福祉 WELFARE

3Dプリンター義手を貧困地域に届けるチャリティープロジェクトが進行中

平山 麻衣子

スペインのエンジニアGuillermo Martínez氏は、自宅の3Dプリンターで製作した義手を貧困地域の人々に提供するAyúdame3Dというチャリティー活動を行なっている。

右腕に装着した義手を左手で握りしめながら、嬉しそうに笑う男性。この義手を製作したのはスペインのエンジニアGuillermo Martínez氏だ。彼が製作する義手はとてもシンプルなものに見えるが、両手で鍬をつかみ畑を耕したり、ミシンを使ったりと、生活していくのに必要な作業を無理なく行うことができる。義手の提供を受けたのはケニアに住む6名の人々。義手を装着した瞬間、「人生が大きく変わった」と喜びの声をあげた。

Martínez氏は、国際ボランティア活動などに参加、3Dプリンターで義手・義足の製作を行うEnabling the Futureという活動を知ったことをきっかけに、この活動をはじめたそうだ。彼はより多くの人々に義手を提供していくために、クラウドファンディングを立ち上げ、3D印刷の技術について「今の段階では、3D印刷でできることのほんの一部しか開発されていないと思います。 20年後には、特に医療と医学の分野での発展は驚異的なものになるでしょう」と語っている。

非常に高価で、限られた人々にしか手にすることができなかった義手や義足。しかしその状況は、3Dプリンターの出現によって大きく変化した。「より多くの人々に、義手や義足を提供したい」とチャリティー活動を行う人々の輪が世界中に広がりつつある。彼らの活動は、これからもたくさんの人々を笑顔に変えていくに違いない。

http://ayudame3d.org/
http://enablingthefuture.org/category/featured-stories/

(text: 平山 麻衣子)

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福祉 WELFARE

VRで車いすユーザーの移動を支援する、世界初のプロジェクトがスタート

Yuka Shingai

技術の進歩により、車いすユーザーのアクティブ化が進んでいる一方で、インフラ面での課題として立ちはだかるバリアフリー問題。車いすに限らず、ベビーカーを押しているとき、体調がすぐれないとき、外出先にエレベーターやスロープがなくて、不便を感じた経験がある人も多いだろう。一般社団法人VR革新機構は東京2020応援プログラム「車椅子目線で世界へ2020」プロジェクトをスタート。車いす移動の支援を行っていく。

プロジェクトの主な活動内容は、VRフォトを撮影し、ストリートビューとパノラマビューに編集登録を行い、地図や画像と連動することで、最適な移動経路及び最適な情報を取得できる専用アプリの開発。

通常のストリートビューは道路の中心部から片方向へ自動車搭載の360°カメラで2m以上の高さから撮影しているが、車いす目線のストリートビューは、道路両サイドの歩道から双方向で1.1m~1.2mの高さで撮影されるので全く異なる世界が広がる。 同時に介助者の視線として1.4m~1.5mも撮影することも大きな特徴だ。

このほか、VRフォトを蓄積してビッグデータ化しながら、目的地への経路、移動中の情報など気象、交通事情、観光情報、地域情報、目的地及び場所の情報などの検索や提案、車いすユーザーの快適な移動を目指している。車の自動運転がより現実的になり連携ができれば、車いすでの移動がさらにスムーズになるだろうと期待も寄せられる。

同プロジェクトではVRフォト撮影及び情報収集を行うボランティアも募集中。なかなか日常の生活ではまだ触れることができないVRの世界に踏み込むチャンスにもなりそうだ。

「車椅子目線で世界へ2020」プロジェクト
https://wheelchairview.com/index.html

[画像引用元:一般社団法人VR革新機構

(text: Yuka Shingai)

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