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加速する空中バイク開発ドバイはすでに導入へ!日本販売はどこが先?【Mobility Watchers】

HERO X 編集部

映画『スターウォーズ』の登場人物たちが乗り回すジェットバイク「Speeder」に憧れた人は多いはず。そんな夢の乗り物が、各国からぞくぞくと登場している。昨年行われた東京モーターショーで脚光を浴びた株式会社A.L.I. Technologiesが開発を進めるのがこちらの動画に登場するバイクスタイルの乗り物だが、これら空中バイクの開発が各地で盛んになっている。

個人の娯楽用モデルも発売された
ロス発の空飛ぶバイク

ロサンゼルスに本社を置くJetPack Aviation社が手がけているのは映画に登場する乗り物の名前そのものを冠に取った『Speeder(TM)』。現在、個人向けにも予約販売を開始している。

同社は背中に背負う形の器具をつけると空中に飛んでいける「ジェット・パック」の開発でも実績がある会社で、昨年、エンジェル投資家などから約2億円の資金提供を受け、“空飛ぶバイク” 『Speeder(TM)』の開発に成功した。完全な垂直離着陸が可能なこのバイクは、最高で1,500フィートもの高度で飛べる。

同社ではレクリエーションタイプの「Ultralightバージョン」と、速度制限のない「Experimentalバージョン」の2タイプを用意している。「Ultralight バージョン」はパイロットのライセンスも必要なく、同社のトレーニングを受ければ、米国内で運転することができる。一方の「Experimental バージョン」は民間パイロットのライセンスが必要。

一般消費者が気になるのは、レクリエーションタイプの「Ultralight バージョン」だろう。使用者は飛行機の運転技術がなくても、バイクにまたがるのと同じ感覚で『Speeder(TM)』にまたがり、空を飛ぶことができる。モビリティに関しては近年、空中タクシーなどの構想も発表されているが、それを実現させる形になりそうだ。ただし、一般向けの予約販売台数はたったの20台。その後は軍や政府への提供を優先とし、個人への販売は行わないようだ。

ドバイ警察が採用したのは
ヘリのような空中バイク

こちらは、ドバイ警察が採用を発表し、話題を呼んでいるのはカリフォルニア州に本社を置くHOVERSURF社が開発したホバーバイク。紹介したこの動画の他、すでに飛行訓練の様子を映し出した動画も公開されている。1台150,000ドル(約1,700万円)。ドバイ警察では2020年から2年間で20〜30台を購入予定だと公表、もちろん、車に比べて高額だが、砂漠など、車では入りにくいエリアでの活用を見込んでいるようだ。ただし、現状の実機では飛行時間の短さが気になるところ。一度の充電で飛行できる時間はわずか10分から25分程度と言われており、改善の余地を残している。

まさかの同名!?
日本では別の会社のものが先行か?

これら空飛ぶバイク系の日本での販売については、道路交通法などをクリアする必要がある。また、名前の商標登録という思わぬ問題も出てきそうだ。例えば、日本では『Speeder』という名称で冒頭に紹介した株式会社A.L.I. Technologiesのホバーバイクが登録商標を取得済のため、JetPack Aviation社『Speeder』は、日本上陸時には違う名前になる可能性も高い。

株式会社A.L.I. Technologiesが手がけている日本版の『Speeder』もすでに実用化モデルが完成しており、海外からの予約を受けつけているが、海外ではJetPackAviation社がこの名前で登録済みというややこしい状況からか、株式会社A.L.I. TechnologiesのHPを見ると、別の名前で紹介されていた。日本では公道走行できるよう、すでに国交省などと調整中で、2020年の国内販売をめざしているとのこと。同名のややこしさを避け、海外版同様に別の名前となるか、日本版『Speeder』の行方が気になるところだ。

トップ画像 https://www.youtube.com/watch?v=sQnUp_0NBMk&feature=emb_title

(text: HERO X 編集部)

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“日本の車いすを変えた男” 株式会社オーエックスエンジニアリング創業者・石井重行【the innovator】後編

長谷川茂雄

バイクを愛し、エンジンやパーツの開発者としてだけでなく、モーターサイクルレースのライダー、ジャーナリストとしても活躍した故石井重行氏。株式会社オーエックスエンジニアリングを創業した同氏は、1984年にバイク試乗中の事故で脊髄を損傷した。そこから「既存の車いすは自分が乗りたいと思えるものがない」という理由で、車いす作りを開始する。その後、石井氏が手掛けたプロダクトは、いつしか世界中のパラアスリートが注目する唯一無二の“名機”として認められるまで進化を遂げる。と同時に、それまで日本で定着していた車いすのデザインや機能はもちろん、ユーザーやメーカーの価値観も一変させた。車いすの歴史を変えた男、石井氏の軌跡を追った。

国枝選手が使っているモデルは市販車

モノづくりが好きで人を巻き込む人間力もあった。やはり先代社長は、リーダー気質の人物だったということだろう。そもそも、そんな組織だからOXは、世界に通用するプロダクトを作り出せたのだ。東京2020が決まってから、スポーツ用車いすの競争も激化していると聞く。例えば国枝慎吾選手のようなワールドクラスの選手には、スペシャル仕様のモデルを開発しているのだろうか。

現在、国枝選手は新しいコンセプトの開発車に乗るようになりましたが、それまでは、どんな国際大会に出るときでもウチで普通にお客さんが買っている市販の競技用車いすを使用していました。開発車に関しても、ものすごい高額のものではありません。もちろんテニスの世界トップクラスになると、フルカーボンで1500万もするような車いすを使っている選手もいますが、それらが必ずしも良い結果をもたらすとは考えていないんですよ」

市販車ということは、2030万円台で買える車いすということだが、何度も国際大会で優勝を果たしている国枝選手が、市販車と変わらないスペックのものを使っているというのは驚きだ。加えて、世界では、超高額のプロダクトを使っている選手がいるというのも興味深い。プロダクトにかけたコストと結果は、必ずしも一致しないのだろうか。

「そうですね。ウチも作ろうと思えば、フルカーボン仕様の超軽量モデルは作れます。とはいえ、そういう高額な車いすを使っている選手にも、OXの市販車を使っている選手が実際に試合で勝っていますから、一概にフルカーボンだからいいとはいえないんですよ。先代社長もそんな(超高額な)車いすは世に出すな、とよく言っていました」

OXには、世界に名を馳せるプロ車いすテニスプレイヤー、国枝慎吾選手が、かつてパラリンピックで使用した車いすも展示してある。

75RでできているのがOX

使う道具やプロダクトは確かに大切だが、パラスポーツもそれがすべてではないということだ。やはり使う選手の力量の差が大きいし、結局プロダクトは、サポートするものでしかない。では逆に、スポーツ用、日常用を問わず、これだけ高機能でスタイリッシュな車いすが世に出ている現在、先代社長と作り上げたOX製車いすの他にはない魅力とは、どんなところなのだろうか? 

「確かに今は昔とは違って、OX製の車いすに似たものも多いので見た目では違いがわかりづらいかもしれません。でも最大の特徴は、大きなアール(半径)の太いパイプで構成されているということだと思います。かつての車いすは、細いパイプで直線的だったんですが、それを先代の社長が変えたんです。格好良いだけでなくて、見た目にも優しいですし、体に当たっても曲線だと痛くない。家のなかで使っても家具を傷つけたりもしません。しかも乗ってみると操作性もいいので、すぐ違いがわかると思います。具体的にいうと、OXの車いすのほとんどが、75R75mmの半径を描く曲線)でできているんですよ。それが社長と一緒に生み出したOXのスタイルですかね」

75mmの半径を描く曲線は、美しく格好良くて使いやすい。石井重行氏が「自分が本当に乗りたいと思う車いす」とは、そういう車いすのことだったということだ。そこに行き着いたOXのプロダクトは、日本の車いす自体もそれに関わる多くの人の価値観も変えた。

「街で車いすに乗っている方を見る機会は、昔よりも今のほうが確実に多いと思うんですよ。それは、カッコ良い車いすが世の中に増えたのもその一因になっているのかもしれません。カッコ悪い車いすじゃ外に出たくなかったのは、実は先代の社長だけではなくて、同じ気持ちを抱いていた人がたくさんいたということなんじゃないですか」

前編はこちら

中編はこちら

石井重行(いしい・しげゆき)
1948年、千葉生まれ。1971年にヤマハ発動機に入社し、エンジニアとしてのキャリアをスタートさせる。5年後、28歳のときに独立し、東京・北篠崎でオートバイ販売会社「スポーツショップ イシイ」を設立。1984年にテストライディングの際に転倒事故を起こし、下半身不随となる。1988年に株式会社オーエックスエンジニアリングを設立すると車いす事業部を発足させ、本格的に車いすの開発を始動。1992OEMで手掛けた初めての日常用車いす“01-M”を発売。翌年には4輪型テニス車“TR-01”、4輪型バスケットボール車“BW-01”を発売した。以後、パラスポーツ用車いすとしては、陸上競技、テニスともに国内トップシェアになるまでに成長させる。2012123164歳没。

(text: 長谷川茂雄)

(photo: 長谷川茂雄)

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