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視力を失ったスケートボーダーが再び宙を舞う!「PROJECT BISHOP」に迫る

Yuka Shingai

Not Impossible Labsは「HELP ONE,HELP MANY」の哲学のもと、ありとあらゆる社会問題に対してテクノロジーでのソリューションを提供するプロフェッショナルチームだ。2018年の夏に始動した「PROJECT BISHOP」では、視力を失ったスケートボーダーの復帰を実現した。「永遠に不可能なものなんてない」と謳う彼らのプロジェクトに迫ってみよう。

スケートボーダーのJustin Bishopは25歳の時に網膜色素変性を患い、左目の視力を完全に失い、右目は網膜剥離となった。目の端で物の形と影のみを感じることはできるが、視力を失ったことで悲しみに暮れたJustinは、しばらくスケートボードから遠ざかることになった。

そんな彼を再びスケートボードの世界へ連れ戻したのはNot Impossible Labsのチームメンバーで、自身もスケートボーダーであるJovahn Bergeronだった。Not Impossible Labsの創設者、Mick Ebeling氏が不条理だと感じるものや、不条理な想いをしている人に向けて立ち上げた「Abusurdity Project」のアイデアを集める中で、Jovahnは「Justinが、かつてのようにスケートボード界にカムバックできるような解決策を生み出したい」と発案し、Justinにプロジェクトへの参画を持ちかけた。

視力を失ったJustinがスケートボードをするためには、遠近感を伝え、自分のいる環境を理解する必要がある。そこでプロジェクトが作り上げたのは、ビープ音とともに方向指示を行うビームを出す小さなスピーカーだ。Mickいわく「Justinのスケートボードはすごくスピード感があってあっという間に移動してしまうから、高速かつ正確にナビゲートできる必要があった」と開発の苦労について語っている。

またJustinも「音がどのように聞こえるかで自分がスケートしている様子が頭の中に思い浮かぶようになったよ。サウンドスケープ(音の風景)って感じだね。ただ、Not Impossibleは僕が再び宙を舞うテクノロジーを作り出したわけだから、それはすごく危険なことだと思うけど」とスケートボードの世界に戻った喜びを感じているようだ。当該のメンバーは「このプロジェクトの成果はテクノロジーではなくて、Justin本人だと思う。彼がエキサイティングなことをどんどん導いてくれたからね」と語る。

「HELP ONE,HELP MANY」が示すように、世界を大きく動かすのは、たったひとりの変化なのかもしれない。

[TOP動画引用元:https://youtu.be/1NFXAAvVpUE

(text: Yuka Shingai)

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全米王者のジャリッド・ウォレス。新・相棒は世界最速の日本製サイボーグ!?

岸 由利子 | Yuriko Kishi

2015年、2016年の全米選手権チャンピオンで、世界パラ陸上選手権優勝経験者のジャリッド・ウォレス選手は、米国・ジョージア州生まれの27歳。

高校時代は州大会の800メートル、1600メートルで優勝を収めるも、7年前、コンパートメント症候群により右足を余儀なく切断することに。「足を失ってから、世界で一番速いスプリンターになりたいと思っていました」―そう語るウォレス選手が、新たに手を組んだパートナーは、Xiborg(サイボーグ)社。なんと、競技用義足の主流を担う欧州企業ではなく、日本でその開発を独自に行うメーカーだったのです。

多くのトップアスリートと同じように、アイスランドのオズール製の競技用義足を長年使用していた全米王者のウォレス選手ですが、どうやら、“履き替え”の時が来たようです。Xiborg社との出会いが実を結び、今年5月に共同開発契約を締結。2017年シーズンから、ウォレス選手が、同社製の義足で試合に出場することはもちろん、練習や試合での使用感などのフィードバックを活かした義足開発を進めていく方針です。

5月21日(日)に等々力競技場で行われた「セイコー ゴールデングランプリ陸上2017川崎」では、同社製の義足を履いたウォレス選手が、パラリンピック種目男子100メートルT44(下肢切断)で初のお目見えをし、11秒17でみごと優勝。

リオパラリンピック同種目では、金メダル最有力候補と叫ばれていましたが、悔しくも、結果は5位に終わりました。「それはもう過去のこと。今年からXiborg社の義足を使うことを決め、これまで以上コンスタントに早く走れるように頑張ります」と前向きな姿勢で未来に挑むウォレス選手。

Xiborg社との契約を発表するにあたり、ウォレス選手は、次のようにコメントしています。

「私たちの競技はトレーニングするだけでなく、義足というテクノロジー、またそれを扱う技術が非常に重要です。Xiborg社が持つ技術と経験は、私の夢の実現、つまり世界が見たこともないくらいに速い義足スプリンターになるための重要なパートナーになることでしょう。この義足とともに東京パラリンピックで私たちの夢を叶えたいと思います」

「最近は日本人選手の活躍に注目されがちですが、“日本の技術”が世界の舞台で活躍し注目される場にもなって欲しいと考えています」と語るのは、同社代表の遠藤謙氏。全米王者のウォレス選手のさらなる活躍によって、“メード・イン・ジャパン”の競技用義足テクノロジーの素晴らしさに、スポットライトが当たる日は、そう遠くないのかもしれません。

(text: 岸 由利子 | Yuriko Kishi)

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