年 PERUGIA CUP 優勝
2016年 G-Shock Real Tougness 優勝
2017年 FL BMX Series 3位
2017年 JAPAN CUP大会富山大会 優勝
2017年 UCI UCIアーバンサイクリング世界選手権 7位
2017年 第1回全日本BMXフリースタイル・パーク選手権大会 優勝
2018年 UCIワールド杯広島大会 9位

動画転載元:Red Bull Youtube 公式チャンネル]
世界一クールな “通学スタイル”
【中村輪夢】BMX界の若きエースが学ラン姿で大爆走!? その笑撃の結末とは……
https://www.youtube.com/watch?v=ZmudxqA0lyY&t=6s

(text: 朝倉奈緒)

(photo: 長尾真志)

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