福祉 WELFARE

心と体を動かしに行こう!ヒューマンライツ・フェスタ東京2018 12月8日・9日開催

HERO X 編集部

東京2020オリンピック・パラリンピックを契機に、誰もが幸せを実感できる都市を目指す東京都は、「オリンピック・パラリンピックと人権」をメインテーマに「ヒューマンライツ・フェスタ東京」を12月8日㈯からの二日間、東京国際フォーラムで開催する。

ダイバーシティー、多様性を認める社会と具体的にどんなことなのか。体と心を動かすイベントで人権の大切さについて考え、理解を深めてもらおうと、東京都主催で行われるイベント。当日は、障がい者クライミングの普及活動を通して多様性を認め合えるより成熟したユニバーサル社会の実現を目指すNPO法人「モンキーマジック」が、「見えない壁だって、超えられる」をコンセプトに仮設ボルダリング壁を設置、ボルダリング体験イベントを開催するほか、バンクーバーパラリンピックでパラアイスホッケー日本代表として活躍し、銀メダルを獲得した上原大祐氏の講演などが行なわれる。また、人権を考える映画として「SING/シング」の上映会も行なう予定だ。いずれのイベント、講演も参加費無料。
詳しくはヒューマンライツフェスタ2018特設サイト https://hrf-tokyo-2018.com/

「ヒューマンライツ・フェスタ東京」
12月8日(土) 午前11時~18時
12月9日(日) 午前10時~17時
東京都国際フォーラム
ホールD7・D5・D1・地下広場・ロビーギャラリー(ガラス棟)

[TOP画像引用元:https://hrf-tokyo-2018.com/

(text: HERO X 編集部)

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福祉 WELFARE

今、必要なのは勇気とスピード感。元F1ドライバー山本左近の視点 前編

宮本さおり

いつになく、緊張の面持ちのHERO X編集長・杉原行里。今回はカーレースの最高峰、F1で活躍、現在は社会福祉法人の理事、政治家としての顔ももつ山本左近氏を訪ねてきた。レースや福祉の現場で積み上げてきた経験は今の活動に繋がっていると話す山本氏。どのようなつながりがあるというのだろうか。

F1が社会にもたらすもの

杉原:山本さんがご活躍なさった F1 に代表されるモータースポーツのテクノロジーは、エンターテイメントの側面にフォーカスされることがほとんどで、一般社会にどのように関わっているかが分かりづらいと思います。僕は仕事で車に関わるひとりとして、社会に落とし込まれている、また、落とし込むことができるものがたくさんあると思っているのですが、どうでしょうか。

山本:落とし込まれているものは確かにあると思います。分かりやすい例を挙げると、自動車の運転操作でしょうか。昔の自動車はマニュアル自動車でしたよね。レーシングカーも初めはマニュアルだったのですが、いかに早くギアチェンジをするか、またロスを少なくするかという発想から、オートマチック、またはセミオートマチックのパドルシフトという技術ができてきました。今では一般の車でもオートマやパドルシフトがあることが当たり前になりましたが、これは F1 で培われた技術が一般に落としこまれた例だと思います。この技術によって運転操作が楽になり、運転を難しく感じていた人たちが運転しやすくなり、車がより身近なものになったと思います。

杉原:とってもわかりやすいです。僕は今、パラリンピックのチェアスキーの製作や、車いすマラソン用の車いすレーサー開発に関わっているのですが、パラリンピックには様々なアイテム、ギアが使われます。これらは F1 でいうところの車と同じ役割を担っているのではないかと思うのですが、パラリンピックで使われた技術が、今の話にあったパドルシフト的に社会に落ちていくという流れはどのようにお考えでしょうか。

山本:それはあって然るべきだと思っています。ただ、コストの問題はあるかなと。一般の人にとって素材的にそこまでコストがかかって強いものが必要であるのかということですよね。自分の生活において必要だと感じられるようになれば世間に広まっていくはずですが、広まっていくタイミングでコストは下がると思うので、技術を一般に浸透させていくには時間や技術的な全体コストが相応に低くなることが必要じゃないかなと思います。

杉原:そう思います。いくら高性能だからといって「みんなフェラーリみたいに強くて速い車いすに乗りなさい」っていうススメでもなく、人それぞれが思う価値に沿った「モノ」を選べるように、車いすなどにも比較対象や選択肢の幅がないといけないと思うんです。車もスポーツカーを好む人もいたり、乗用車がフィットするという人がいたり、様々ですしね。そういった意味では、測定解析の重要性を感じていて、潮流として福祉製品って人がモノに合わせているのではないかと思っています。でも、モノが人に合わせることが大切だと思うんです。その転換期にきているなと思いますね。

上手にフィードバックできるかが大きな分かれ道

山本:そういった意味でいうと、モノと人、双方のバランスが大事なのではと思っています。モータースポーツの世界では、ある部分ではドライバーが車に合わせるけれども、車をドライバーに合わせるということもとても大事な要素で、どっちも大切なんですよ。車と人がどうバランスをとっていくかが重要になるのです。

杉原:だからドライバーで優秀な方ってちゃんとフィードバックできるんですよね。F1 の仕組みの良いところだけをとって福祉に活かせたらなと思うのですが、どうでしょうか。

山本:そうですね。例えば、モータースポーツが他のスポーツよりも進んでいるところがあるとすれば、データ解析の分野だと思うのですが、この部分はもしかしたら福祉にも転用できる可能性があります。。自動車レースでは、80年代からすべてのデータを取り始めて可視化していました。これからさらにセンシング技術が進むことによって、これまで見えていなかった課題が見えるようになる。感覚値でなくデータで見える化することは、これからの時代でより注目されることだと思いますし、データかの技術は福祉用具をつくる上でも使えるものだと思います。

利用者を観察した結果から生み出された介護食

https://sawarabigroup.jp/happyfood/

杉原:話は飛ぶのですが、山本さんを F1 ドライバーや政治家としてだけでなく、「介護食をおいしくて楽しいものにした人」という印象が強い方もいると思うんですよ。僕、お酒飲むんですけど、あれを見た時につまみとしてすごいおいしそうだなと思ったんですよ(笑)。

山本:おいしいですよ(笑)。

杉原:一口でスプーンで食べれる、エンターテイメント性を踏まえてしかもビジュアルもいいじゃないですか。なんか中華料理の高級なやつみたいな感じがして。でも介護食としての機能性はきちんとあり、食べやすくなっている。もうコミュニケーションが最高ですよね! あれを作ろうと、なにか突き動かすものがあったんでしょうか?

山本きっかけは、自分が理事を務める社会福祉法人の「さわらび会」で出会ったひとりの利用者さんがきっかけでした。ある時、利用者さんから折り紙で作った花とメッセージをいただいたんです。すごく嬉しくてお礼の挨拶に行こうとしていたのですが、時間が許さず、そうこうしているうちにその利用者さんは亡くなってしまって…。ものすごく後悔しました。その後悔は、自分に何ができるかを問うたきっかけとなりました。そこで考えたのが介護食なんです。自分が食べてみた時に「おいしくない」「これは明日も食べたいとは思えない」と感じました。幸せに生きるために食事が喜びのひとつならば、栄養学的に完璧であってもおいしさという楽しみを奪うものではいけない。

ただ、おいしいという主観的なものはなかなか相手に伝わらないんですよ。そこで、おいしいものを作るには、1つの基準を作ればいいと思いました。基準を作るために科学的なアプローチが必要だと思ったんです。その科学的なアプローチが分子調理だったんですね。その分子調理を分かりやすく、アイコニックなものでみんなに知ってもらおうと思い作ったのが「にぎらない寿司」なんです。

後編へつづく

山本左近
愛知県豊橋市出身。1982年7月9日生まれ。36歳。豊橋南高校卒業、南山大学入学。1994年、レーシングキャリアスタート。2002年、単身渡欧しF3参戦。2006年、当時日本人最年少F1ドライバーとしてデビュー。以降2011年まで欧州を拠点に世界中を転戦。2012年、帰国後ホームヘルパー2級を取得。医療介護福祉の世界に。医療法人・社会福祉法人 さわらびグループの統括本部長就任。 現CEO/DEO。全国老人保健施設連盟政策委員長。自由民主党愛知県参議院議員比例区第六十三支部長。

(text: 宮本さおり)

(photo: 増元幸司)

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