スポーツ SPORTS

世界初「義足の図書館」を! Xiborg社が中心となってクラウドファンディングを展開中

朝倉 奈緒

「義足の図書館」とは、義足歩行者が自分に合った競技用義足(=板バネ)を自由にレンタルすることができるシステム。これによって今まで走る機会を得ることができなかった義足歩行者が、再び「走る」機会に恵まれることになります。

「義足の図書館」は、ロボット技術やバイオメカニクスを用いた義足開発を行うエンジニア、遠藤謙さん率いるXiborgメンバー、アスリート、義肢装具士たちがクラウドファンディングサービス“Ready for “で訴求しているプロジェクト。自身も陸上短距離のパラリンピアンであり、Xiborgチームの一員である佐藤圭太さんも中心人物となり、このプロジェクトに取り組んでいます。

どうして「義足の図書館」が必要か? それは、義足歩行者が「走る」動作をするためには、以下の3つの原因でハードルが高くなっているからです。

「義足のつくり」・・・日常使っている歩行用とは別に、走行専用の義足が必要。
「価格」・・・板バネ1本あたり約20〜60万円と高価だが、試し履きできる場所がほとんどない。
「環境」・・・安全面を配慮し、陸上競技場など障害物のない場所での使用、また、怪我防止のため義肢装具士の同伴が必要。

このプロジェクトでは「義足の図書館」を、全天候型60m陸上競技トラックと同社の義足開発ラボラトリーが併設された「新豊洲Brilliaランニングスタジアム」内にオープンさせようと考えています。

そこには子供から大人までが使える、世界で多くの人が使用している各国義足メーカーの板バネが数種類並ぶ予定です。また、初めて板バネを使用する方や走り方を改善したい人のために、独自のトレーニングメニューの開発なども予定。
Xiborg社が開発している義足は「無い脚を埋める」以上に、自らの能力を引き出すことさえも可能にする義足です。

「義足の図書館」誕生によって、「走る」動作をしていなかった、したいけどできなかった義足歩行者に、新たな光が差すことになります。より多くの人が「走る」一歩を踏み出すことに近づくこのプロジェクトに、あなたもぜひ参加してみてはいかがでしょうか。

「足を失った人々が「走る」ことへ一歩を踏み出せる場を創りたい!」
プロジェクト締切: 2017年7月10日(月)午後11:00
https://readyfor.jp/projects/12669

(text: 朝倉 奈緒)

  • Facebookでシェアする
  • LINEで送る

RECOMMEND あなたへのおすすめ

スポーツ SPORTS

ゴルフより楽しいかも…トヨタ自動車が“ボッチャ”にはまった!【2020東京を支える企業】

宮本さおり

オリンピック、パラリンピック、スペシャルオリンピックスこのすべてのワールドワイドなオフィシャルパートナーシップを持つのは現時点ではトヨタのみだ。そのトヨタは、国内では「日本ボッチャ協会ゴールドパートナー」と「日本車いすバスケットボール連盟オフィシャルスポンサー」としての支援も行っている。

ゴルフではなく「ボッチャ」を

パラスポーツ支援についてのトヨタ自動車の働きは、従業員による応援や運営ボランティア、全国各地の販売店を通じた競技の普及活動など、直接的なサポートも含めた多彩な活動が特徴だ。なかでも、従業員間での熱が高まっているのがボッチャ。障がいの有無や年齢、性別に関係なく楽しめるスポーツとして近年その知名度を上げているスポーツで、HERO Xでもたびたび紹介しているこのスポーツに従業員も首ったけになりだしたというのだ。

「オール経済界でオリパラを盛り上げる『オリンピック・パラリンピック等経済界協議会』の活動も進めており、弊社社長の豊田が会長を務めています。色々な垣根を越えてオリンピックとパラリンピックの精神を皆で学ぼうという試みの一つとして、昨年から、企業対抗のボッチャ大会Office de Bocciaを開きはじめたところ、すごい人気になりまして、東京、名古屋、仙台、福岡など全国主要都市ですでに何度か大会を開いており、弊社も参加させていただいております」と話すのは、トヨタ自動車でオリンピック・パラリンピック部 部長を務める伊藤正章氏。自身もなかなかの腕前だ。社内予選や、会社を越えた事前練習会を経て臨むチームもあり、さながら企業の選抜。各社工夫をこらしながら「オフィスでボッチャ」に取り組む。

これからはゴルフよりボッチャ!と笑顔で語る伊藤氏

トヨタでは愛知・東京の本社ビル内のレストランやロビー等にボッチャのコートを作り、従業員やお客様が気軽にボッチャを体験できるよう取り組んでいる。また、販売店の一部にコートを設け、車の購入に訪れた家族づれなどが楽しんだり、地域のパラアスリートの練習の場を提供したりしている。「こうした販売店内のボッチャスペースは今後も増やしていけたらと思っています」。今では各エリアともに社内の大会が行われるほど人気に。「経済界協議会のみなさんともこれからはゴルフではなくボッチャで交流をなんて呼びかけています」()

観戦でパラスポーツを盛り上げろ

トヨタ自動車の東京本社のロビー。ボッチャコートの反対には車椅子バスケットボールの展示がされていた

ボッチャのように自ら体験することでパラスポーツに親しむ方法以外に、応援という形でのパラスポーツの盛り上げにも力を注ぐ。アルペンスキー、陸上、水泳など、トヨタ自動車やグループ企業に在籍する従業員パラアスリートが出場する大会の応援を従業員に呼びかける取り組みも行っている。また、競技団体を支援しているボッチャや車いすバスケットボールを中心に、幅広く大会情報を社内で発信、従業員のパラスポーツ観戦の機会を増やしている。

本社のある豊田市で2017年に開催されたジュニア車いすの全国大会では約6000人のトヨタ自動車やグループ企業の従業員が観戦に訪れた。この大会、例年の観客数は数百人程度。会場を埋め尽くす歓声に「スゲー」と目を輝かせてプレーする未来のパラリンピアンたち、自然と試合も熱くなる。

「選手や連盟の方からは、かなり画期的なことだと言っていただきました。海外のジュニア大会で満席になることはあっても、日本ではまだ稀だそうです。はじめは見に行くようにと会社から従業員に動員をかけていても、2、3度見ると自発的に見に行く従業員が出てきます。パラ競技を広めるには、まず見て、触れて、知ることからではないでしょうか」と伊藤氏。そして、観客として見ることも、パラスポーツとの関わりのひとつではないかと話す。「半分仕事だと思って関わりはじめた従業員も、自分から楽しむようになっています。特にボッチャ、人気はすごいですよ」東京本社ロビーに設けられたボッチャコートで球を振りながら、笑顔で答えてくれた伊藤氏。各社の取り組みにより、ボッチャ旋風が巻き起ころうとしている。

(text: 宮本さおり)

(photo: 河村香奈子)

  • Facebookでシェアする
  • LINEで送る

PICK UP 注目記事

CATEGORY カテゴリー