スポーツ SPORTS

MONTHLY PICK UP:進化するスポーツ観戦

HERO X 編集部

サッカー日本代表の久保建英選手のレアルマドリード入団や、MLBでの大谷選手の活躍、サニブラウン選手の100m9秒97の日本記録樹立など、盛り上がりを見せる日本スポーツ界。選手達が目覚ましい進化を見せる中、彼らを応援するためのスポーツ観戦の在り方も、テクノロジーによって大きな進化を遂げようとしています。近未来のスポーツの楽しみ方は、どう変わるのか。その可能性に迫った記事をご紹介します。

5Gサービス開始まであと1年!
NTTドコモが提案する新しいスポーツ観戦のカタチ

アメリカや韓国ではすでに商用化が始まっている5G(第5世代移動通信システム)。日本でも、2020年の本格サービス開始が予定されています。このような状況の中、NTTドコモではすでに、5G回線を活用した「ARライブ映像視聴システム」の実証実験をスタート。新技術で変わる、新しいスポーツの楽しみ方を、動画と共にご覧ください。

スポーツは「観戦」から「同化」するものへ。
高専生が生み出した『シンクロアスリート』の可能性

スタジアムでも、テレビの前でも、試合を俯瞰して見るというのが従来のスポーツ観戦のスタイルでした。そんな、スポーツを“見る”方法そのものを変えてしまうのが、東京高専のチームが開発した「シンクロアスリート」です。VRとモーションベースを活用し、アスリート目線の臨場感あふれる体験を提供する、新たなスポーツ観戦システムをご紹介します。

選手の緊張まで目で見える!?
パナソニックが観戦スタイルを進化させる
【2020東京を支える企業】

緊張や興奮など、選手の内面まで観戦できる。そんな新しい観戦スタイルを実現するのが、顔の皮膚の微妙な色の変化から心拍数を推定する非接触バイタルセンシング技術です。すでに、国内のゴルフ大会でも実証実験済み。今までスポーツ観戦に興味を持たなかった人々からも注目を集めています。

サイバー過ぎるパラスポーツ体験が熱い!
車いす型VRレーサー“CYBER WHEEL”

普段、健常者にとってはなかなか体験することが難しいパラスポーツ。それを実際にエンターテイメントとして体験することで、観戦する際の気持ちの入り方を変えてくれるのが、ワントゥーテンが手掛ける「CYBER WHEEL」です。最高速度は60kmを超えると言われる「車いすマラソン」の世界を、サイバー空間で体験できるこのスステム。すでに様々なイベントなどで、実際にチャレンジできる機会が増えて生きています。

来たるべきスポーツビジネスとイノベーションの未来は?
「スポーツテック&ビズカンファレンス2019」レポート

2019年から、ラグビーワールドカップ、東京オリンピック、ワールドマスターズゲームズと、3年続けてビッグなスポーツイベントが開催される日本。それに伴って、それに伴って、スポーツとテクノロジーを結びつけた今までにない観戦方法や医療の在り方、そして地方創生といった社会課題の解決策が提案されつつあります。「スポーツ×テック」で、何が生まれるのか。パネリストに山本太郎氏(ホーク・アイ・ジャパン代表)、澤邊芳明氏(ワントゥーテン代表)、モデレーターに河本敏夫氏(NTTデータ経営研究所)を招いた特別講演のレポートをお届けします。

(text: HERO X 編集部)

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世界初、サイバーアスリートの祭典の先にあるイノベーションとは【サイバスロン】

中村竜也 -R.G.C

パラリンピックを見ていても感じるように、障がい者スポーツ選手の活躍が目覚ましい昨今ですが、その陰にはもの凄いスピードで進化をしている最先端技術の存在があります。その技術を義肢や車いすなどに応用し、競い合う大会・サイバスロンが、昨年開催されました。

技術の進化が目指すバリアフリーな世界

2016リオデジャネイロオリンピックが閉幕した2ヶ月後、スイスのチューリッヒにて開催されたサイバスロン。この大会は、“サイボーグのオリンピック”や“バイオニック・アスリートたちのオリンピック”とも言われ、技術開発者と障がい者の議論の促進やロボット工学を駆使した補装具の普及を目的に、チューリッヒ大学・スイス国立コンピテンスセンター・ロボティクス研究所教授のロバート・ライナー氏の発案により実現されました。

第1回大会の競技種目は、脳コンピュータインタフェース(BCI)レース、機能的電気刺激(FES)自転車レース、強化型義手レース、強化型義足レース、強化型外骨格レース、強化型車いすレース全6種目で競われ、世界25ヶ国から70チーム以上のチームが参加。日本からは、株式会社メルティンMMI、和歌山大学サイバスロンプロジェクトRT―Movers、株式会社サイボーグの3組が、それぞれの最先端技術を試すべく出場し、目覚ましい活躍を果たしました。

しかしながら、この素晴らしい競技会のことは、まだまだ一般的にはあまり知られていないという課題もあります。一説によると、「名前だけ聞いたことがある」人を含めても、認知率はわずか2割弱にすぎないと言われています。そこを踏まえた今後の課題として、世界中の障がい者や技術者、そして一般の人たちにも広く知ってもらうことで、単なる競技会にとどまらない可能性を展開していくことに期待が寄せられているわけです。

その期待とは、健常者と障がい者の差を縮小することで、共生社会の実現というソフト面での貢献と、AI、センサー、モーター、素材、制御機能など、多岐にわたる最先端技術の開発加速化というハード面での貢献の両面と、各方面への技術の応用が可能ということ。たとえば、超高齢化社会を迎える日本にとって、障がい者だけではなく、高齢者や介護者に活かすことも可能なのです。また、農作業や工場での作業支援、日本が抱える大きな問題でもある原発等の危険区域での遠隔操作など、産業界にとっても非常に重要な意味を持っています。

HERO X編集長 杉原「実際にスイスでサイバスロンを観戦し、実装という部分では、描いている未来ってそんなに遠くないんだろうなというのは、すごく感じました。そして、4000人もの観客がアリーナを埋め尽くし、規模は違えど、サッカーのワールドカップを応援しているかのような熱量で参加者を応援しているのを目の当たりにしたら、この分野の発展を期待せざるを得ないですよね。だからこそ、次大会に参加するであろう、今回にも参加したプレイヤー達と、新規のプレイヤー達が見せてくれる技術の進化が楽しみでしょうがないです。また、国や企業の姿勢もどう変わっていくか気になるところですね」。

現在、東京2020を前にし、2019年に日本でのサイバスロン大会も噂されています。大会まであと2年。サイバスロン次回大会が単なる競技会にとどまらず、技術開発を加速させ、商品化へと急速に向かう世界がその先にあることを願います。

(text: 中村竜也 -R.G.C)

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