医療 MEDICAL

医療・介護は「非接触医療」のニーズが拡大中!

Yuka Shingai

コロナウィルスの感染患者を受け入れる医療機関において、医療従事者たちへの感染拡大を防ぐべく、患者と接触することなく診療できる非接触医療のニーズが高まっている。 マサチューセッツ工科大学の研究チームが開発したEmeraldは、無線通信により患者の呼吸と動作、睡眠パターンをモニターできるデバイスとしてマサチューセッツ州・フレイミングハムにある介護付き住宅や総合病院での使用が始まったところだ。

無呼吸状態も検知可能!
MIT発AI診断装置『Emerald』

『Emerald』はWiFiのような装置で、人の生体信号や睡眠、動きを推測するAIにより無線信号を分析する。無線信号が放出する放射線量は一般的な携帯電話の1/1000 程度で済むとのことで安心して使用できそうだ。介護住宅に導入された『Emerald』は患者の健康状態を非侵襲的にモニタリングして医師にデータを報告、医師は自宅にいながらにして呼吸と歩行のスピードから、患者の経過を追跡することができる。

『Emerald』はともすると気づかれない可能性が高い呼吸器系の問題の予見にも一役買っているようだ。医師の Ipsit Vahia氏いわく、不安からくる不眠症を患っている患者に対して『Emerald』を使用することで、患者が睡眠中に無呼吸に陥っていることを検知したとのこと。

「コロナウィルスによって、医療従事者たちが遠隔治療を提供するためのソリューションを探し求めるデジタルシフトが後押しされています。たった数週間で、『Emerald』のようなリモートセンシング技術が必要とされる緊急事態が生まれ続けているのです」とVahia氏が語るように、医療従事者も患者も同時に守るためのイノベーションが世界中で動き続けている。

日常生活を見える化する体動センサ
「安心ひつじα」

IoT、ICTを活用した遠隔での見守りは国内でもすでに導入事例が散見されている。福島県で医療機器製造販売をする株式会社エヌジェイアイが展開している「安心ひつじα」は、マットレスなどの寝具の下に設置することで、睡眠中の体動、心拍、呼吸、離床の4つを一度に計測できる機能を搭載した体動センサー。検知したデータはPCやタブレット、スマートフォンを通じて確認できるため、病院や介護施設、在宅介護の現場におけるオペレーションを改善・向上するほか、一人住まいの家族の見守りにも適したアイテムだ。
遠方、近隣に関わらず、思うように高齢者と面会できない今だからこそ、活動状況の可視化によって安心感を確保するのもひとつの手かもしれない。

医療や介護現場の持続可能性を大きく左右する非接触医療の躍進に期待したい。

(text: Yuka Shingai)

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スマホひとつで医師の診察が受けられる!5Gで進化する疾患管理システム「YaDoc」

HERO X 編集部

以前から注目されてきたオンライン診療。今までは対面での診療に代わる役割を果たすまでには至らなかった。しかし、通信5G化の時代を迎え、オンライン診療は急速に進化している。疾患管理システム・YaDoc(ヤードック)は、問診はもちろん、対面での医師の診察もスマートフォン上で可能。医療の常識は大きく変わりそうだ。

YaDocは、患者が手持ちのスマートフォンやタブレットで利用できるオンライン医療アプリ。自宅や遠隔地からも、このアプリを経由して主治医とつながることができる。利用できる機能は大きく3つ。治療に必要な体重、血圧、食事などの記録を患者が自分で入力する「モニタリング」。疾患ごとに設定された問いに患者が答えることによって、主訴を医師に伝えることができる「オンライン問診」。そして、ビデオ通話によって医師の診察を受けられる「オンライン診察」だ。

この中で最も注目されているのが、オンライン診察だろう。オンライン診察に関しては、従来から高齢者を中心に大きなニーズがあった。しかし、通信速度やハード面での制約があり、本格的な導入は難しかったが、スマートフォンでも5G対応の機種が次々発売されるようになり、患者は手持ちのタブレットやスマートフォンでビデオ通話をストレスなく利用できるようになったのだ。

YaDocはすでに、複数の医療機関に採用されているそうだ。オンライン診察は予約制なので、医師が余裕をもって患者を診ることができる。また、遠隔地に住む患者や、難病を抱える高齢者にとっては、通院による待ち時間を気にしなくていいのが最大のメリットである。さらに、自宅での受診が可能なため、通院を敬遠しがちな働き盛り世代の“治療ドロップアウト”をも防ぐことができる。特別なシステムを導入するのでなく、アプリをインストールするだけという点も利用者に評価されているとのことだ。

5Gインフラを活用することで、受診の敷居はグッと下がったといえよう。同じように5Gを利用したものとして、現在、スウォンジー大学が研究を進めているのが、以前もご紹介した「スマート包帯」。

http://hero-x.jp/article/4947/

患者が患部に巻いたスマート包帯から送られてくるデータを、遠隔地にいる医師が瞬時にモニターできる。

通院が難しい患者の治療に、今後はオンライン診療がどんどん活用されていくだろう。誰もが等しく、適切な治療をタイムリーに受けられる時代に。通信技術の進化で、その夢も叶えられそうだ。

 [TOP動画引用元:https://youtu.be/Q23oAs6X95Q

(text: HERO X 編集部)

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