コラボ COLLABORATION

さあ、崖っぷちからの大逆転へ!夏目堅司×RDS社【世界に1台の高速系マシン開発】Vol.1 後編

岸 由利子 | Yuriko Kishi

「ピョンチャンでメダル獲得を確実視されている3人の日本選手たちのように、僕も得意種目を伸ばして、メダル獲得を目指していきたい」。チェアスキーヤーの夏目堅司選手がこう語ってくれたのは、今年4月、長野県白馬八方尾根スキー場で会った時だった。あれから半年、海外各地での合宿とトレーニングを着実に積んでいく一方、彼が所属するRDS社では、世界に一台の“夏目マシン”の独自開発が全力投球で行われてきた。刻一刻と迫るピョンチャンパラリンピックに向けて、万全の体勢が整いつつあるかと思いきや、ここに来て、先例のない大きな壁にぶち当たっているという。夏目選手の前に立ちはだかる壁とは、一体何なのか。ヨーロッパ遠征を間近に控える中、RDS本社で話を聞いた。

ライバルは、夏目堅司。
自分と戦い、自分を乗り越えていきたい

チェアスキー界をけん引し続ける森井大輝選手は、ファンを魅了するだけでなく、世界中の選手たちが憧れを抱く最強の覇者。皆、少しでも彼に追いつこうと、その背中を追いながら、研鑚を積んでいる。夏目選手もその一人。遠征の先々では同じ部屋で過ごす同志であり、良きアドバイスをくれる師でもある。

「おそらくチェアスキーにおいては、誰よりも敏感で繊細な人だと思います。一度、森井君が、僕のマシンに乗ったことがあるんですが、先ほどお話した“しなり”をすぐに見抜きました。『これ、柔らかいよ』と言って、何がどう柔らかいのかを具体的に説明したんです。目に見える、見えないに関わらず、誰も気づかないような違和感も、彼には手に取るように分かってしまう。マシンに関するこだわりや熱量は、圧倒的に凄まじいです」

「森井君は、たくさんのアドバイスしてくれる、僕にとって貴重な存在です。僕の滑り方を見て、気づいたことを逐一指摘してくれるんです。それらによって、今の僕があると言っても過言ではありません。見習うところは多いですし、もし、彼のような敏感なセンサーがあれば、今みたいに壁にぶち当たることもなかったかもしれません。でもそれって、きっと天性のものでしょうね。自分は自分で、ベストを尽くしていきます」

今、夏目選手のライバルは、他でもない自分自身だ。タイムリミットが迫る中、ひたむきに自分と戦い、何とか自分を乗り越えていく。その先には、きっと彼にしか掴めない栄光があるはずだ。今日の己が昨日の己を打倒し、下克上達成なるか?今後もその活躍を追っていく。

前編はこちら

夏目堅司(Kenji NATSUME)
1974年、長野県生まれ。白馬八方尾根スキースクールでインストラクターとして活躍していたが、2004年にモーグルジャンプの着地時にバランスを崩して脊髄を損傷。車いす生活となるも、リハビリ中にチェアスキーと出会い、その年の冬にはゲレンデへの復帰。翌年、レースを始め急成長、わずか1年でナショナルチームに入り2010年バンクーバー、2014年ソチへの出場を果たした。

(text: 岸 由利子 | Yuriko Kishi)

(photo: 増元幸司)

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HEROQUEST ワクワクする聴く冒険プログラム#84 #85

HERO X 編集部

ワクワクする未来の社会を創造する聴く冒険プログラムをお届けする。ZIP FM オフィシャルPodcast番組「HEROQUEST」。この番組では、「社会の課題」を解決し、「未来の社会」のインフラを整える開発者やエンジニア、起業家たちを「HERO」として迎え、いま、起きている「進化」の最前線を紹介する。

今回のゲストは、株式会社GiftX代表の飯髙悠太さん。ギフト(贈り物)マーケットが抱える課題や、GiftXが提供するソーシャルギフトサービス「GIFTFUL」について伺う。

送り手がギフトを選んで贈り、それを受け取り手が受け取る。従来のギフトのしかたでは、もらったものが好みでない、既に同じ物を持っているなどの理由から、せっかく贈られたギフトが使われず、廃棄されてしまうことも。送り手のギフトに込めた思いは届けながら、受け取り手がオンラインでギフトを選び直せるサービスが「GIFTFUL」だ。

もともとIT業界で仕事をしていた飯髙さん。新たなギフトサービスを立ち上げようと思ったきっかけや、飯高さんが手がけてきたSNSマーケティングにおける変遷を辿りながら、なぜいまソーシャルギフトが求められているのか、マーケットの需要に迫る。

<ゲストプロフィール>
株式会社GiftX 代表・飯髙悠太
ベーシック執行役員、ホットリンク執行役員CMOを経て2022年6月に株式会社GiftX創業。複数のWebサービス・メディアの立ち上げや100社以上のコンサルティングを経験。自著は『僕らはSNSでモノを買う』、『アスリートのためのソーシャルメディア活用術』、『BtoBマーケティングの基礎知識』。

「HEROQUEST」はポッドキャストで無料配信中
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未来の社会をデザインするHEROを迎える【聴く冒険プログラム】。

今回お迎えするHEROは
受け取り手が選び直しできるソーシャルギフトサービス「GIFTFUL」を展開する
株式会社GiftXの飯髙悠太さん。

【飯髙悠太さん】
・これまで複数のWEBサービス、メディアの立ち上げや100社以上のコンサルを経験。
・2022年6月に GiftXを創業されました。

日本のギフトマーケットの規模とは?!
そのマーケットの中で
新しい体験とコミュニケーションを生み出す「GIFTFUL」のサービス、
そして、その体験が創出する優しい社会を冒険します!

https://zip-fm.podcast.sonicbowl.cloud/podcast/46407779-eadd-49f1-9d5c-bbde346ddb7c/

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次回のゲストは、ビジネス特化型メタバース「Conecti」の開発、提供を行う株式会社Conecti 代表のFROGMANさん。順次放送を開始する。

(text: HERO X 編集部)

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