彼の名は、アジア系フランス人の片足ブレイクダンサー・“B-Boy Hourth aka. Jean Sok”。そもそもブレイクダンスとは、1970年代にニューヨークのサウスブロンクス地区に住む若者たちの争いを、銃の代わりにダンスバトルで解決に導いたのが起源。その人間離れしたアクロバティックな動きは見ているものを虜にする魅力がある。
そしてこの“B-Boy Hourth aka. Jean Sok”は、シンボルマークとも言える松葉杖を、手足以上の動きを可能とした第五の肢として見事に使いこなすだけではなく、きっちりと音にはめながらフットワークやパワームーブを披露する。この世界トップレベルのブレイクダンスが認められ、過去にはシルク・ドゥ・ソレイユの『Michael Jackson The Immortal World Tour』への参加や、ビルボードミュージックアワードでのパーフォーマンスなど華々しい経歴へと繋がったのだ。
彼の信念である“believe your dream and never give up(夢を信じ諦めるな)”。言葉にするのは簡単だが、夢を追い続けることは並大抵のことではない。多くの人が年を重ねるにつけ利口に生きる道を選びがちになるが、彼のダンスを見ていると、自らを信じ戦い続けた者だけが知る景色を、なぜだかもう一度見たくなる。
「ライダーやファンを広げるためには、やっぱり国内に目標となる大会が存在することが大事なんです。今から20年前にKING OF GROUNDという大会を同じ気持ちの仲間たちと作りました。自分たちで大会を運営して、自分たちで優勝するっていう自作自演なんですが…(笑)。大会を続けることで、ライダーが増え、スポンサーが増え、取材メディアも増えて行ったんですね」
「選手の強化を考え、KING OF GROUNDではランキングの上位20人だけしかプロとして認められないのです。毎年下から上がってきた選手が増えるので、20位以下は振り落とされてしまう。一度プロになったら、ずっとプロでいられる訳ではなく、プロに上がってからがスタートラインなんです。その成果あってか、日本のフラットランドシーンは急成長を遂げ、世界で戦えるプロライダーが数多く登場しました。しかしながら優勝することで得られる見返りは欧米とは大きく違います。アメリカのX-GAMEとフランスのFISEという二大大会があるのですが、そこで活躍する上位選手は相当な報酬を得ることができるのですが、日本ではまだまだですね」