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たぶん、きみの想像を超えてるよ。車いすで宙を舞う「WCMX」が、かなりエクストリーム

朝倉 奈緒

WCMX(Wheelchair Motocross)とは、エクストリームスポーツのひとつであるBMX(Bicycle Motocross)競技のフリースタイルを、いわば車イスに乗って行うもの。車イスを使えばどんな年齢、身体障害のレベルの人にも開かれており、世界的なスポーツとして急成長中の競技です。

今年も4月22日と23日に、“RISE Adaptive Sports”プレゼンツにてWCMXの世界的な大会「WCMX WORLD CHAMPIONSHIP 2017」(以下WCMX2017)が、アメリカ テキサス州グランドプレーリー市にあるAlliance Skate parkにて開催されました。この大会の様子は、RISE Adaptive Sportsのwebサイトで終始ライブストリーミング配信され、その熱狂ぶりをオンライン環境であれば、誰でもフリーで観覧することが可能でした。WCMX2017ではビギナー、ミドル、プロフェッショナル、ウィメンズの4部門と、身体障がい者スケートボードの競技者が世界中から集まり、子供から大人までRISEスタッフの手厚いサポートのもと、それぞれが存分に自身を表現する場として力を発揮しました。

©️Aaron Remkus / RISE Adaptive Sports

WCMXのワールドチャンピオンとしても名高い“Wheelz”ことアーロン・フォザリンガム氏も本大会に参加し、オリジナルでカスタムした車イスを巧みに操り、圧倒的なパフォーマンスを見せつけて会場を湧かせました。

カスタムしたり、特注した車イスをBMXライダーやスケートボーダーと同じように、自分を表現するツールとして乗りこなすWCMXライダーたちの表情は生き生きとしています。他のエクストリームスポーツが、ストリートカルチャーとリンクして徐々に認知され始めた日本でも、WCMXがより身近なスポーツとして観戦される日が近いのではないでしょうか。そのためにもRISE Adaptive Sportsのような団体がしっかりとサポートしていくことが求められます。そして、アーロン氏のようにカリスマ性のある選手の存在が、同じ境遇の子供や大人、また全ての人に、WCMXというボーダレスなエクストリームスポーツを楽しみ、挑戦するきっかけとなってくれることでしょう。

写真提供:RISE Adaptive Sports

(text: 朝倉 奈緒)

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IPC&WOWOWパラリンピック・ドキュメンタリーシリーズ『WHO I AM』シーズン5 伊藤智也選手が登場

HERO X編集部

IPC(国際パラリンピック委員会)とWOWOWの共同プロジェクトとして立ち上がった、パラリンピック・ドキュメンタリーシリーズ『WHO I AM』。2016年から東京パラリンピック大会開催に向けて、毎年世界最高峰のパラアスリートたちに迫るスポーツドキュメンタリーシリーズを放送してきた。

本誌編集長・杉原行里との対談で、『WHO I AM』プロデューサーの太田慎也氏は番組に登場する選手らに共通することを以下のように語っている。「みんなが強烈に“自分”を持っている。そしてとにかく選手たちの言葉が力強い。その言葉は、障がいとは関係なくどんな人にも通じる言葉だし、普遍的なフィロソフィーとして発せられている。僕らはその瞬間を捉えて番組に詰め込みたいんです」

また杉原からの「僕は身体と技術の融合こそ、パラリンピックに欠かせないことだと信じていますから」という言葉に対して、太田氏は「ストーリーの中でギアが重要であればもちろん取材したいと考えています」と語り合う場面もあった。

記事を読む▶WOWOWスタッフが、「WHO I AM」で伝えたいこと、見えてきたこと

あの対談から3年、『WHO I AM』は2021年8月14日から待望のシーズン5の放送が決まり、8/14(土)・15(日)・21(土)・22(日) 午後4:30より、4日間で全8回一挙放送される。そして明日8/21(土)回には、RDSが競技用マシンの開発に関わった車いす陸上アスリート、伊藤智也選手が登場する。

伊藤選手が難病の多発性硬化症を発症したのは34歳の時。その翌年から陸上をはじめ、アテネ・北京・ロンドンパラリンピックに出場し、金メダル2個、ロンドンパラリンピックでは銀メダル3個を獲得した陸上競技のレジェンドだ。

一時現役を退いたものの、ブランクを跳ね除け、2019年に2020年東京オリンピックへの出場が内定した。その競技用車いすの開発を手掛けるのが、株式会社RDSだ。実は伊藤選手の現役復帰は、杉原の「あなたの体に合ったマシンを開発したら金メダルを獲れますか」という問いかけがきっかとなっているという。

新型コロナウイルスの影響もある中、病気の再発による命がけの困難を乗り越えて、この8月、「帰ってきた金メダリスト」として再び金メダルを狙う伊藤選手。身体と技術の融合で金メダルをめざす伊藤選手の姿に注目したい。

(text: HERO X編集部)

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