テクノロジー TECHNOLOGY

お待たせいたしました!Boston Dynamicsの四脚ロボット「Spot」の一般発売がスタート

Yuka Shingai

車両が走行できない荒地において、兵士に随伴し物資を運搬する四足歩行ロボットBigDogなど、軍用や業務用ロボットの開発で知られるBoston Dynamics。2013年にGoogle社が、そして2017年にはソクトバンクグループによって買収されたのちも、ロボットの開発を続けているが、去る9月、四足歩行の新型ロボット『Spot』の一般発売がスタートした。

Boston Dynamicsがこれまで世に送り出してきたロボットはいずれもリアルな生活で使えそうというシロモノではなかったが、すでに商用が開始された『Spot』はアーリーアダプタープログラムの顧客たちの手元に届き、実際に使われているそうだ。

「『Spot』をどのような場面で活用するのですか?ということが早期のカスタマーたちに質問したいことです。最初に私たちが想定していたアイデアももちろんありますが、本当に重要なこと、私たちが望んでいるのは実際の使用例ですから。」とBoston Dynamicsのビジネス開発部門の副代表を務めるMichael Perry氏は語っている。

価格についてはPerry氏いわく、「自動車一台分くらいと考えてもらえるといいと思います。もちろんどれくらい素敵な自動車かにもよるとは思いますが」とのこと。オプションの多寡次第だが、現在は直接購入ではなく、リースでの利用が基本となっている。

ボタンを押すだけで石油のパイプラインを探してくれるようなロボットではないため、カスタマー側で必要な作業もいくつかあるものの、ほとんどの企業はGitHub(ソースコードをホスティングするプラットフォーム)のレポジトリにアクセスして少し作業する程度で問題なく使えている様子だ。

現在は問い合わせのメールが殺到しており、ペットのような存在にして冷蔵庫からビールを持ってきてもらいたいとの声もあるようだが、そのような使い方は果たして実現するかどうか。今後の展開が気になるところだ。

[TOP動画引用元:https://youtu.be/wlkCQXHEgjA

(text: Yuka Shingai)

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ボケも骨折も予測ができる!?大手企業も開発を行う歩行解析検査とは

最近、親の歩きがおぼつかない…そんなことを思ったことがある人はいないだろうか。近年「歩行」が健康に深く関係することがわかってきた。つま先の上がり具合は認知症との関連が指摘されており、様々な老年疾患は歩き方をスキャニングすることで、リスクを測定できるとされている。高齢者の寝たきりリスクを高める大腿骨骨折は、その多くが転倒による骨折だが、普段の動作を測定すれば、転倒リスクも分かるという。そこで「歩行」に注目したシステムや注目の技術を紹介する。

NECも注目!「歩く姿勢」を
数値化する解析システム

NECが開発した歩行姿勢測定システムは、人の歩行をスキャニングすることで、推定歩行年齢を算出できる仕組みだ。ユーザーは3Dセンサーに向かって6メートル歩行するだけ。その映像から「歩行速度」「歩幅」「胸腰部の上下動」「足の上がり角度」等の36項目を数値化し、点数化していく。従来の機器のようにマーカーなどを身体に着ける必要がなく、歩行者の負担なく歩く姿勢をセンシングできる。

測定結果はアニメーションなどで再現されるため、トレーニングやリハビリの結果も可視化でき、指導をするほうも使いやすいことから現在、病院や整骨院などで導入実績を増やしている。デイサービスなどでも、リハビリの効果を本人はもちろん、家族にもわかりやすく説明できる点も、メリットは大きい。

アシックスとの共同開発で、アシックススポーツ工学研究所開発の歩行姿勢評価基準採用をしており、安心して使用することできる。今後は、スポーツジムやアパレルなどでも活用の幅が広がることが期待される。

自分の歩き方は自覚できず、気づいた時には足が衰えていたり、バランスの悪い歩き方をしたりしていることも。自覚がなければ、転倒などの事故も起こりやすい。転倒から寝たきりになるケースは非常に多く、「歩行」をケアすることは健康寿命を延ばすためにも非常に重要だ。「歩く姿勢」を正すことで、できるだけ長く健やかな日々を過ごしていきたい。

記事を読む▶加齢は歩行に現れる!「歩行年齢」を素早く算出 歩き方の改善にNECも注目

靴ひもにつけるだけのセンシングで
病の潜在リスクを察知

クレアクト社の歩行分析システム「Gaitup」は、スイス生まれのプロダクト。ユーザーが靴ひもにつけるだけの歩行センシング機器だ。歩くだけで歩行速度や左右の足の非対称性、つま先の上げ下げ、荷重、接地など全部で26種類のパラメータを可視化できる。これにより、転倒リスクや、虚弱高齢者のスクリーニングができ、リハビリデイサービスや、病院での歩行テストで活用することが可能だ。

記事を読む▶転倒リスクも分析!? 26種のパラメータで歩行を分析するウェアラブルシステム「Gaitup」

分析結果はPDFレポートでわかりやすく出力される。ユーザーも、リハビリの指導者も、歩行の状態を把握することができ、次のトレーニングなどの指針ができる。わかりやすいデータ分析は、医師と患者とのコミュニケーションにも役立つ。

また、「Gaitup」による分析は、脳卒中、パーキンソン病、脳性まひなど様々な疾患の研究や臨床でも利用されている。歩行にアラートが出る疾患は非常に多いため、健康な人でも手軽に使うことで、自分の健康状態を的確に把握することができる。

なによりも靴ひもにクリップで挟むという手軽さがユニーク。こういったルーツがどんどん普及すれば、若年層から積極的に健康づくりに取り組むことが可能になるだろう。高齢化の進む日本。病院頼みではなく、自分でできる「予防医療」が、気軽にチョイスできる未来に期待したい。

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