テクノロジー TECHNOLOGY

地球の裏側にあるものだって触れられる!テレロボティクス最前線をマーク!

Yuka Shingai

力、振動、動きなどを利用者に伝え、皮膚感覚フィードバックを得る「ハプティクス」はこれまで視覚中心だったバーチャルリアリティシステムの核となりつつあるテクノロジーだ。どれだけ離れた場所、それが地球の裏側にあるものでも「触った感覚」を体験できる画期的なシステムが、3つの異なる企業のコラボレーションによって誕生した。

まずはシアトルのスタートアップ、HaptX社によるグローブを装着してみよう。イギリスのロボットメーカー Shadow社製のロボットハンドが実際に物体に触れ、ロサンゼルスに拠点を置く SynTouch社製のセンサーが再度グローブにものを触った感覚を伝達する。ロボットハンドの動きはものに触れるだけではなく、コップに水を注ぐ、ルービックキューブを回す、財布からお札を抜き取るなど、かなり細かく、精密に制御されているようだ。

テレロボティクスの最先端を行くこのプロジェクトは、ビジネス、テクノロジー関連の媒体や識者からも注目を集め、アマゾンのCEO ジェフ・ベゾス氏は「触覚のフィードバックが不思議なくらい自然で驚異的」と評している。遠隔操作を目的としたデバイスだけに、実際の開発もロサンゼルス、ロンドン、マドリードとそれぞれの企業がリモートワークで進めたというのも非常にユニークだ。

本プロジェクトに出資するANAグループの共同ディレクター、Kevin Kajitani氏は「このテクノロジーは世界中がいかに繋がって、コミュニケーションを取り、リソースをいかにシェアするかに革命を起こすはず」と語っている。エアラインや交通だけではなく、製造業や農業、医療など、テレロボティクスがリーチできる距離はどこまでも伸びていきそうだ。

[TOP動画引用元:https://youtu.be/3rZYn62OId8

(text: Yuka Shingai)

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テクノロジー TECHNOLOGY

健康管理は「歩き方」で見る時代へ。子どもの歩行も診断・マイクロストーンの「歩行健診」

HERO X 編集部

「歩き方」が健康に関係するということは、以前からいわれていた。そこまで大げさな話ではなくても、健康のためにジョギングやウォーキングを始めたけれど、なぜか膝や腰が痛い、といった経験をしている人は少なくない。しかしその結果、運動がおっくうになってしまったら、かえって逆効果だ。マイクロストーンの「歩行健診」では、センサーをつけて歩行をすることで、歩行の問題を検出することができる。センシング技術の発展で、ついに歩き方を客観的に見ることができるようになったのだ。

身体にとりつけた2つのセンサーで
歩行をスピード診断

長野県に拠点をもつマイクロストーン株式会社の「歩行健診」は、同社の「体幹2点歩行動揺計 “THE WALKING”」という機器を使い、歩き方が気になる人の歩行診断をするサービスだ。病院に行くほどではないけれど、ウォーキングをすると身体のどこかが痛くなる、長距離などの運動に取り組んでいるけれど足の使い方が気になっている…などの悩みを持つ人が、気軽に申し込める。また、子どもの歩き方がおかしい、気になるといった、保護者たちの悩みにも応えている。

健診方法は簡単だ。小型センサーを専用ベルトで背中と腰に着け、いつものように歩いてみる。10m以上、直線歩行すればOK。計測が完了するとパソコンで解析が始まり、わずか2分で自分の歩行の解析結果が見られる。正しい歩き方に比べ、自分の歩き方のどこにクセがあるかも、データではっきりと明示される。定期計測を希望する人には、エクササイズなどのアドバイスもセットで実施している。

同社では「THE WALKING」をリハビリ、人間ドックなどへ活用することも勧めている。歩行のクセや歩き方はなかなか自分でも自覚ができないものだが、センシング技術の発展で、歩くだけでデータが採取できるようになった。今まで原因が不明だった足や腰の不調も、歩き方を変えることで改善されていくかもしれない。理学療法士などが活用すれば、リハビリや装具の検証なども行える。

人生100年時代といわれる今、長く健康でいるためには、「歩く」ことを避けてはいられない。歩行が衰えれば、心身ともにあっという間に衰弱していくからだ。歳をとっても元気に歩き続けるためには、痛みや歪みのない歩き方を知っておくことも大切。歩行のセンシング技術は、国民全体の未病対策にもつながりそうだ。

(text: HERO X 編集部)

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