“3Dプリンター元年” といわれる2013年、オバマ前大統領が一般教書演説で「The 3D Printing that has the potential to revolutionize the way we make almost everything. (3Dプリンターはものづくりに急激な変化をもたらす可能性がある)」と語ったのがきっかけで、3Dプリンターへの注目度が一気に高まった。それからわずか5年。人間の器官の実用化が、サンフランシスコにある“PRELLIS BIOLOGICS”社により、想像より早く実現するかもしれない。
研究メンバーであるMelanie Matheu氏とNoelle Mullin氏によって2016年に設立された“PRELLIS BIOLOGICS”社は、主に体内の組織に栄養を供給するための人工毛細血管の開発を行っている。なぜなら毛細血管の構造の解明は、心臓、肝臓、腎臓、および肺を3Dプリンターで印刷するために最も重要な研究のひとつで、このパズルを解かない限り実用化には繋がらない事項だと考えているからである。
通常このような人工的な器官を実際に生物へ移植するためには、その器官が適切に機能するかを確かめるため段階的に、生体触媒を用いて生化学反応を確認するバイオリアクターで検査をしなければならない。しかし、彼らが開発しようとしている3Dプリント器官は、サンプル組織や小さな細胞サンプルのレベルではなく、完全なる器官を生産することを目指しているというから驚きだ。
今後同社は、5年以内で3D印刷された器官を市場に送り出すことを目指していることを発表した。この研究の成果によっては、多くの人命を救うことができる世の中になるだろう。決して不老不死も夢ではない。